ラリー

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2020-05-26
ベテランドライバーがひしめく全日本ラリー選手権の勝利数に迫る

 

ドライバーとコドライバーのクルーで挑むラリー。速さや戦略はもちろん、互いの息が合わなければ勝ちにつながらないだけに、数多くの勝利を挙げるのは至難の業。全日本ラリー選手権において偉業ともいうべき記録を打ち立ててきたラリーストを探った。

 

 1979年にスタートした全日本ラリー選手権において最も優勝回数の多いドライバーが、これまでに10回に渡ってチャンピオンに輝いている奴田原文雄選手だ。

 

 1986年に全日本ラリー選手権にデビューした奴田原選手は1992年、三菱・ミラージュ(CA4A)を武器にBクラスを制して記念すべき初優勝を獲得。1995年には三菱・ランサー(CE9A)を武器に第1部門のCクラスで初優勝を獲得しており、以来、最高峰クラスで勝利を重ねてきた。

 

 2020年に入ってもその実力は健在で、実質的な開幕戦となった第2戦の新城ラリーでも三菱・ランサー(CZ4A)を武器にJN1クラスを制しており、通算70勝目を獲得している。

 

 奴田原選手のリザルトを語る時に特筆すべきポイントが、アジアパシフィックラリー選手権(APRC)やPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)などの国際ラリーと並行しながらも全日本ラリー選手権で勝利を重ねてきたことで、未勝利に終わったシーズンはわずか6シーズンにすぎない。奴田原選手はいまだ抜群のスピードを誇るだけに、今後も優勝回数を増やしていくに違いない。

 

 一方、チャンピオンの獲得回数において最多を誇る天野智之選手も数多くの勝利を獲得してきたドライバーで、2003年、ホンダ・シティ(GA2)を武器に2輪駆動部門のAクラスで初優勝を獲得して以来、2020年の第2戦でトヨタ・ヴィッツ(NCP131)を武器にJN5クラスを制するまで通算62勝を獲得している。

 

 天野選手も未勝利のシーズンがわずか8シーズンと少なく、コンスタントに勝利を重ねており、2017年のJN3クラスではトヨタ・ヴィッツ(NCP131)を武器に出場した9戦全てで勝利を獲得するなど“勝率100%”を達成した。2020年もトップ争いを支配しているだけに、天野選手もまた優勝獲得回数の更新が期待されている。

 

 また、これまでに8回のタイトル獲得経験を持つ勝田範彦選手も50勝以上を挙げているドライバーで、スバル・インプレッサ(GC8)を武器に2001年の4輪駆動部門Cクラスで初優勝を獲得してから、スバル・WRX(VAB)を武器に2019年のJN1クラスで勝利を飾るまで通算57勝をマーク。勝田選手もいまだトップレベルの実力を持つだけに勝利数を伸ばしていくことだろう。

 

 以上の3名が50勝以上をマークしたドライバーで、これまでに9回のタイトルを獲得している粟津原豊選手が通算44勝で続いている。

 

 これに対して5回のチャンピオン経験を持つ新井敏弘選手は、長年にわたって世界ラリー選手権(WRC)やPWRCなど国際ラリーを中心に活動してきたことから、全日本での優勝回数は28勝に過ぎない。しかし、新井選手も最前線で猛威を発揮しているだけに、今後も優勝を重ねていくに違いない。

 

 一方、コドライバーの優勝回数において最多を誇るのが、チャンピオン獲得回数においても最多12回の記録を持つ井上裕紀子選手で、天野選手とのコンビにより、2020年の第2戦で通算61勝目を獲得した。

 

 天野選手は2019年の第9戦で塩田卓史選手とコンビを組みJN5クラスで勝利を飾っていることから、井上選手は天野選手より1勝少ないが、50勝以上を挙げている唯一のコドライバーであり、今後も天野選手とともに勝利数を重ねていくに違いない。

 

 また、5回のチャンピオン経験を持つ小田切順之選手も優勝回数の多いコドライバーで、1982年に大庭誠介選手とコンビを組み、第一部門のBクラスで初優勝を獲得して以来、2008年に奴田原文雄選手のコンビでJN4クラスを制するまで通算42勝をマーク。

 

 なかでも、1994年に奴田原選手とコンビを組んでからは歴代の三菱・ランサーを武器に数多くの勝利を重ねており、奴田原選手のタイトル争いをサポートするとともに、自身のタイトル争いでも主導権を握っていた。

 

 そのほか、粟津原選手をパートナーにコドライバーとして計6回のタイトルを獲得した高橋昭彦選手も数多くの勝利を獲得しており、1992年にAクラスで初優勝を獲得して以来、1999年の4輪駆動部門でAクラスを制するまで通算32勝をマーク。

 

 これと同時に平塚忠博選手をパートナーに計3回にわたってチャンピオンに輝いている鈴木裕選手も1997年、第1部門のAクラスで初優勝を獲得してから、2007年に鈴木尚選手とJN2クラスで勝利を飾るまで通算32勝を獲得しているが、鈴木裕選手は2020年も鎌田卓麻選手とともにJN1クラスに参戦しているだけに、勝利数を伸ばす可能性が高い。

 

 このようにラリー競技では実力のある多くの選手が国際ラリーにチャレンジする傾向にあるだけに、全日本選手権での勝利数は他の競技よりも少ない傾向にあるが、数多くのベテラン選手が最前線で活躍するだけに、優勝回数も伸びていくことだろう。

 

 

2008年全日本ラリー選手権第10戦・新城より、奴田原文雄/小田切順之組の優勝シーン。ドライバーの奴田原選手は現在70勝、コドライバーの小田切選手は42勝の記録だ。

 

堅実に勝利数を積み上げている天野智之/井上裕紀子組。62勝をマークする天野選手、そして61勝をマークする井上選手のコンビは今も健在。今後の勝利数更新に注目したい。

 

 

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

※掲載内容に不十分さがあったため、修正して再公開しました。