感染拡大防止対策の対応期間が6月30日まで延長。更新された「5月1日版」では活動再開の指針も

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2020年5月15日

5月1日にJAFホームページで「新型コロナウイルス感染防止対策に係るお願い(2020年5月1日版)」が発表され、感染拡大防止対策に係る対応期間が6月30日まで延長されたが、併せて、活動再開に向けた指標も明らかにされたので、ここでは発表の要点をまとめた。

 4月7日に日本政府から発せされられた緊急事態宣言に伴い、JAFからは5月31日まで日本選手権競技会や各種講習会等を、感染防止対策として延期等を講じるお願いが発表。それに伴い、国内モータースポーツはJAF公認競技が行われていない状況となっている。

 そして、5月1日にはその最新版となる「新型コロナウイルス感染防止対策に係るお願い(2020年5月1日版)」が発表され、JAF公認競技会、JAF認定ライセンス・公認審判員講習会等に係る延期等の対応期間が、6月30日まで延長されることとなった。

■5月1日版の全文は、JAFホームページのお知らせ(下記リンク)を参照
新型コロナウイルス感染防止対策に係るお願い(2020年5月1日版)

 JAFが発信する「お知らせ」や「お願い」は日本国政府や厚生労働省、地方公共団体の指示・要請・勧告等に従うと共に、JAFメディカル部会の助言を踏まえて適宜更新されている。5月1日版のお願いでは、対応期間を6月30日まで延長することを冒頭で記しているが、それ以降については、活動再開に向けた指針が示されているのがポイントだ。

 まずはJAF公認競技会、JAF認定ライセンス・公認審判員講習会等については「これまでの平時における開催・参加形態に加え、感染防止策を講じて開催していただくことを検討させていただきます」というように、開催を前提とした表現となっている。

 加えて「JAF認定ライセンス・公認審判員講習会等で通信講習やWebセミナー等の方式により講習が可能な場合、当面の間、当該方式による特例措置を講じさせていただきます」とした部分も興味深い。これらの措置による開催が広がれば、リモート講習会およびリモートセミナーなど、今後の新たな動きに繋がる可能性も考えられる。

 また、JAFモータースポーツ表彰式については、毎年11月の最終金曜日に開催されてきたが、2020年のJAFモータースポーツ表彰式が「12月24日(木)に延期」されたことも大きな情報と言える。これは、2020年競技会の開催日程を12月下旬まで確保するための延期で、例年に比べて1~2か月程度長い期間で開催日程の調整ができるようになる。

 競技会の開催日程については、5月1日の発表では、競技会の延期・中止の取り扱いおよびスポーツカレンダー再編成について「係る主催者・参加者の手続き等の軽減化を図らせていただきます」とすると共に「7月1日~12月末日の期間で全てのカレンダーを調整のうえ再編成させていただきます」とも発表。

 加えて「7月1日以降の登録済カレンダーは原則固定とし、コロナ禍で延期・中止となったカレンダーを調整して編成します」と記されているだけに、国内を襲うCOVID-19の収束が早期に目処が立つ事態となれば、柔軟に日程が調整されていくに違いない。

 とはいえ、JAFモータースポーツ表彰式が約1か月延期されたものの、2020年6月末までに開催予定だったイベントを全てカレンダーに盛り込むのは、選手の動きやロジスティクス、開催インターバルの確保を考えると現実的には難しいと言わざるを得ない。

 シリーズによっては、仮に収束に目処が立ったとしても、主催者によっては、今シーズンの競技会の開催自体を見合わせる動きが出てくる可能性もある。そうなると参加者にとっては「各選手権シリーズは成立するのか」が鍵となってくる。

 それら日本選手権競技の成立については「成立要件(競技回数年間3回以上、各部門・クラス5台以上等)は原則として適用させていただきます」と表明。もともと、多くの全日本選手権では年間3回以上でシリーズ成立という要件を採用しており、ここで改めて、既存の要件を原則適用する方針が打ち出されることになった。

 日本ラリー選手権や日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権、日本サーキットトライアル選手権、日本カート選手権については、全日本選手権や地方選手権において、それぞれ年間3回以上で選手権シリーズが成立と記されている。

 また、日本レース選手権では、地方選手権のFIA-F4(7回)、FORMULA REGIONAL(5回)を除けば年間3回で選手権成立、全日本スーパーフォーミュラ選手権については統一規則において「年間に少なくとも3つの認定レースが成立しなければ選手権は成立しない」との記述がある。

 2020年の全日本選手権は、3月の第2週において三つのシリーズで競技会が実施された。愛知県新城市で行なわれた全日本ラリー選手権第2戦、京都コスモスパークの全日本ダートトライアル選手権開幕戦、そして鈴鹿サーキット国際南コースで開催されたは全日本カート選手権FS-125/FP-3部門西地域開幕戦だ。

 これらの三つのシリーズは、あと2回の競技会が成立すれば、2020年のタイトル決定が可能で、未だ開幕していないシリーズについても、7月以降に最低3戦の競技会を成立させれば、選手権シリーズの成立も不可能ではない。

 主催者筋の意見としては「規定では3戦でシリーズが成立するけれど、やはり選手権としては寂しい。参加者の気持ちを考えると、できるだけ参戦できるチャンスを増やしたい」といった声も聞こえるだけに、恐らく可能な限り、延期した競技会を開催する方向でシリーズカレンダーが再編成されることになるだろう。

 また、主催者が競技会を再び開催するにあたり、5月1日の発表ではスポーツ庁や各地方公共団体による支援策をまとめた参考資料も添付されている。

 スポーツ庁による「新型コロナウイルス経済対策 スポーツ団体・個人向け支援策」については、政府全体または文部科学省・スポーツ庁による支援施策の概要や相談窓口が紹介されているが、関連する支援策を絞って詳細聞き取りなども行なわれている。

 競技参加者や登録クラブ、主催者、オフィシャルを始め、多くの関係者のモータースポーツ活動が停止している現在。現在進行中の予測できない緊急事態だけに、今後の情勢次第では5月1日の発表内容に対してさらなる変更が生じる可能性もある。しかし、モータースポーツ活動再開を前提とした、前向きな指針の表明は明るい話題となるに違いない。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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