「CUSCO & DUNLOP Bライセンス競技若手育成プログラム」、2020年メンバーを発表

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2020年3月4日

”Bライ競技”には欠かせないサプライヤーのCUSCOとDUNLOP。その二社がジョイントして若手育成に挑む初の試みが年始に発表され、2020年の育成メンバーが発表された。

 FIAアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)や全日本ラリー選手権、全日本スピード競技などのフィールドで長年モータースポーツパーツを開発し多くの熟練ドライバーを輩出してきた群馬のキャロッセと、日本のトップレースからグラスルーツモータースポーツまで幅広いカテゴリーに競技用タイヤを供給している住友ゴム工業(モータースポーツ部)がジョイントした「CUSCO & DUNLOP Bライセンス競技若手育成プログラム」が2020年1月8日に発表され、3月4日、育成対象となるメンバーが発表された。

 このプログラムは、モータースポーツの裾野を広げて、さらに高度な活動とステップアップを目指す若手ドライバーを支援する企画で、ラリーやジムカーナ、ダートトライアル競技を対象として、JAF地方選手権やJAF全日本選手権に参加する30歳以下の選手に、ダンロップタイヤやCUSCO競技用パーツの貸与や選手権に応じて各競技会への参加費の一部支援を行う内容となっている。

 募集を開始すると、48名もの応募があったそうで、当初3名の選出を予定していたが、確固たる目標を持つ期待度の高い選手が多かったことから、大幅に選出枠を拡大して以下の9名に対する支援が決まったという。このたび発表された2020年選出メンバーは以下の通り。

細井大輝選手 ラリー地方選手権/ダートトライアル地方選手権
嶋村徳之選手 東日本ラリー選手権/群馬&関東ラリーシリーズ
目黒 亮選手 全日本ダートトライアル選手権D
浦上 真選手 全日本ダートトライアル選手権PN3
井之上優選手 全日本ダートトライアル選手権SA1/ラリー&ダートトライアル地方選手権
大須賀智史選手 関東ダートトライアル選手権/全日本ダートトライアル選手権
奥井優介選手 全日本ジムカーナ選手権PN4/関東ジムカーナ選手権
大橋政哉選手 全日本ジムカーナ選手権PN2
関健一朗選手 中部ジムカーナ選手権/全日本ジムカーナ選手権PN2

「このプログラムは、純粋にグラスルーツモータースポーツの振興を目指した企画です。とにかく若者をもっと増やしたいんです。『どこかが始めないと』という危機感がありましたし、誰かがモーションを起こすことによって、他の企業を始めとした、別の動きに繋がるかも知れませんよね。今回はダンロップさんの賛同を得ることができましたので、このような企画実現に至りました」。

「小社では以前から女性ドライバーを対象とした全日本ラリー参戦企画も実施していますが、実は、全日本ラリーを対象とすると全然申し込みがないんですよ。その理由を探ると、さすがに木曜日から移動となると、普通の人にはできないという事情のようなんです。時間の使い方の自由度が高いのは、やっぱり年齢層の高い方になりますよね。だから若い人が応募したくてもできない。そうなると、もう先がない……。そういうことで、とにかく、まずは若い人たちにこの世界に入ってほしい、という思いを反映させたプログラムなんです」。

 と語るのはキャロッセの長瀬努社長。このプログラムは継続的な実施を想定しており、参加の門戸を広げるだけではなく、将来的な活動を拡大できるようにすることも視野に入れているそうだ。

 また、キャロッセは2月12日に2020年のモータースポーツ活動計画を発表し、自社開発のC-HRとマイケル・ヤング選手によるAPRCへの継続参戦を表明。C-HRではタイ国内ラリー選手権にも参戦する他、全日本ラリー選手権を始めとした国内ラリーには、オーディションにより新たに選出された女性6名をドライバーとして起用することも発表した。

 全日本ラリー選手権には柳澤宏至選手や水原亜利沙選手を始め、新規加入の兼松由奈選手と永井歩夢選手がドライバーとして参戦。高橋芙悠選手と美野友紀選手がナビゲーターとしてサポートする。11月に開催が予定されているWRC日本ラウンドには、柳澤選手や水原選手に加え、新規加入のいとうりな選手がFIA R車両をドライブする予定となっている。

 また、過去にCUSCO RACINGからラリー参戦経験がある今橋彩佳選手は今回のオーディションを経て再びチームに合流してTRD RALLY CUPに参戦。同じく新規加入の高橋千織選手と橋本美咲選手はドライバーとしてのトレーニングに加えて、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジへの参戦が予定されている。

 キャロッセでは、今シーズンはCUSCO RACINGとしては初となるドリフトカテゴリーへの参戦も表明。全日本ラリーを戦った水原選手がMSCチャレンジに参戦するほか、現在、自社開発を行っているドリフト仕様のGRスープラによるドリフト参戦も予定。レースカテゴリーでは、猪爪俊之選手が指揮を執り猪爪杏奈選手らがドライバーを務めるチームiCraftの支援を実施。「ナチュラルチューニング☆クスコ☆NATS」の参加車両名でスーパー耐久や富士24時間耐久レースに参戦する予定だ。

 全日本ジムカーナ選手権では、昨年ロードスターRFに全日本初優勝をもたらした天満清選手とSA4では初タイトルを獲得した菱井将文選手、そして全日本ダートトライアル選手権では、昨年はタイトル争いに惜しくも破れた荒井信介選手など業界を支えるベテラン選手の参戦支援も発表されている。

育成プログラムのメンバーに選手された、全日本ジムカーナ選手権PN4を親子で戦ってきた奥井優介選手(右)。
2019年全日本ダートトライアル選手権第7戦で勝利を挙げた井之上優選手も育成プログラムのメンバーに選出。
キャロッセ謹製のC-HRでAPRCを戦うマイケル・ヤング選手と、全日本ラリー選手権や11月下旬に開催予定のWRC日本ラウンドに参戦予定の柳澤宏至選手と水原亜利沙選手。
全日本ラリー選手権には、新規加入の兼松由奈選手や永井歩夢選手がドライバーとしてJN6に参戦予定。車両はノートe-POWER NISMOやヴィッツCVTなどが予定されている。
WRC日本ラウンドにはFIA R車両で挑む予定のCUSCO RACING。柳澤選手はシュコダ・ファビアR5、水原選手はヴィッツR1、いとうりな選手がプジョー208 R2で参戦予定だ。
オーディションで全日本ラリーJN6ドライバーに選出された兼松由奈選手と永井歩夢選手。
今橋彩佳選手はチーム再加入。ラリー経験の豊富ないとうりな選手はチームに新規加入。
経験の浅い高橋千織選手と橋本美咲選手は「育成枠」としてラリートレーニングを受ける。
今シーズンはGRスープラの開発を推し進めるキャロッセ。久々のドリフト車両も開発中。

フォト/JAFスポーツ編集部、滝井宏之、キャロッセ レポート/JAFスポーツ編集部

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