2021年から全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権のクラス区分が変更に

ニュース ジムカーナ ダートトライアル

2020年4月20日

4月10日、JAFから「2021年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定」が公示され、これまで「部門」で分類されていたクラス区分が、各全日本シリーズ固有の新たな区分に変更されることとなった。ここでは、先日公示された選手権規定の内容を確認してみよう。

 4月10日、JAFは「2021年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の制定」を公示した。この2021年1月1日から施行される新たな選手権規定では、二つの新機軸が盛り込まれており、その一つは全日本選手権の「クラス区分」が変更されたことだ。

 2020年までの全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権では、競技車両の改造と符合した「部門」を設け、同じ部門の中で排気量や駆動方式によってクラス区分がなされてきた。それが、2021年からは部門によらず、各全日本選手権ごとに定めた固有のクラス区分で分割されることになり、区分に関する考え方が少し変更されることになった。

 日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定の中でも、大きな変更があった全日本選手権を例に見てみると、全日本ジムカーナ選手権については、新たに「JG1」から「JG9」まで、9つのクラス区分に再編されることになった。

 具体的には、「JG1」と省略される4輪駆動のSA・SAX・SC車両を対象にしたクラス1を筆頭に、「JG2」という後輪駆動のSA・SAX車両と2輪駆動のSC車両を対象にしたクラス2、「JG3」と略される気筒容積1600ccを超える前輪駆動のSA・SAX車両を対象にしたクラス3、「JG4」という気筒容積1600cc以下のSA・SAX車両を対象にしたクラス4が誕生した。

 そして、「JG6」は、気筒容積1600ccを超え2000cc以下の2輪駆動(FR)のPN車両のうち、FIA/JAF公認発行年またはJAF登録年が2012年1月1日以降の車両を対象にしたクラス6で、「JG7」は、気筒容積1600ccを超える2輪駆動(FF、FR)のPN車両を対象にしたクラス7、「JG8」は、気筒容積1600cc以下の2輪駆動(FF、FR)のPN車両を対象にしたクラス8となっている。

 さらに、「JG5」としては、クラス6、クラス7およびクラス8に該当しないPN車両を対象にしたクラス5、そして、「JG9」と省略される、オートマチック限定免許で運転できるP・PN・AE車両を対象にしたクラス9が設定されることになった。

 基本的には現在のクラス区分を踏襲したものではあるが、新たな区分で注目すべきはJG1とJG2。JG1は、現在のSA4クラスとSC部門の4輪駆動が統合された格好で、JG2は、現在のSA3クラスとSC部門の2輪駆動車両がまとめられたことがポイントと言えよう。

 一方、全日本ダートトライアル選手権は、合計10クラスに編成される。

「JD1」と呼ばれるスピードD車両を対象にしたクラス1を頂点に、「JD2」とされる4輪駆動のSC車両を対象にしたクラス2、「JD3」とされる2輪駆動のSC車両を対象にしたクラス3、「JD4」とされる4輪駆動のSA・SAX車両を対象にしたクラス4、「JD5」とされる2輪駆動のSA・SAX車両を対象にしたクラス5、「JD6」と呼ばれるN車両を対象にしたクラス6が誕生した。

 そして、「JD7」とされる、気筒容積1600ccを超える2輪駆動(FR)のPN車両を対象にしたクラス7、「JD8」とされる気筒容積1600ccを超える2輪駆動(FF)のPN車両を対象にしたクラス8、「JD9」と呼ばれる気筒容積1600cc以下の2輪駆動のPN車両を対象にしたクラス9に加えて、「JD10」とするオートマチック限定免許で運転できるP・PN・AE車両を対象にしたクラス10という構成となった。

 こちらも全日本ジムカーナ選手権と同様に、現在のクラス区分をおおむね踏襲したもので、従来の「AE部門」を発展させた、オートマチック限定免許に対応したクラス10を新設したことがポイントと言える。

 全日本選手権における新たなクラス区分について、参加選手の反応を見ると、「タイムだけを見れば接戦になると思うので悪くない分け方」(ジムカーナ関係者)や「シンプルになった」(ダートラ関係者)と歓迎する人もいれば、「改造範囲が違うのでナンバー付きとナンバーなしの対決に疑問」、「装着タイヤにもよるが、クラス1とクラス2のSAとSCの混走が波紋を呼びそう」(それぞれジムカーナ関係者)と懸念する声もある。

 そして「出走順はどうなるのか」(ダートラ関係者)といった素直な疑問や「JG9は参加が拡大していくクラスだと思うので、P、PN、AEに加えて駆動方式で分けるなど、もっと細分化しておいた方がいいのでは?」(ジムカーナ関係は)という声もあった。

 また、2021年の日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定では、もう一つ大きな変更が行われた。それは第30条にある「順位の決定」の変更だ。

 2020年までの選手権規定では、両カテゴリーともに「原則として競技は2ヒートで行う。2ヒートのうち良好なヒートのタイムを採用し最終の順位(競技結果)とする」と記述されてきた。しかし、2021年からは、これら従来の方法に加えて「2ヒートの合計タイムを採用し最終の順位(競技結果)とする」ことも可能となった。

 もちろん、どちらの順位決定方法を採用するかは主催者に委ねられており、あらかじめ特別規則書に明示しなければならないのだが、こちらについても賛否両論がある。

「これまでのダートトライアルとは違った競技になり、1ヒートにかける緊張感のあるバトルが減るのでは?」(ダートラ関係者)、「短いラリーみたいで面白い。2ヒートの合計で争う大会があってもいい」(ラリー/ダートラ関係者)という声も。そして「勝つためには2回とも全力を出す必要がある。ゲーム性が高くて面白い」という声もある。

 ちなみに、地方選手権については、以前から各開催地域で任意のクラス区分を設定することができ、2021年の規定でも踏襲されている。もちろん、2020年までの規定と同様に、全日本選手権と同じクラス区分を設定しても構わないとされている。

 一方で、2020年「スピード競技開催規定」においても、それぞれの競技性を揺るがしかねない変更がすでに行われている。それは、スタート方式の記述が従来の「ランニングスタート」から、「スタンディングスタート、またはランニングスタートのいずれかとする」という方式に変更されている点だ(注:全日本選手権は、全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則によりランニングスタートと規定されている)。

 これまで「1本勝負」が大きな特徴とされてきたジムカーナ/ダートトライアルだが、新たな順位決定方法は、レースウィークの戦略にも影響する変更と言える。新たなクラス区分の採用と共に、スピード競技の中でも”古参”であるジムカーナ及びダートトライアル競技に対して、新たな競技形態を模索する扉が開かれたことになると言えるだろう。

これまで全日本ジムカーナSCは4駆と2駆は同クラスだったが、来年からは別クラスに。
全日本ラリーJN6クラスと同様に、JG9とJD10はAT免許で参加できるクラスとなる。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