FIAの女性ドライバー育成プログラム「Girls on Track」がフェラーリとのコラボレーションで新展開

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2020年6月19日

世界の女性ドライバーを発掘&育成する「FIAガールズ・オン・トラック」の新プログラム「ライジングスターズ」が明らかになった。この計画はスクーデリア・フェラーリの協力により、モータースポーツにおけるさらに高いキャリア獲得が望めるようになっている。

 6月11日、FIAはかねてより進めてきた女性ドライバーのための育成プログラムを、さらに高いレベルへと引き上げることを発表した。『FIA Girls on Track - Rising Stars/FIAガールズ・オン・トラック~ライジングスターズ』と題されたこのプログラムは、スクーデリア・フェラーリの協力を得て実現したものという。

 FIAとウィメン・イン・モータースポーツ委員会が主導する新たなプログラムの発表内容は以下の通りだ。

「FIAガールズ・オン・トラック~ライジングスターズ」は、未来ある女性レーサーの才能を発見し、育成する革新的な新しいプロジェクトです。最初のパートナーであるスクーデリア・フェラーリと協力して、世界中から最高の12〜16歳の女性ドライバーを見出し、成長が最も重要な時期に、モータースポーツのプロとしてのキャリアに手が届くよう助けることを目標としています。

 そして、FIAコミュニティに永続的な遺産を残せる新しいプロジェクトを支援するべく作られたFIAイノベーション・ファンドの支援により、ウィメン・イン・モータースポーツ委員会はさらなる目標達成への意欲を実現することができます。

 このプロジェクトでは、スクーデリア・フェラーリと、世界的に有名なフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)と提携により、モータースポーツにおいて若い女性をサポートする強力で長期的な道を共同で開発します。

 この協力体制によって、両者は4年間のプログラムに取り組むこととなり、最終的には2人のドライバーがフェラーリに加入して、FIAフォーミュラ4チャンピオンシップのシーズンに参加する可能性があります。

 FIAウィメン・イン・モータースポーツ委員会を率いるミッシェル・ムートン氏は下記のようにコメントを寄せた。

「FIAガールズ・オン・トラック~ライジングスターズは、スポーツの草の根レベルで大きな前進です。メーカーのパートナーと一緒に、私たちは若い女性ドライバーを見つけ、育成し、サポートする具体的な機会を得たのですから」。

「このプログラムにとって最初のパートナーであるフェラーリとコラボレーションできることは、委員会のこれまで10年間に渡る仕事の中での進歩の賜物です。 信じられないほどエキサイティングな複数年契約ですし、チャンスを勝ち取った2人のドライバーがフェラーリ初の女性レーサーになることを願っています。 そこには特別な思いがありますし、ウィメン・イン・モータースポーツ委員会にとって歴史的な瞬間になるでしょう」。

 また、スクーデリアフェラーリのマティア・ビノット代表も次のように付け加えた。

「この革新的なガールズ・オン・トラック~ライジングスターズ・プログラムでFIAと協力できることを本当に嬉しく思います。 私たちは、若者がモータースポーツで成長するのを助けることの価値を固く信じています。 FDAは10年以上にわたって活動しており、純粋かつ単純に最高のドライバーを選択するだけでなく、文化的、技術的、倫理的な教育にも取り組んでいます」。

「このことを踏まえると、モータースポーツをやりたい若い女性も含めて、事業領域をさらに拡大する必要があると感じていました。 彼らの参加に実際の障壁はありませんが、この分野で女性が進歩することはより困難であると私たちは認識しています」。

「そのため、私たちはFIAの取り組みに熱心に対応していますし、この素晴らしいスポーツをより多くの若い女性に紹介する手助けができると信じています。 1976年以来初めてFIAフォーミュラ1世界選手権に出場する女性を見ることになるかもしれません」。

 グローバルタイヤブランドであるピレリも、モータースポーツにおける若い女性の進歩をサポートするこのプログラムに参加。F1タイヤ責任者であるマリオ・イゾラ氏は、下記のように述べている。

「私たちの伝統と完全に一致するこの取り組みをサポートできることは、ピレリにとっても喜ばしいことです。実際、ピレリは若手ドライバーのプログラムを長年維持しており、持続可能性と安全性に焦点を当てたいくつかの活動でFIAに関与しています。 FIAガールズ・オン・トラック~ライジングスターズは、そうしたポイントのすべてを持っており、モータースポーツの歴史に関する重要なページを拓くための多くの特徴を持っています」。

 この「FIAガールズ・オン・トラック~ライジングスターズ」プログラムは、今年の始めにスタートを切りました。そこには加盟する145か国のASNから認められ、国内または国際的なレース経験を持つ有望な若いドライバーがノミネートされています。

 5つの大陸から20人のドライバーがすでに選ばれており、ポール・リカール・サーキットを拠点とするウィンフィールドレーシングスクールが主催する10月のシュートアウトに招待されます。 そこで12人のドライバーが選ばれ、10月と11月に、カートとフォーミュラ4に焦点を当てたトレーニングキャンプが行われます。

 11月には、フェラーリ・ドライバー・アカデミーの1週間コースに参加するドライバーが4人のみ選ばれます。イタリアのマラネロを拠点とするアカデミーの目的は、個人の準備、運転技術など、さまざまな側面にわたってドライバーを形成すると同時に、このスポーツを支える経済関係者とメディアの世界に彼らを紹介することです。

 さて、このプロジェクトは、新型コロナウィルスによるパンデミックという難しい状況の中でスタートを切ったが、今後どのような展開を見せるのだろうか。近年、才能ある女性ドライバーが何人も登場してきているが、このプログラムから大きく羽ばたく選手が出てくることに期待したい。

スージー・ウルフ氏やタチアナ・カルデロン選手らがアンバサダーを務める同プログラムでは、横浜ゴムとコラボした「カーティング・チャレンジ」などを欧州で実施してきた。
「ライジングスター」プログラムは複数年に渡る育成プランとなっており、FDAトレーニングに参加する4名の選手には、さらに1年間更新できるオプションも設定されている。

フォト/FIA、SRO Motorsports Group レポート/貝島由美子、JAFスポーツ編集部

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