9月に延期のル・マン24時間耐久レース、デジタルモータースポーツで前哨戦!

レポート その他

2020年6月18日

新型コロナウイルスの影響により6月から9月に開催が延期されていたル・マン24時間耐久レース。世界的にデジタルモータースポーツが大盛況となるなか、6月13日~14日、世界最大級のオンラインレース「ル・マン24時間バーチャル」が開催された。

 毎年6月に開催されている世界三大耐久レースの一つ、ル・マン24時間耐久レース。今シーズンは9月19~20日に延期されたことを受け、フランス西部自動車協会(ACO)は6月13~14日にデジタルモータースポーツで伝統のル・マンを再現した。

 この大会にはTOYOTA GAZOO Racingを始め、FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦しているチームもデジタルモータースポーツのスペシャルユニットを形成して、24時間に及ぶ世界最大級のオンラインレースに挑んだ。

 FIAおよびACO、Motorsport Gamesが主催した同レースは、文字通りル・マン24時間のバーチャルレースで、37か国より総勢200名のドライバーと合計50チームがエントリー。その多くがWECに参戦する実在のワークスチームで、ドライバーもWECやF1で活躍するプロドライバーのほか、シムレーサーが参加するなど豪華な顔ぶれとなった。

 レースで使用されたシステムは、シミュレーターとしておなじみのrFactor2(アールファクターツー)。クラスは「LMP」と「LM-GTE」の2クラスに絞られ、LMPクラスはLMP2車両(オレカ07LMP2)を使用する設定。そのため、TOYOTA GAZOO RacingもLMP2マシンで挑むことになった。

 12日の予選から激しいタイム争いが展開され、13日に幕を開けた決勝でも、57か国でテレビ放映される中、序盤からリアルレースさながらのバトルが展開されていた。

 注目を集めていたのが、TOYOTA GAZOO Racingだったが、予選で17位に出遅れていたセバスチャン・ブエミ選手/ブレンドン・ハートレー選手/山下健太選手/ユーリ・カスドルプ選手の8号車がレース序盤のクラッシュで11位に終わってしまう。

 予選で18位につけていたマイク・コンウェイ選手/小林可夢偉選手/ホセ・マリア・ロペス選手/マキシム・ブリアン選手の7号車も14位でフィニッシュした。

 そして、マックス・フェルスタッペン選手やランド・ノリス選手ら現役F1ドライバーの参戦で注目を集めていたチームレッドラインの20号車も、フェルスタッペン選手がクラッシュを喫し、サーバートラブルも重なって表彰台争いから脱落してしまった。

 波乱の展開となるなか、終始コンスタントな走りを披露したのが、ルイス・デルトラス選手/ラファエル・マルチェロ選手/クバ・ブレジンスキ選手/ニコデム・ウィズニュースキ選手を要するレベリオン・ウイリアムズ・eスポーツの1号車だった。

 中盤で首位に立った1号車は最後までポジションを守り抜き、初のル・マン24時間バーチャルでウイナーに輝いた。

 一方のLM-GTEクラスはニック・タンディ選手/アイハンカン・ギューベン選手/トミー・オストガード選手/ジョシュア・ロジャース選手のポルシェeスポーツチームの93号車がポール・トゥ・ウインを獲得した。

 他にも、チーム・ロケット・ザンショーには元F1ドライバーのジェンソン・バトン選手が参戦して9位フィニッシュ。フェルナンド・アロンソ選手とルーベンス・バリチェロ選手というドリームチームが実現したFA/RBオールインスポーツの14号車だったが、ソフトウェアの不具合でストップしてしまった。

 また、キャサリン・レッグ選手/タチアナ・カルデロン選手/ソフィア・フレールシュ選手/エミリー・ジョーンズ選手らオール女性ドライバーで挑んだリシャール・ミル・レーシングチームの50号車が19位で完走している。

 スーパーGTおよびスーパーフォーミュラに参戦予定のサッシャ・フェネストラズ選手もヴェローチェeスポーツから18号車で参戦したが、スタートから15時間後にフェネストラズ選手がクラッシュ。何とか再スタートしたものの、リタイアすることとなった。

 同レースでは、サーバートラブルによる2度の赤旗中断となるなど、オンラインレースらしいハプニングも発生した。しかし、動画配信サイトでは二ヶ国語のライブ配信が行われ、無料公開されたライブタイミングのウェブサイトには1300万回のアクセスを記録。

 ライブ中継を追いかけた各国の視聴者の反応もリアルと違わぬ盛況なもので、デジタルモータースポーツ発展に寄与する一戦となったに違いない。

30台がエントリーしたLMPクラス優勝は、レベリオン・ウィリアムズ・eスポーツの1号車。バイコレス・バースト・eスポーツの4号車との激しい接近戦を制した。
20台が参戦したLM-GTEクラス優勝は、ポルシェ・eスポーツチームの93号車。ニッキー・ティーム選手が参戦したアストンマーチン・レーシングの95号車が2位。
TOYOTA GAZOO Racingの7号車と8号車はWECメンバーにシムレーサー1名を加えた布陣。また、今回は10号車としてネルソン・ピケJr選手を擁したアルゼンチンチームも参戦。
山下健太選手や小林可夢偉選手は東京・台場の特設スタジオからオンラインで参戦。中島一貴選手や脇坂寿一アンバサダーも同席して、伝統の24時間レースをサポートした。

フォト/TOYOTA GAZOO Racing、Xynamic Automotive Photography レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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