春の訪れを告げるJAF地方選手権がツインリンクもてぎで開幕し、初戦から激しいバトルが展開!

レポート レース

2020年3月12日

JAF地方選手権を始めとする、さまざまなカテゴリーのレースが開催されて賑わうもてぎチャンピオンカップレース。雨が残るウェットコンディションの中、それぞれ好バトルが繰り広げられた。

2020もてぎチャンピオンカップレース第1戦
開催日:2020年3月8日
開催地:ツインリンク(栃木県茂木町)
主催:BSC、株式会社モビリティランド、M.O.S.C.

 ツインリンクもてぎで3月8日に「もてぎチャンピオンカップレース第1戦」が開催された。新型コロナウイルスの感染予防として、場内の施設は休業とされ、受付やブリーフィングは屋外で実施。表彰式ではシャンパンファイトを行わず、プレゼンターとの握手も控えられていた。

 とはいえ、そういった厳戒ムードを吹き飛ばすような激しいバトルが、どのレースでも繰り広げられていた。ただ例年、開幕戦では気候的にレコードタイムが更新されやすい傾向だったが、今回は未明から早朝にかけて降った雨が路面を濡らしていたため、その期待が絶たれたのは残念ではあった。

 スーパーFJは、予選終了間際に新倉涼介選手を逆転してポールポジションを獲得したのが、「気負いすぎて2回コースアウトしましたが、その前にどう走ればグリップするか分かっていたので、最後にしっかりまとめることができました」と語る鈴木千勝選手。

 まだ路面に水が残る決勝では、鈴木選手がトップで1コーナーに飛び込んでいくが、新倉選手と松澤亮佑選手、杉本涼選手が離れずに続いていく。この4人によるトップ争いは最後まで続いたが、先行するドライバーの相次いだミスに乗じ、9周目にトップに立ったのが杉本選手だった。

「自分で詰めるんじゃなく、前のクルマのミスを待っていました。その都度インを刺して。僕自身は冷静でしたし、シフトミスも一度もなく。去年は筑波のレースに2戦出て、1回2位表彰台に立っているんですが、優勝はそれ以上の嬉しさがありましたね」と杉本選手。以下、新倉選手、ルーキーの松澤選手の順でゴールした。

 今年はもてぎから始まり、全12戦で争われることとなったJAF-F4は、連覇を目指して継続参戦の徳升広平選手に、練習でエンジントラブルが発生。予選を前にリタイアという波乱があった。ポールポジションを獲得したのは太田達也選手で、2018年のチャンピオンでもある金井亮忠選手を3秒以上も引き離した。

「急きょ出場が決まって、練習も1本しかできていないのに。クルマがいいので(笑)。ずいぶん差はありますけど、後ろが金井選手なので来そうな気がするんですよ」と太田選手。その予感は的中し、一時は2秒半のリードを築いたものの、3周目からは金井選手のペースが上回るようになって、中盤からは完全にテール・トゥ・ノーズ状態での戦いに。

 しかし、要所をしっかり押さえて太田選手は逆転を許さず「厳しかったですね。タイヤもつらかったけど、路面が少しずつ良くなっていく中、あまりにウェット寄りのセットにしちゃったので」と苦笑い。敗れた金井選手は「何度かミスもしていましたけど、それでも抜けませんでした」と悔しそうに語っていた。3位は中島功選手が獲得した。

 45台がエントリーのN-ONEオーナーズカップは、スタート直後のS字で転倒車両があり、2周に渡ってセーフティカーが導入されて、実質5周の超スプリントに。そんな状況に少しも動じることなく、木下将太郎選手が初めて尽くしのポール・トゥ・ウィンを成し遂げた。

「雨のレースは好きじゃないんですが、なぜか結果が出るんです。とてもいいクルマに仕上げてくれたチームのおかげです」と木下選手。2位は塚原和臣選手が、そして3位は川福健太選手が獲得した。

 もてぎVITAは佐藤考洋選手が初のポールを獲得。「自分でもびっくりしています」と語り、決勝でも好スタートを切る。しかし、予選4番手から、オープニングラップのうちに真後ろまで迫ってきたイノウエケイイチ選手のプレッシャーに屈したわけではなかろうが、最終コーナーでスピン。大きく順位を落としてしまう。これでトップに立ったイノウエ選手は、中盤に相馬充寿選手の接近を許すも、オルタネーターのトラブルでリタイアを喫した後はペースを抑える余裕さえ見せていた。

「途中、近づかれたけど、危なくなく丁寧に対処しようと思っているうちに、いなくなっちゃった」とイノウエ選手。2位は茂木祐一選手が、3位は大友敦仁選手が獲得した。

 もてぎシビックは、2018年のチャンピオンの関直之選手が昨年の最終戦に続いてスポット参戦し、「タイミングを逸した感もあって、タイムはちょっと納得がいかないね」と語りながらもポールポジションを奪い、決勝も後続に9秒もの差をつける圧勝となった。

