FIA世界ラリー選手権、WRCトップドライバー&コ・ドライバーたちの「ステイ・ホーム」&「ステイ・セーフ」

ニュース ラリー

2020年5月12日

FIA世界ラリー選手権(WRC)は第1戦から第3戦までが開催されたものの、第4戦以降は第6戦までが延期となっている。そんな状況においてドライバー及びコ・ドライバーたちはどんな情報を発信しているのか。ここでは4月30日までの彼らのアクションをまとめた。

ヒュンダイモータースポーツに加入したオイット・タナック選手と大ベテランのセバスチャン・ローブ選手。
長年に渡るセバスチャン・ローブ選手の良き理解者でもある、コ・ドライバーのダニエル・エレナ選手。
開幕戦を制して今年こそはと意気込むティエリー・ヌービル選手とコ・ドライバーのニコラス・ギルソウル選手。

 2020年の初頭から猛威を発揮し、瞬く間に世界へ蔓延した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。この影響により国内外のモータースポーツが活動を停止しており、ラリー競技の最高峰シリーズ、WRCも第4戦アルゼンチン、第5戦ポルトガル、第6戦イタリアが延期となっている。そんな状況で、WRCのトップドライバー及びコ・ドライバーたちは、この“コロナ禍”をどのように過ごしているのか?

 以前から多くのドライバー及びコ・ドライバーがSNSで情報を発信していたが、3月中旬に行われた第3戦のラリー・メキシコ以降は、やはり、このCOVID-19に関する話題が多く、4月末日までの間に多くのワークス系のメンバーが自粛生活中の様子を紹介するほか、独自のファンサービスを実施するなど様々の取り組みを行っている。

 まず、ワークス系チームのドライバーおよびコドライバーに共通している発信が「ステイ・ホーム」ならびに「ステイ・セーフ」の呼びかけに他ならない。その上で、多くの選手が自宅での過ごし方の参考として、自身の自粛生活の様子を紹介している。

 なかでも、最も熱心に自宅での生活を紹介しているのが、ヒュンダイで活躍するセバスチャン・ローブ選手で、3月30日に自宅の庭でトランプリンを楽しむ様子や4月4日には自宅でのバイク走行を動画で紹介。さらに4月5日には写真で腕立て伏せ、4月8日には動画で桟橋での綱渡り、4月10日はランニングの様子などを紹介している。

 これに歩調を合わせるように、ローブ選手のコ・ドライバーとしてヒュンダイで活躍するダニエル・エレナ選手も、3月30日に自宅での料理シーンを動画で紹介したほか、“Seb’s チャレンジ”として4月5日に写真で腕立て伏せ、4月8日に動画で綱渡りの様子を紹介していた。

 そのほか、ヒュンダイ勢に関していえば、オイット・タナック選手のコ・ドライバーとして活躍するマルティン・ヤルべオヤ選手が、4月17日に「ハンドスタントTシャツ・チャレンジ」として逆立ちしながらジャケットを着るという動画を紹介。

 ティエリー・ヌービル選手が4月11日に動画で愛犬を紹介。さらにヌービル選手とコンビを組むニコラス・ジルソー選手も、4月10日に空き缶の上での腕立て伏せを紹介するなど、動画でトレーニング風景を紹介した。

 またTOYOTA GAZOO Racing勢も多くの選手がWRCの休止期間も情報を発信している。4月3日、エルフィン・エバンス選手が写真にてマウンテンバイクでのトレーニングを紹介したほか、エバンス選手のコ・ドライバーであるスコット・マーティン選手も4月14日、動画にて家族で室内トレーニングを行っている様子を紹介。

 さらにセバスチャン・オジェ選手のコ・ドライバーであるジュリアン・イングラシア選手も、4月17日にトレーニングや料理シーンなど、自宅での過ごし方を動画でコミカルに紹介している。

 そのほか、カッレ・ロバンペラ選手も4月26日に自宅でのトレーニングの様子を動画で紹介すると、ロバンペラ選手のコ・ドライバーであるヨンネ・ハルットゥネン選手も、同日にオフロードバイクを楽しんでいるシーンを紹介した。

 さらに日本人ドライバーの勝田貴元選手も自宅でのレーニング風景を筆頭に、家族と自宅で過ごすシーンやレーシングシミュレーターの様子を動画で紹介するなど頻繁に情報を発信している。

 もちろん、フォードの有力チーム、Mスポーツもメッセージの発信に積極的で、3月27日にガス・グリーンスミス選手、4月2日にエサペッカ・ラッピ選手が「ステイ・ホーム」を呼びかけている。

 以上が「ステイ・セーフ」および「ステイ・ホーム」をテーマとする情報発信だが、これに加えて一部の選手たちはファンサービスの一環として独自のアトラクションを実施している。

 具体的にはヌービル選手が4月7日および17日にクイズ、21日にパズル、28日に間違い探しを出題したほか、Mスポーツのテーム・スニネン選手が3月19日にはファン参加型の写真コンテストを実施。

 さらに勝田選手が4月21日に人気ゲームを使用したタイムアタック企画を実施するほか、コ・ドライバーの多くが競技中の車載動画などをSNSにアップしていることもファンサービスの一環と言えるだろう。このように独自の活動を展開していることもワークスメンバーにおける情報発信の特徴だ。

 そのほか、多くの選手が各メディアのリモートインタビューに対応したり、勝田貴元選手が動画ライブに参加するなど、WRCが活動休止期間中も動画配信メディアに参加。

 もちろん、3月19日にローブ選手が「医療関係者に感謝を伝えたい」と動画で謝意を伝えるほか、4月20日に勝田貴元選手が“熱男リレー”の一環として「みんなで力を合わせて頑張っていきましょう!」と動画で呼びかけたり、4月8日にタナック選手が寄付とボランティアを呼びかけた。これらの発信も多くのファンにとって励みとなるに違いない。

今季はついにTOYOTA GAZOO Racing加入となったセバスチャン・オジェ選手とコ・ドライバーのジュリアン・イングラシア選手。
TOYOTA GAZOO Racingに移籍した今シーズン、メキメキと頭角を現すウェリッシュ、エルフィン・エバンス選手。
ハリ・ロバンペラ選手の愛息であり、いきなり気鋭の走りを披露するフライング・フィン、カッレ・ロバンペラ選手。
ロバンペラ選手のコ・ドライバー、ヨンネ・ハルットゥネン選手とエバンス選手のコ・ドライバー、スコット・マーティン選手。
今シーズンはダニエル・バリット選手と共にWRカーでWRCを戦う勝田貴元選手。スポット参戦の開幕2戦を戦った。

フォト/廣本泉、TOYOTA GAZOO Racing、Hyundai Motorsport GmbH レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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