だからカートは面白い！【カート基礎知識Part.10】「カートのライセンスのお話」

その他カート

2020年7月1日

レーシングカート（カート）は、ただ走るだけでも面白いもの。でも、レースに参加すればもっと面白くなります。そこで基礎知識最終回の今回は、カートレーサーの必需品ともいえる「ライセンス」についてお話をしましょう。

カートのレースに参加する（格式制限付以上）ためには、JAFが発給するカート専用のドライバーライセンスが必要です。これは、すでに自動車競技のライセンスを持っている方でも同じことです。

レース参加に限らず、スポーツ走行を楽しむ際にもライセンスは役に立ちます。カートライセンスは多くのサーキットで“走行資格証”として認められていて、走行申し込みの際に提示を求められることが多いのです。つまりカートライセンスは、カートを楽しむ人なら誰でも持っておいて損のないものと言えるのです。

カートライセンスは、ライセンス講習会を受講することで取得できます。ライセンス講習会は座学（ルールやマナーの講義と簡単な筆記試験）と実技（サーキット走行）の2部構成で、通常1日で終わります。講習会の開催スケジュールはJAFのホームページに載っていますから、そちらで都合のいい日時の講習会を見つけてください。

ただし、カートライセンス講習会にはドライバーライセンスの他に“オフィシャル”ライセンスのものもありますから、間違いのないようにご注意を。

カートライセンスは、当該年8歳から取得することができます。この「当該年○歳」とは、「○歳になる年と、○歳だった年」のこと。例えば当該年8歳は（1月1日生まれの人を除き）、8歳の誕生日を迎える年（まだ7歳のうちもOK）とその翌年（9歳になってからもOK）の2年間を指します。この「当該年」という表現は、レースの参加規則によく出てきますから、ぜひ覚えておいてください。

カートのライセンスは、15歳を境にジュニア用と「セニア」と呼ばれることもある一般用のふたつに大きく分かれています。講習会を受けて最初に手にするライセンスは、15歳未満ならジュニアB、15歳以上なら国内Bというグレードのものです。

ここをスタート地点に、レースで実績を重ねるにしたがって、取得できるライセンスのグレードが上がり、より上級のレースに参加できるようになります。また、ジュニアは当該年15歳になると、一般用ライセンスへと切り替わります。では、カートのドライバーライセンスのグレードを列挙してみましょう。

・ジュニアライセンス
ジュニアB
ジュニアA
国際Cジュニア
国際Cリストリクティッド

・一般用ライセンス
国内B
国内A
国際Cセニア
国際B
国際A

当該年14歳のドライバーが対象の国際Cリストリクティッドは、国際Cジュニアと国際Cセニア／国際Bをつなぐ役割として2018年に新しく設けられたグレードです。

では、実際のレースでどんな出場資格が設けられているのか、ジュニアカート選手権FP-Jr部門を例にとって見てみましょう。

2020年全日本／ジュニアカート選手権統一規則には、FP-Jr部門の出場資格として「ライセンス」と「年齢制限」の2項目が記載されています。この部門に無条件で出場できるライセンスは、ジュニアAと国際Cジュニア。ジュニアB所持者の場合、「ライセンス取得後クローズド格式以上の競技会に3回以上出場した実績を有する者」か「JAFによって特に認められた者（海外での実績等）」に限って参加が可能です。

FP-Jr部門に出場可能な年齢は、当該年12歳以上、15歳未満。統一規則にはそれに続けて、「なお、当該年に満14歳に達しても国際Cリストリクティッドライセンスを取得しなければ、また、当該年に15歳に達しても、一般ライセンスを取得しなければ、その年のジュニア選手権競技に出場することが認められる」と記されています。つまり、国際Cジュニアを持っていてジュニア選手権に参加している13歳のドライバーが、14歳の誕生日を迎える年にライセンスを国際Cリストリクティッドへ変更すると、選手権の出場資格を失ってしまうのです。

このように、レースの出場資格は所有ライセンスのグレード、年齢、過去のレース実績の組み合わせで決まるもの。規則書の出場資格などの記述は、やや硬い言葉づかいで分かりづらい書き方がされていることもありますから、焦らずしっかり読み込んで、自分が楽しむのにふさわしいレースを選んでください。

フォト／小竹充　レポート／水谷一夫、JAFスポーツ編集部