日本最北端の地で行われる名物氷上トライアルが今年も開催!

レポート その他

2020年2月19日

北海道稚内市の冬季、凍結した湖で行われる氷上タイムトライアルイベント、「大沼スノーアタック」が、今年も2月2日に開催され、多くのドライバーが、スノー&アイスドライビングを楽しんだ。

第24回大沼スノーアタック
日程:2020年2月2日(日)
会場:稚内市大沼氷上特設コース
主催: 宗谷オートスポーツアクション(SASA)

 北海道稚内市の大沼は、周囲約10kmという広大な湖として知られ、春と秋には数千羽のハクチョウが訪れる飛来地としても知られている。冬、凍結したこの大沼の湖面を舞台に行われるのが大沼スノーアタックだ。

 大会を主催するのは日本最北端のJAF加盟クラブである、宗谷オートスポーツアクション(SASA)。1968年設立という伝統を誇るクラブで、大沼スノーアタックも今年で24回めを迎える、北海道を代表するモータースポーツイベントになる。

 大沼スノーアタックの最大の魅力は、やはりその広大なコースがもたらす高速ドライビングだ。今回のコースは全長2.8km。トップグループの選手は平均速度90km/hを超えるスピードで走り切った。冬に、低ミュー路のコースで、これだけの高速ドライビングを楽しめるコースは、同じ北海道の糠平湖の氷上特設コースで行われるトライアルがあるのみ。本州には存在しない。

 今回、総合優勝を飾った三上悟選手は元全日本ダートトライアル選手権のトップドライバー。青森から今年も大沼と糠平湖に駆け付けた。「同じ氷の上でも糠平とはまたグリップの感じが違うんですよ。そこを攻略するのが楽しい」と話す。スノートライアルは、やはり北海道ならではの冬のモータースポーツ風物詩と言えそうだ。

 今年の大沼は昨年より40台も多いエントリーがあり、130名もの参加者が年イチのスノートライアルを楽しんだ。人気の秘密について、SASAの丸山衛さんは、「昨年の大会の湖面のコンディションが良かったので、そうした評判を聞いて、期待して参加された方が多かったと思います。やはりSNSの力を感じますね。でも今年も天候に恵まれたし、湖面も過去最高と言っていいくらいのコンディションだったので、期待に応えることができて良かったと思っています」と語った。

 本州最北端の地である稚内は、道民にとっても、ある意味、『遠い』場所であるようで、過去、暴風雪に見舞われた時には、往路の安全が確約できないため、丸山さん達が敢えて遠方の参加者に参加取りやめを電話で促したこともあるそうだ。

 しかし今年は前述の通り、道内各地から多くの参加者が詰めかけた。釧路から8時間かけて今回のイベントに駆け付けた、ある参加者は、「思いっきり走れるというのが一番の魅力ですけど、公道では体験できない、クルマやタイヤの限界挙動を知ることができるという意味でも、凄く役に立つイベントです」と話す。

 SASAはこのイベントに合わせて前日の土曜にはこの大沼で、稚内市民や行政関係者などを対象とした交通安全講習会も長く開催している。氷上を走るという非日常の体験を通して、しっかりと日常の安全運転にフイードバックできる経験を持ち帰れるこのイベント、これからも日本最北端の地で、ますます欠かせないものとなっていくはずだ。

放射冷却で氷点下10度近い寒さの中、開会式、ドライバーミーティングが行われ、走行時の注意事項などが伝えられた。
当日のコース図。前半は超高速スラロームが続く。参加者にはスタート前に一度、慣熟走行の機会が与えられる。
あまりにコースが広大なので、選手の走りを追い続けることはできるが、細かな挙動まではとてもチェックできない。
クラスは駆動方式や排気量、タイヤサイズなどによって9クラスに分けられる。北海道での開催とあってノーマル車も4WDが多いと思いきや、RWD車での参加者も少なくはなかった。
コースオフしても雪壁を削って、また元のコースに復帰できる。クルマへのダメージも少ないのがスノートライアルの人気の秘密だ。
ただし時と場合によってはスタックして動けなくなることも。その際は牽引ロープの助けを借りることになる。
冬季の天候が不安定だと氷の状態にも影響を与えるが、今年は十分な厚みを持った一枚岩が出来上がったため、安定した氷雪路面を作ることができたという。
参加者は昨年から一気に40名も増えて、エントリーは130台を数えた。友人と一緒に、またグループで参加する若者達の姿が目立った。
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