勝利数の記録に挑み続ける全日本ジムカーナ選手権の猛者たち

その他 ジムカーナ

2020年5月20日

さまざまな猛者が集う全日本選手権において、勝利を積み重ねていくことは非常に困難である。だが、並々ならぬ努力の限りを尽くし、長きに渡る挑戦を続けてきた結果、歴史に名を刻むほどの記録が生まれる。そこで、通算50勝以上を果たした、伝説のスラローマーをピックアップしてみた。

 全日本ジムカーナ選手権で19回にわたってチャンピオンに輝いている山野哲也選手は、優勝回数においても114勝をマーク。圧倒的な記録を更新しているが、改めてリザルトを見てみると、山野選手がいかにコンスタントに勝利を重ねてきたかが浮き彫りになる。

 1992年にシリーズ化されてから、2019年まで山野選手は28年間連続で全日本ジムカーナ選手権に参戦しているが、未勝利に終わったシーズンはホンダ・インテグラ(DC5)でA3クラスに参戦した2002年と、ロータス・エキシージ(1117)でPN4クラスに参戦した2016年のわずか2シーズンのみ。

 それ以外のシーズンは必ず勝利を挙げてきた他、1995年はホンダ・シビック(EG6)を武器にA2クラスで7勝、1998年にはホンダ・シビック(EK9)を武器にA2クラスで6勝、2004年および2005年にはホンダ・NSX(NA2)を武器にA3クラスで5勝をマークするなど、出場した全ての競技会で優勝し、驚異の“勝率100%”を達成した。

 まさに山野選手はレジェンドとも言うべき存在だが、今もなおトップレベルの実力を持つだけに今後もさらに勝利数を伸ばしていくだろう。

 また、これまで14回のチャンピオン経験を持つ菱井将文選手も数多くの勝利を獲得しており、これまでに通算94勝をマークしている。

 初優勝を獲得した1992年から7勝を挙げた2019年まで、菱井選手も28年連続で参戦しているが、その間、未勝利に終わったシーズンは三菱・ランサー(CN9A)でA4クラスに参戦した1997年とスバル・インプレッサ(GDB)でA4クラスに参戦した2002年、そしてスバル・インプレッサ(GDB)でA4クラスに参戦した2006年および三菱・ランサー(CT9A)でA4クラスに挑んだ2007年の4シーズンにすぎない。

 菱井選手もコンスタントに勝利を重ねており、2013年には三菱・ランサー(CZ4A)を武器にN4クラスで6勝、SA3クラスで1勝をマークするほか、2016年にも三菱・ランサー(CZ4A)を武器にN3クラスで6勝、SA3クラスで1勝を飾るなど出場した全ての競技会で勝利を獲得した。

 抜群のパフォーマンスを持つ菱井選手だけに、史上二人目の“100勝ウイナー”に向けて突き進むことだろう。

 このように山野選手、ついで菱井選手が抜群の優勝回数を記録しているが、この両選手に続いて数多くの勝利を重ねているのが、1989年、トヨタ・MR2(AW11)でA3クラスを制して初優勝を獲得した茅野成樹選手だ。

 これまで11回のチャンピオン経験を持つ茅野選手は1992年に全日本ジムカーナ選手権がシリーズ化されてからも28年連続で参戦しており、通算で67勝をマーク。

 山野選手や菱井選手のように“勝率100%”のシーズンこそないものの、スバル・インプレッサ(GC8)でA4クラスに参戦した1996年および2000年、そして、スバル・インプレッサ(GDB)でA4クラスに参戦した2001年を除いて全てのシーズンで勝利を獲得してきた。

 2019年には三菱・ランサー(CZ4A)を武器にPN4クラスで5勝をマークするなど、いまだその実力は健在で、今後も勝利数を伸ばしていくに違いない。

 また通算10回にわたってタイトルを獲得した谷森雅彦選手も67勝を挙げているが、その期間は2002年から2011年までのわずか10年間と極めて短い。多くの選手が長い年月をかけて勝利数を伸ばすなか、谷森選手は三菱・ランサーを武器にC2クラスやS3クラス、SCクラスで、駆け抜けるように勝利を重ねてきたことが特徴と言えるだろう。

 そのほか、ホンダ・CR-X(EF8)を武器に1991年のA2クラスで初優勝を獲得した津川信次選手も50勝以上を挙げているベテランドライバーで、チャンピオンの獲得回数は8回ながら優勝回数は通算63勝をマーク。さらに通算10回のチャンピオン経験を持つ西原正樹選手もトヨタ・MR2(SW20)を武器にA3クラスで3勝を獲得した1992年からスバル・インプレッサ(GJ3)を武器にSCクラスで6勝をマークした2019年にいたるまで合計62勝を獲得しているが、津川選手、西原選手ともに、今もなおトップレベルにあるだけに記録の更新が期待されている。

 以上、簡単に全日本ジムカーナ選手権における優勝回数の多いドライバーを順に紹介してきたが、このほかにも通算11回のチャンピオン経験を持つ斉藤邦夫選手が55勝をマーク。さらに通算9回にわたってタイトルを獲得している天満清が54勝で続くなど50勝以上を挙げているが、斉藤選手、天満選手ともに現在も素晴らしいスピードを持つだけに、今後も勝利数を増やしていくことだろう。

 このように国内最高峰シリーズでありながら、全日本ジムカーナ選手権では50勝以上を挙げているトップドライバーが今もなお、最前線に集結しているだけに、シーズン再開後にはハイレベルのバトルに期待したい。

“レジェンド”山野哲也選手は28年間連続参戦、19回チャンピオン、114勝利と、記録のエピソードは枚挙に暇がない。
ジムカーナにおいて豊富な経験と勝利数を持つ菱井将文選手。史上2人目となる100勝が目前に迫っている。
昨シーズンはCZ4Aランサーを駆って5勝を挙げ、3年連続11回目のチャンピオンを獲得した茅野成樹選手は現在67勝!

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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