「途中から抑えましたけどね」と語りながら。その後方では目まぐるしく順位が入れ替わったが、最後は林大輔選手が福田裕平選手を抑えきった。

 もてぎと菅生を舞台とする、ツーリングカー地方選手権でもあるFIT 1.5チャレンジカップは、鈴鹿・岡山シリーズで3連覇のHIROBON選手が活躍の舞台を移すことに。タイヤ選択によって予選は6番手に甘んじたが、スタートからの1周で3番手に上がり、4周目には2番手に浮上。さらにポールから逃げようとしていた相原誠司郎選手にも襲いかかる。

 6周目の1コーナーでトップに立ったHIROBON選手ながら、その時すでにタイヤがピークに。さらに「一瞬、気を抜いてしまった」ところに、すっとインを刺してきた相原選手に90度コーナーで再逆転を許す。最後はコンマ2秒差ながら相原選手が逃げ切りに成功。

「諦めるつもりはなかったし、どこかでチャンスあるだろうと。そしたらやっぱり来たね!」と相原選手はしてやったりの様子だった。このふたりに終始離れず続いていた、松尾充晃選手が3位を獲得した。

スーパーFJは予選4番手だった杉本涼選手が冷静にチャンスをうかがい、トップを捕らえて見事優勝を果たした。
昨シーズン3位だった新倉涼介選手が2位、そしてルーキーの松澤亮佑選手が3位に入賞。
JAF地方選手権スーパーFJもてぎシリーズ第1戦の表彰式。左から2位の新倉選手、1位の杉本選手、3位の松澤選手が登壇。
JAF-F4はポールポジションの太田達也選手が、迫り来る後続をしっかり抑えて優勝した。
トップに詰め寄る場面もあったが悔しい2位の金井亮忠選手と、3位表彰台を獲得した中島功選手。
JAF地方選手権JAF-F4選手権第1戦の表彰式。左から2位の金井選手、1位の太田選手、3位の中島選手が登壇。
45台がエントリーしたN-ONEは、初ポール、初表彰台の木下将太郎選手が初優勝と‘‘初‘‘づくし。
好スタートを決めた塚原和臣選手が2位、川福健太選手は粘りの走りで3位となった。
N-ONEオーナーズカップRd.1の表彰式。左から2位の塚原選手、1位の木下選手、3位の川福選手が登壇。
バラエティに富んだドライバーが揃ったVITA。イノウエケイイチ選手が初戦を制し、2018年以来の優勝を飾る。
旧型エンジンながら2位を獲得した茂木祐一選手。スタートミスを挽回した大友敦仁選手が3位入賞。
2020 VITAトロフィーレースRound1の表彰式。左から2位の茂木選手、1位のイノウエ選手、3位の大友選手が登壇。
VITAトロフィーWクラスは岡庭武司選手が3位。表彰式は左から2位の大友選手、1位のイノウエ選手、3位の岡庭選手が登壇。
VITAトロフィーYクラスは佐藤孝洋選手が2位。表彰式は左から2位の佐藤選手、1位の茂木選手が登壇。
もてぎシビックは2018年のチャンピオンでもある関直之選手が、スポット参戦で優勝した。
鈴鹿から遠征してきた林大輔選手が2位。3位は予選2番手だった福田裕平選手が獲得。
もてぎチャンピオンカップレース第1戦の表彰式。左から2位の林選手、1位の関選手、3位の福田選手が登壇。
チャンスが訪れるのを信じたという相原誠司郎選手。FIT1.5チャレンジカップで再逆転の優勝。
2位は鈴鹿・岡山シリーズの実力者のHIROBON選手。トップに追走した松尾充晃選手が3位。
2020 もてぎ・菅生ツーリングカー選手権第1戦の表彰式。左から2位のHIROBON選手、1位の相原選手、3位の松尾選手が登壇。
JAF-F4選手権2019年度の年間表彰式が土曜に行われた。特別賞を受賞した日本自動車大学校モータースポーツ科の生徒を始め、F4表彰対象の皆さんが集まった。
2019年度JAF-F4地方選手権シリーズグランドチャンピオンSクラスの表彰式。左から2位のライジング選手、1位の徳升広平選手、3位のハンマー伊澤選手(代理)が登壇。
2019年度JAF-F4地方選手権シリーズオーナーSクラスの表彰式。左から2位の佐藤敦氏(代理)、1位の入榮秀謙氏、3位の吉村英夫氏(代理)が登壇。
2019年度JAF-F4地方選手権シリーズグランドチャンピオンHクラスの表彰式。1位の入榮秀謙選手が登壇。
2019年度F4日本一決定戦の表彰式。1位の太田格之進選手(代理)が登壇。
2019年度JAF-F4地方選手権シリーズ国土交通大臣賞は自動車工房ミストが受賞。

フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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