地方カート選手権の2020シーズンがいよいよ開幕!

レポート カート

2020年2月27日

全国で5つのシリーズ戦が行われる2020年地方カート選手権の先陣を切って、鈴鹿選手権シリーズでFS-125部門が開幕。13歳の鈴木斗輝哉(K speed win)が熱闘を制して初優勝を飾った。

2020年地方カート選手権 鈴鹿選手権シリーズ カートレース第1戦
KART RACE IN SUZUKA

開催日:2020年2月23日
開催地:鈴鹿サーキット国際南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC

 地方カート選手権は2019年まで設定されていた東西2地域制のシリーズ開催方式を刷新、2020年は全国5カ所のサーキット(SUGO/もてぎ/本庄/瑞浪/鈴鹿)でそれぞれFS-125部門のシリーズ戦が開催されることとなった。2月23日に行われた鈴鹿選手権シリーズ第1戦は、その最初のレースだ。

 出走は27台。このレースは昨年まで鈴鹿選手権Parilla X30クラスとして行われて高い人気を博していたが、今回もその頃とほぼ変わりのない参加者が集まった。

 公式予選(タイムトライアル)では、Parilla X30クラス当時からのトップコンテンダー・金本きれい(NEXT-ONE Racing)がコースレコードを更新するトップタイムをマーク。コンマ077秒差の2番手には昨年のジュニアカート選手権FP-Jr部門チャンピオン・12歳の堂園鷲(TEAM SCHU)がつけた。

 予選ヒートでは堂園がスタートでトップに立つと、そのまま逃げ切って決勝のポールを獲得。セカンドグループの戦いを制して2番手でゴールしたのは鈴木斗輝哉だったが、鈴木はスタート違反のペナルティで3番手に。替わって金本が2番手となった。4番手と6番手には堂園と同じFP-Jr上がりの安藤哉翔(ONE POINT)と加納康雅(TOP LABO)が、5番手にはSenior MAXクラスから移ってきた玉橋陸斗(THISTLE RACING)が続き、上位陣の顔ぶれはなかなかフレッシュなものとなった。

 決勝は16周。レッドシグナルが消えると、鈴木が抜群のスタートダッシュで先頭を奪った。すると2周目、堂園がトップを奪い返す。ここに金本、玉橋、安藤が続き、先頭集団は5台一列の接近戦だ。やがて2番手には玉橋が上がってきた。

 比較的静かな展開だったレースは、終盤戦に入ると一気に熱を帯びる。14周目、鈴木と金本が揃って前の2台をパスして1・2番手に。すると、すかさず玉橋と堂園が、さらに安藤が金本の前へ。15周目、堂園が玉橋を再逆転して2番手に上がり、金本もふたつ順位を取り戻す。トップを行く鈴木は、背後のバトルを利して0.7秒ほどのギャップを築くと、そのままチェッカーへと駆け抜け、ナンバー1サインを力強く掲げた。

 初優勝を果たした鈴木は1週間前、ヨーロッパ伝統のプレシーズンマッチ、伊ウィンターカップのOKクラスに参戦。「3位まで下がった時には前に追い付くのが精一杯で、逆転は難しいかなと思ったけれど、ヨーロッパで経験したことが活きたのかなと思います」とレースを振り返った。

 堂園は地方選手権のデビュー戦を2位でフィニッシュして、「難しいレースだったけれど、面白かったです」と語った。新勢力を迎え撃つ立場となった金本は3位を獲得。「やっぱり勝ちたかったですね。新しい子たちのやり方が去年までとは違って、少し戸惑いました」と言いながら、活気のあるレースを終えて笑顔をのぞかせていた。

 今回の大会では、鈴鹿選手権シリーズのKART RACE IN SUZUKAが同時開催。その各クラスも2020シリーズの開幕を迎えた。

 Senior MAXクラスでは、14歳の山口大耀(HRS JAPAN)が3番グリッドから優勝。「チームの人たちのアドバイスをちゃんと実行できました」と語る山口は、昨年終盤の同クラスデビューウィンから続く鈴鹿3連勝だ。2位は6番グリッドから浮上の冨田蓮(TEAM EMATY)。ポールの酒井仁(LUCE MOTOR SPORTS)は3位でレースを終えた。

