緊急事態宣言解除で再始動も間近か。活動再開に向けてのポイント

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2020年5月29日

5月27日にJAFホームページで「国内モータースポーツ活動再開に係る対応について」が発表された。段階的ではあるが活動再開が可能となったことが明らかとなり、打ち出された対応指針についての要点をまとめた。

 日本政府の緊急事態宣言を受け、JAFは日本選手権競技会や各種講習会の延期等を講じるお願いを発表。5月1日の「新型コロナウイルス感染防止対策に係るお願い」では、その延期等の対応期間が6月30日まで延長されていたが、5月25日に緊急事態宣言が解除されたことによって、JAFは5月27日、「国内モータースポーツ活動再開に係る対応について」と題する発表を行い、段階的な活動再開に向けての対応指針を明示した。

国内モータースポーツ活動再開に係る対応について

 この国内モータースポーツ活動再開に係る対応でポイントとなるのが、JAF公認競技会、JAF認定ライセンス・公認審判員講習会等について「基本的な感染対策のあり方の例」を挙げたことだろう。

 具体的には競技会の一般的な推奨事項として「競技会の開催期間・時間は可能な限り短く設定して、サポートプログラム、付帯会議は実施しない」とするほか、「可能な限り少ないチーム・メンバーの参加、つまり主催者による制限を実施」と明記している。

 さらに競技会の前後も含めた適切な感染予防対策の実施として、参加時の体温測定や過去2週間の渡航履歴の確認など、細かい注意事項がまとめられた。また競技役員の構成等についても「最小限必要役員(審査委員2名、競技長、コース・計時・技術・事務局)に基づき、更なる競技役員数の削減を検討する」や「リモート審査委員の運用」を明記したことも今後の競技会の運営に影響を与える事項といえるだろう。

 そのほか、カテゴリー毎の対策としてレースやラリー、スピード競技、カートの注意点を挙げたほか、催事期間中のクラスター(集団)感染発生リスクの高い状況の回避として、会場・施設、受付、開会式・ブリーフィング、パドック、公式掲示板、公式車検、競技結果、交流会での注意点など、詳細な事例がまとめられている。

 一方、JAF認定ライセンス・公認審判員講習会についてポイントとなるのが、Bラインセンス講習会およびカート国内Bライセンス講習会に関して、通信講習やWEBセミナー等の非対面方式が強く推奨されていることにほかならない。「オンライン講習会要領」も合わせて公開されており、開設申請の手続きや講習方法、講師の認定などがまとめられていることも、今回発表された国内モータースポーツ活動再開に係る対応についてトピックスといえる。

 また、JAF公認競技会、JAF認定ライセンス・公認審判員講習会について「各地方公共団体が示す段階的緩和策や基準等に従い、参加者・主催者・クラブ・団体等の関係する全ての方の生命・健康の安全を最優先として、基本的な感染対策を講じた対応をお願いします」としたうえで、開催環境構築状況により、6月以降段階的な対応としており、全日本選手権等の全国的な競技会についても7月以降段階的なご対応をいただく……としているが、これについても「JAF公認競技会、JAF認定ライセンス・公認審判員講習会等の延期・中止の取り扱いおよびスポーツカレンダーの再編成について」が提示された。

 まず、注目すべきポイントが「感染防止対策により延期・中止の対応を頂いたカレンダーは6月以降に再設定いただく」としたことで、これにより地方選手権に関しては、早ければ6月からの開催が可能となった。さらに「全日本選手権等の全国的なカレンダーは、7月以降に調整・再遠征いただく」とのことで全日本シリーズも7月の再開が可能となる。

 これに加えて「中止届済カレンダーは、復活登録を認める」と明示されていることから、中止と発表されている競技会の復活開催が可能になったことも興味深い。ちなみに、FIA選手権カレンダー(F1、WRC、APRC)および登録済カレンダーは固定で、予定通りの日程で開催されることとなっている。

 当然、スポーツカレンダーの再編成を行うために各競技会・講習会の主催者は各種の手続きを行わなければならないが、今回発表された国内モータースポーツ活動再開に係る対応では「JAFの特例措置について」も明記されており、様々な救済が行われている。

 具体的には「5月1日付JAF第6報に基づき、3月以降7月末日までに開催を予定(既開催を含む)していたJAF公認競技会、JAF認定ライセンス・公認審判員講習会に対する更なる特例措置として、該当する競技会・講習会のすべての手数料(カレンダー/組織許可/選手権登録/講習会開設)を免除いたします」としたほか、「2020年中止届出済カレンダーの復活登録の場合、カレンダー再登録手数料を免除いたします」など、特例措置は7つの項目にわたる。

 このようにJAFが国内モータースポーツ活動再開における指針を発表したことで、今後は各シリーズでカレンダーの再編成が行われる見込み。当面は他のスポーツと同様に、モータースポーツに関しても感染対策が求められるほか、交流会も「基本的には実施しない」など従来とは異なるスタイルでの開催が必要となっているが、国内モータースポーツも着実に再始動の日が近づいている。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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