岡山国際サーキットでスーパーGT公式テスト開催。GT500はタイムが拮抗、GT300はロータスが好調

レポート レース

2020年3月23日

4月11~12日に2020年開幕戦がスケジュールされていたスーパーGT。3月14~15日には岡山国際サーキットで公式テストが行われ、GT500車両16台、GT300車両30台の計46台が参加した。

SUPER GT 2020公式テスト岡山国際サーキット
開催日:2020年3月14~15日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)

 2日間のテストを通して、GT500クラスは14号車「WAKO’S 4CR GR Supra」の大嶋和也/坪井翔組、GT300クラスでは2号車「シンティアム・アップル・ロータス」の加藤寛規/柳田真孝組がトップタイムをマークした。

 今回の公式テストは、新型コロナウィルスの影響により無観客で実施。チームスタッフやメディアに対しても毎日の検温やマスク着用が義務付けられた。また、岡山国際サーキットは今回のシーズンオフで、2コーナーに二輪用のシケインを設置。モスSアウト側のランオフエリアが拡大され、以前より安全性が高められている。

 そして、外からの車両の視認性を向上させるため、フロントウィンドウ上部には、これまでのドライバー識別のランプに代わり、順位とドライバーのイニシャルが表示されるようになっていた。今回はGT500が白文字、GT300は青文字による表示だったが、表示情報や色は今後も検討されるようだ。

 14日(土)のテスト初日は、未明から降り出した雨が朝まで残り、気温8℃、路面温度13℃という冷えたウェットコンディションで始まった。細かい雨は15分ほどで上がったが、各車レインタイヤで走行を継続。レインタイヤの確認といった作業が続いた。

 セッションの終盤、乾いて来た路面でドライタイヤを装着した車両が走行を始め、終盤には8号車「ARTA NSX-GT」(野尻智紀/福住仁嶺組)の野尻選手が1分19秒202のトップタイムをマークした。GT300では88号車「JLOCランボルギーニGT3」(小暮卓史/アンドレ・クート/手塚祐弥組)の小暮選手が1分27秒086でトップだった。

 セッション2も、開始直前に弱い雨が降ったためウェット路面でスタート。この午後のセッションでは、今季から導入されるFCY(フルコースイエロー)の訓練が行われた。

 FCYはアクシデント等の発生時にコース全周のポストで「FCY」と表示されたボードが掲出され、10秒後に黄旗が掲出。この間に全車は速度を80km/hまで減速させなければならないシステム。この訓練は大きな混乱も起きずFCY解除もスムーズに進行した。この間にコースは乾き、各チームはドライタイヤに履き替えてセッティングの確認を行った。

 セッション2の終盤にはGT300/GT500クラスそれぞれの専有走行枠が設けられ、GT300クラスでは21号車「Hitotsuyama Audi R8 LMS」(クリストファー・ミース/川端伸太朗組)のミース選手が1分25秒649でトップに立った。

 日本のコースを走るのは初めてだったミース選手は「最高です。初めてのサーキット、チーム、タイヤでトップを獲ったことは良いスタートになりました。2016年以来優勝していないチームなので、今年はぜひ優勝したいです」と嬉しそうに話した。

 GT500では17号車「KEIHIN NSX-GT」(塚越広大/ベルトラン・バゲット組)のバゲット選手が1分17秒850でトップ。「クルマはまだ改善すべき点があります。フロントエンジンのNSXを作ってくれたホンダに感謝です」と、こちらも終始笑顔だった。

 初日となった14日はトップから1秒の間に10台がひしめくリザルトで、ホンダ、トヨタ、日産ともタイムはかなり拮抗していた。

 15日(日)は、晴れているもののコースはウェットコンディション。気温5℃、路面温度7℃と前日より冷えた状態でセッションがスタートした。

 前日はウェットコンディションの時間が長く、タイヤ選択が満足にできなかったチームも多く、このセッションでもタイヤ選択とセッティングの確認に時間をかけるチームが多かった。前日にクラッシュした新規参戦の6号車「ADVICS muta 86MC」(阪口良平/小高一斗組)も深夜に修復が完了し、この朝から走行を開始した。

 このセッション3では前日同様にFCYの訓練が行われ、その後セーフティカー(SC)を導入したSC訓練も実施。前日同様に大きな混乱もなく、整然と走行が続いた。この頃から路面のレコードラインが乾いてきたことから、ピットインしてドライタイヤに変更する車両が増えた。

 開始1時間ほどで、19号車「WedsSport ADVAN GR Supra」(国本雄資/宮田莉朋組)の国本選手がモスSでクラッシュを喫し、この後の走行を諦めている。1時間20分を経過すると12号車「カルソニック IMPUL GT-R」(佐々木大樹/平峰一貴組)の平峰選手が1分19秒台に入れてきた。

 終盤には14号車GRスープラの大嶋選手が1分18秒台をマーク。終盤には14号車の坪井選手が1分18秒123のトップタイムを計測した。「GT500は2年目ですが、新チームやタイヤ、クルマになって、混雑した中でトップを獲れて自信になりました。うれしい反面、責任やプレッシャーもありますが打ち勝って良い結果に繋げたいです」とは坪井選手。

 GT300では2号車ロータス(加藤寛規/柳田真孝組)の加藤選手が1分25秒595でトップとなった。「岡山とマザーシャシーの相性が良いから、この結果が出たんだと思いますが、一発のタイムとアベレージタイムは違うので満足はしていません。経験豊富な柳田選手と情報をすり合わせて、一つでも上の順位を目指したいです」と、加藤選手は慎重なコメントを残した。

 午後のセッション4では気温11℃、路面温度20℃とようやくこの時期らしい値まで上昇。まずは15分間のフリー走行を行った後、グリッドに着いてスタートの練習を行った。また本公式テストで3回目となるFCY訓練も実施された。

 多くのチームがロングランテストを行っていたようだが、路温が上がったことで、まだタイヤ選択を行うチームも見受けられた。このセッション4では38号車「ZENT GR Supra」(立川祐路/石浦宏明組)の石浦選手がマークした1分18秒193がトップ。GT300では61号車「SUBARU R&D SPORT BRZ」(井口卓人/山内英輝組)の山内選手が出した1分25秒773がトップタイムとなった。

今年から登場するGRスープラGT500車両の新カラーが各チームからお披露目された。
2日目には2番手タイムで存在感を示した23号車松田次生/ロニー・クインタレッリ組。
今シーズンから導入される「フルコースイエロー(FCY)」の実践テストも行われた。
2日間のセッション通じて好調をキープしたのはシンティアム・アップル・ロータス。
アウディの実績が豊富なクリストファー・ミース選手を擁したAudi Team Hitotsuyama。
ADVICS muta Racing INGINGが86MCで参戦。阪口良平/小高一斗/堤優威組が乗車する。
GT500車両とは違った趣がある、GT300クラスのSAITAMA TOYOPET GB GR Supra GT。

フォト/吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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