 6段変速機構装備のマシンで戦うROK SHIFTERクラスは、このクラス独自のスタンディングスタートで16周の決勝が始まった。すると、3番グリッドの東拓志(NEXT-ONE Racing)が得意のスタートを決めて2番手に上がり、ポールの堀尾風允(TAKAGI PLANNING)の真後ろに貼り付く。だが、東はタイヤの摩耗に苦しんで徐々に後れを取り始め、後半戦は堀尾の独走に。

 スポット参戦ながら2019最終戦に続く2連勝を飾った堀尾は、「ギリギリの優勝でした。最高のスタートを決められてよかったです」と謙虚なコメントだ。2位はスタートの出遅れからの猛追を演じた水越健太(MOMOX KART RACING)。東は水越の逆転を許し3位となった。

順位が入れ替わりながらも、最後はトップでゴールした鈴木斗輝哉がFS-125部門で嬉しい初優勝を遂げた。
FS-125部門で2位の堂園鷲と、3位の金本きれい。
FS-125部門の表彰式。左から2位の堂園、1位の鈴木、3位の金本、4位の安藤哉翔、6位の田中風輝。
Senior MAXは3番グリッドからスタートした山口大耀が優勝。今回の勝利で鈴鹿選手権3連勝となった。
Senior MAXクラスで2位の冨田蓮と、3位の酒井仁。
Senior MAXクラスの表彰式。左から2位の冨田、1位の山口、3位の酒井、4位の古谷悠河、5位の樋江井琉翔、6位の池田一帆。
VORTEX製の6段ミッションを内蔵したエンジンを使用するROK-SHIFTERは、スポット参戦ながら堀尾風允が優勝した。
ROK-SHIFTERクラスで2位の水越健太と、3位の東拓志。
ROK-SHIFTERクラスの表彰式。左から2位の水越、1位の堀尾、3位の東、4位の佐藤凌音、5位の前田樹、6位の小林弘直。
ROK-SHIFTER Masterクラスの優勝は岡本孝之。
ROK-SHIFTER Masterクラスで2位の西野武志と、3位の加藤丈宜。
ROK-SHIFTER Masterクラスの表彰式。左から2位の西野、1位の岡本、3位の加藤。
“ローカルレースの定番”ともいえるYAMAHA KT100Sエンジンのワンメイクレースで、小学6年生以上が対象のYAMAHA SS。優勝は鈴木浬。
YAMAHA SSクラスで2位の久富圭と、3位の中村駿甫。
YAMAHA SSクラスの表彰式。左から2位の久富、1位の鈴木、3位の中村、4位の高村宏弥、5位の角陽向、6位の村松伸一。
車両規定はYAMAHA SSクラスとほぼ共通(最低重量が5kg重い)ながら、参加資格が30歳以上となるSUPER SS。優勝は金森洋平。
SUPER SSクラスで2位の坂裕之と、3位の碓氷学。
SUPER SSクラスの表彰式。左から2位の坂、1位の金森、3位の碓氷、4位の野嵜弘樹、5位の大川浩、6位の乾裕貴。
ROTAX MAXエンジン・ワンメイクレースの中で、25歳以上の選手を対象にした“大人向け”クラスのMAX Masters。優勝は松谷隆郎。
MAX Mastersクラスで2位の岸本慎介と、3位の山﨑学。
MAX Mastersクラスの表彰式。左から2位の岸本、1位の松谷、3位の山﨑、4位の土橋秀多、5位の山本一平、6位の佐々木克行。
子供用の小型シャシーにパワーを絞ったYAMAHA KT100Sエンジンを積む、小学2年生以上が対象のカデットオープン。優勝は中井悠斗。
カデットオープンクラスで2位の城優輝と、3位の田邊琉揮。
カデットオープンクラスの表彰式。左から2位の城、1位の中井、3位の田邊、4位の佐藤佑月樹、6位の佐藤充希。
今回、SUPER SSクラスのエントリーリストには現役GTドライバー“蒲生尚弥”の名前が記されていた。
「もともとカートで遊んでいたりしたんですけど、だんだんエスカレートしてレースに出てみたいなと思って参戦してみました。GTを始め、これまでいろんなカテゴリーをやらせてもらいましたが、やはり原点のカートがシンプルで楽しいなと改めて感じました。でも、今日のレースが不完全燃焼(11位)だったので、日程が合えばまたエントリーして、結果が出るまで頑張ってみたいと思います」と、蒲生は今後もカートを積極的に乗りたいと語った。

フォト/吉見幸夫、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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