鈴鹿サーキットのF1日本グランプリ、2020年シーズンは開催中止の発表

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2020年6月16日

7月3~5日のオーストリア・グランプリからの再開を発表したFIAフォーミュラ1世界選手権。しかし、シーズン第18戦として10月9~11日に開催が予定されていた日本ラウンドについて、主催者であるモビリティランドから今シーズンの大会の開催中止が発表された。

 6月12日の17時、2020年FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)の第18戦日本グランプリの中止が、主催者であるモビリティランドから発表された。その内容は以下の通り。

「株式会社モビリティランドは、2020年10月9日(金)~11日(日)に、鈴鹿サーキットで開催予定でありました『2020 FIA F1世界選手権シリーズ ピレリ日本グランプリレース』につきまして、本年度の開催を中止することを決定いたしました」。

「国内外における新型コロナウイルスの感染拡大状況や各地域での防止対策などを踏まえ、慎重に検討を重ねて参りましたが、現段階で海外からの渡航に関する規制解除の見通しが立っていない社会状況および国際的に大規模な移動を伴うイベントの特性を鑑み、開催中止を判断いたしました。 楽しみにされていたファンの皆様および関係者の皆様におかれましては、ご理解くださいますようお願いいたします」。

 以下は株式会社モビリティランド代表取締役社長 田中薫氏のコメント。

「F1日本グランプリについて、開催を目指して準備を進めておりましたが、国内外における今後の状況変化や、渡航規制の解除が見通せない状況のなか、安心・安全な環境で開催するための準備期間も考慮し、やむなく中止の判断をいたしました」。

「2021年の日本グランプリをより一層お楽しみいただけるよう、準備を進めてまいります。ご来場を楽しみにされていたファンの皆様、関係者の皆様におかれましては、ご理解くださいますようお願いいたします」。

 近年においてF1に日本ラウンドが復活したのは1987年。それ以来、鈴鹿サーキットと富士スピードウェイを舞台に日本グランプリが開催されてきた。2020年の大会は、10月9日はフリー走行、10日は予選、11日は13時10分から53周または120分以内の決勝レースを予定していたが、今シーズンは開催を見送ることになった。

 モビリティランドとしては、SUZUKA Race of Asiaを始め、鈴鹿10時間耐久レースやアジアン・ル・マン・シリーズ2020/2021シーズン開幕戦などの国際レースの中止を発表しており、ツインリンクもてぎで開催予定だったFIMトライアル世界選手権の他、FIMロードレース世界選手権(MotoGP)日本ラウンドの中止も6月1日に発表したばかりだった。

 この発表と同時に、formula1.comは日本ラウンドの他にシンガポールとアゼルバイジャンのキャンセルを含めたステートメントを発表。FIAもそのステートメントを引用したリリースを同日に発表している。

 formula1.comの記事によれば、「F1はシーズンのカレンダーを確定するための懸命な努力を続けており、12月中旬にアブダビでシーズンが終了するまでに、15~18レースを持てると確信している。新しいカレンダーはオーストリアGPが始まる前の発行を予想しているものの、本日アゼルバイジャン、シンガポール、そして日本のレースが、2020年カレンダーに含まれないことが確認された」。

「COVID-19による継続的な問題により、アゼルバイジャン、シンガポール、日本のプロモーターは2020シーズンのレースのキャンセルを決定した。これらはプロモーターが各国で直面する課題による決断で、シンガポールとアゼルバイジャンでは、ストリートサーキットを構築するために長時間を要するため、不確実な時期にイベントを主催することが不可能であること、そして、日本は渡航制限の継続により、レース開催を進めることができないという決定に至った」と報じている。

 F1はオーストリアGPを皮切りに、第一段階として欧州8戦の再開日程を明らかにしていた。formula1.comの再開に関するFAQ記事によれば、「世界情勢が流動的な中で、7月に欧州で再開するというF1の計画は正しいものであると確信している」。「フットボールのように、他のメジャースポーツもクローズドイベントとして戻り始めており、F1もレースを安全に再開できる時期が7月であることを確信している」と開始時期に言及。

 そして、この度の3大会中止発表の前に、formula1.comではF1のマネージング・ディレクターを務めるロス・ブラウン氏のコメントも紹介しており、「オープニングとなる欧州8レースの後、大きな移動を伴ういくつかのグランプリがドロップアウトする可能性があるなら、欧州において、さらにレースを追加する可能性がある」という発言を報じていた。

山本尚貴選手がFP1を走行した2019年のF1日本GP。台風19号の影響で日程が大幅に変更され、13日に行なわれた予選ではQ3でセバスチャン・ベッテル選手がトップタイムをマークしてポールポジションを獲得した。
決勝ではスタート直後に前に出たバルテリ・ボッタス選手が好走。ピットタイミングを除けば終始トップを駆け抜けたボッタス選手が2019年のF1日本GPを制した。2位はベッテル選手、3位はルイス・ハミルトン選手。
FIMトライアル世界選手権やMotoGPなど、国内で開催される予定だった世界選手権が軒並み中止となった2020年。F1日本GPは、1987年に鈴鹿で復活して以来、33年連続で開催されてきた。

フォト/吉見幸夫 レポート/JAFスポーツ編集部

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