平川亮選手と福住仁嶺選手が好調のSFテスト、ルーキーたちも精力的に走行
2020年3月31日
3月24~25日の2日間にわたって富士スピードウェイで2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式合同テストが行われた。天候に恵まれた本テスト、ルーキーやベテランドライバーが入り混じる中、平川亮選手と福住仁嶺選手が好タイムを叩き出し、順調な仕上がり具合を見せた。
2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権第2回公式合同テスト
開催日:2020年3月24~25日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、関係者が出入りするパドックは一般入場禁止となり、チームやドライバーをはじめ取材を予定していたメディア関係者に対して事前に問診票の提出を義務付けしたほか、各所にアルコール消毒液を設置するなど徹底した対策が施されての公式合同テスト開催となった。
この公式合同テストを前にドライバー交代が発表された。当初B-Max Racing with motoparkの50号車にはピエトロ・フィッティパルディ選手が乗る予定だったが、テスト前日になってF1のレッドブル/アルファタウリのリザーブドライバーを務めるセルジオ・セッテ・カマラ選手が今シーズンのスーパーフォーミュラにフル参戦することが決まった。
1日目のセッション1は午前9時からスタート。富士山も一望できる澄み切った青空の中でテストが始まったが、気温8度、路面温度10度という極寒のコンディションということもあり、セッション序盤はコースオフする車両が相次いだ。
まずは開始して2分というところでタチアナ・カルデロン選手(THREEBOND DRAGO CORSE)がダンロップコーナーでスピン。マシン回収の後にセッションが再開されたが、今度は小林可夢偉選手(carrozzeria Team KCMG)が2コーナーでクラッシュを喫し、赤旗中断となった。これにより開始から30分は誰もタイムを計測できない時間が続いた。
セッションが再開されると、まず速さを見せたのが昨年のチームチャンピオンであるDOCOMO TEAM DANDELION RACING勢。山本尚貴選手が1分21秒480でトップにつけ、福住仁嶺選手も3番手に食い込む速さを見せていたが、セッション残り5分を切ったところで平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がタイムを更新し1分21秒342でこのセッションをトップで終えた。
午後のセッション2になると、路面状況も良くなってきたのか各ドライバーのタイムも大幅に向上。スーパーフォーミュラでは富士スピードウェイ最速タイムを上回る1分20秒台を記録するマシンが続々と現れた。そんな中で速さを見せたのが、午前中にトップタイムを記録した平川選手。1分20秒677で午後のセッションもトップとなった。2番手には0.017秒差で福住選手がつけ、3番手にはルーキーの大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)が入った。
25日のテスト2日目も当初は午前9時から走行開始の予定だったが、極寒のコンディションになることが懸念され午前10時スタートにスケジュールが変更された。途中、牧野任祐選手(TCS NAKAJIMA RACING)がトラブルでマシンを止めたため赤旗中断となったが、それ以外は順調にセッションが進行。最後に福住選手が1分20秒785を記録しトップで午前のセッションが終了。2番手に野尻智紀選手(TEAM MUGEN)、3番手に平川選手がつける結果となった。
午後のセッション4ではスピンを喫する車両が目立った。まず開始20分のところで中嶋一貴選手(VANTELIN TEAM TOM'S)が100Rでスピンを喫し赤旗中断。さらにセッション中盤には小林選手、国本雄資選手のcarrozzeria Team KCMG勢が相次いで左リアタイヤのトラブルに見舞われコース上でストップし、合計3度の赤旗中断があった。
セッション終盤には新品タイヤでのタイムアタックシミュレーションを行うチームがほとんどだったが、ここでトップに立ったのが福住選手。1分21秒207のベストタイムで最後のセッションを終えた。2番手には平川選手がつけ、このふたりが2日間通して安定した速さをみせていた。3番手にはサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)がつけた。
テストを終えた平川選手は「昨年末の合同テストでの結果を踏まえて、今回準備してきたことが良い方向に行ったと思います。調子が良すぎて少し気持ち悪い感じですが、まだまだ伸び代はあると思うので、引き続き色々試していきたいです」とコメント。
一方の福住選手も調子の良さは感じつつも「まだどの時期にレースをするのか分からないので、このコンディションにマシンが合っているのが良いかどうか判断が難しいところです。でも平川選手のあの速さを見ていると、まだまだ油断できないです」と気を引き締めている様子だった。
そして、国内トップフォーミュラでは23年ぶりの女性ドライバーとなるタチアナ・カルデロン選手。チームも4年ぶりに復帰したDRAGO CORSEでマシンもこのテストがシェイクダウンということで、最初はトラブルに悩まされる時間もあったが、2日間通して淡々と周回を重ねマシンとタイヤに慣れている様子だった。
テストを終えたカルデロン選手は「正直、今回の結果には満足していないです。特にタイヤの特性がF2でのピレリとは違うのでそこに慣れるのが大変でした。あと走行時間も限られていてとにかくメニューをこなしていくので精一杯。次の走行機会まで宿題がたくさんあるなという感じです」と2日間を振り返っていた。
新型コロナウイルスの感染拡大により、開幕戦鈴鹿と第2戦富士の延期が決定。さらに4月3日~4日に鈴鹿サーキットで公式合同テストが予定されていたが、それも中止になることが3月27日に日本レースプロモーション(JRP)から発表された。
今年は非常に見どころの多いシーズンとなりそうなのだが、いつシーズンが開幕するのか不透明な状況が続いている。
フォト/上尾雅英、JAFスポーツ編集部 レポート/吉田智弘