TOYOTA GAZOO Racing、2020年の国内四輪モータースポーツ活動計画を発表

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2020年2月12日

1月10日の東京オートサロン2020でFIA世界ラリー選手権(WRC)の参戦体制発表を行ったTOYOTA GAZOO Racing。2月7日には国内外の2020年モータースポーツ活動計画の概要が明らかにされた。

 2月7日(金)、TOYOTA GAZOO Racingが2020年のモータースポーツ活動計画の概要を発表。スーパーGTをはじめ国内レースを中心にその布陣が明らかとなった。

 まずスーパーGTではGT500クラスに新開発のGR スープラ GT500を投入。すでに昨年9月の初走行を経て年末年始と勢力的にテストを重ねているが、かなりのポテンシャルがあるという噂だ。そのGRスープラを6台体制でエントリーすることになるTGRだが、その顔ぶれが若干変わった。

 昨年チャンピオンを獲得したチームルマンがGT500クラスから姿を消し、名門チームのひとつであるセルモが2台体制に拡充。「TGR TEAM WAKO’S ROOKIE」というチーム名でゼッケン14番を付けることになった。ドライバーは昨年王者の大嶋和也選手と急成長中の若手である坪井翔選手が加入する。もう1台のセルモはZENTがメインスポンサーとなった38号車で、こちらは立川祐路/石浦宏明組で変更はない。

 19号車の「TGR TEAM wedsSport BANDOH」は坪井選手が離脱した後任として、昨年までGT300で活躍した宮田莉朋選手がステップアップして国本雄資選手とコンビを組む。

 36号車「TGR TEAM au TOM’S」は中嶋一貴選手がWECのプログラムを優先するためスーパーGTにはレギュラー参戦せず、その代わりに昨年の全日本F3チャンピオンであるサッシャ・フェネストラズ選手が加入。パートナーは関口雄飛選手が務める。37号車「TGR TEAM KeePer TOM’S」は平川亮選手とニック・キャシディ選手のコンビで変更はない。

 39号車「TGR TEAM SARD」はