タイトルを獲り続ける全日本ジムカーナ選手権のレジェンドたち

その他 ジムカーナ

2020年4月29日

スピード競技、特に全日本ジムカーナ選手権においては「100勝王者」山野哲也選手を始めとして、長く競技を続けている選手が多い。ここではそんな選手たちの全日本タイトル獲得回数を調査。全日本ジムカーナチャンピオンたちの闘志は、まだまだ燃えている。

 全日本ジムカーナ選手権において、1992年に初勝利を挙げて以来、あらゆるマシンで勝利を重ね、2018年のシリーズ第3戦でついに通算100勝目を達成した山野哲也選手。

 その記録は2019年を終えた段階で114勝に達したほか、未だトップレベルのパフォーマンスを持つだけに、今後も優勝獲得回数の更新が期待されているが、チャンピオンの獲得回数についてはどうだろうか?

 全日本タイトルの獲得回数については、冊子として毎年発行されている「JAFモータースポーツイヤーブック」の「資料」の章に「全日本スピード競技選手権保持者」として記録されている。この資料によれば、山野選手は2019年に通算19回目のチャンピオンに輝くなどタイトル獲得回数においても圧倒的な記録を誇っている。

 山野選手の初タイトルは1992年で、ホンダCR-X(EF8)で計4勝を挙げてAⅡクラスを制覇。1993年にはホンダ・シビック(EG6)にマシンを変更しており、1993年~1995年にかけてAⅡクラスで3連覇を果たした。そして、1996年~1997年にはホンダ・シビック(EK4)、1998年にはホンダ・シビック(EK9)にマシンを切り替えて、AⅡクラスのタイトルを獲得した。

 その後も山野選手の強さは健在で、1999年にはホンダNSX(NA1)にスイッチしてAⅢクラスを制すると、2000年、2001年、2003年にはホンダS2000(AP1)でAⅢクラスを制覇。2004年~2005年にはホンダNSX(NA2)でN3クラス、2007~2008年にはロータス・エキシージでN3クラスを制している。

 そして2012年には、新設されたPN部門に参戦。2013年、2015にスバルBRZ(ZC6)でPN3クラスの王者に輝いた。2016年にはランサー・エボリューションのワンメイク状態のPN4クラスに、ハイパワー後輪駆動のエキシージで戦いを挑むチャレンジも披露した。

 そして、2017年~2019年にはアバルト124スパイダーを武器に、PN2クラスで3連覇を達成するなど、優勝回数とともにタイトル獲得回数を更新。今後も優勝争いの鍵を握る存在となるだけに、山野選手がどこまで記録を伸ばすのか注目されている。

 このようにチャンピオンの獲得回数でも前人未到の記録を持つ山野哲也選手だが、全日本ジムカーナ選手権には数多くのベテランドライバーが参戦しているだけに、全日本選手権において、10回以上のタイトル獲得経験者が多数存在している。

 全日本ジムカーナ選手権において、山野選手の次にチャンピオンの獲得の回数が多いドライバーが、これまでに14回に渡ってチャンピオンに輝いている菱井将文選手だ。

 菱井選手にとって初のタイトル獲得が1993年で、ホンダ・シティ(GA2)でAⅠクラスを制覇した。その後も1995年までAⅠクラスで4連覇を達成すると、1996年からは4輪駆動のターボモデルが主戦場のAⅣクラスにスイッチ。2000年にスバル・インプレッサWRX(GC8)でAⅣクラスのチャンピオンに輝いた。

 それ以降も菱井選手は、2003年にスバル・インプレッサWRX(GDB)、2008年に三菱ランサーエボリューション(CT9A)を武器にN4クラスでタイトルを獲得したほか、2010年~2016年には三菱ランサー(CZ4A型)を武器に7回連続でタイトルを獲得するなど、N4およびN3クラスで猛威を発揮。

 2019年には三菱ランサーエボリューション(CZ4A)でSA4クラスのタイトルを獲得し、通算14回目のチャンピンに輝いたことは記憶に新しい。2020年に60歳を迎える菱井選手だが、レース活動も平行しながら未だその実力は衰えることなく、今後もタイトル獲得が期待されている。

 さらに1998年のAⅠクラスで初めてチャンピオンに輝き、近年は2018年にPN1クラスのタイトルを獲得した斉藤邦夫選手、1989年のAⅢクラスで初めてタイトルを獲得し、近年は2019年のPN4クラスでチャンピオンに輝いた茅野成樹選手らも通算11回の記録を持つ。

 また、1992年のAⅢクラスで初めてチャンピオンに輝いた西原正樹選手は、2019年のSCクラスで10回目のチャンピオンに輝くなど、まだまだトップレベルにあるだけに記録を伸ばし続ける可能性は高い。斉藤選手や茅野選手らベテランは、現在も最前線で躍進しているだけに、今後もチャンピオン獲得回数の記録を伸ばすことも可能だろう。

 そして、2002年のCⅡクラスで初のタイトルを獲得した谷森雅彦選手は、すでに現役を退いているが、10回に渡ってチャンピオンに輝いており、しかも、2002年から10年連続でタイトルを獲得しており、金字塔となっている。

 そのほか、1982年のC2クラスで初タイトルを獲得した「ジムカーナ・レジェンド」山本真宏選手も二桁の記録を誇るタイトルホルダーで、1998年にDクラスでチャンピオンに輝くまで計11回のタイトルを獲得していることは記憶に新しい。

 このように全日本ジムカーナ選手権では数多くのベテランドライバーが今もなお最前線で活躍するだけに、その多くがチャンピオンの獲得回数を更新し続けるに違いない。

言わずと知れたジムカーナ・レジェンド「100勝王者」の山野哲也選手は全日本PN2に参戦中。
レース活動も並行する菱井将文選手。昨年はジムカーナに集中してSA部門では初タイトル獲得。
二輪駆動使いのベテラン斉藤邦夫選手。NDロードスターの実力を世に知らしめた選手でもある。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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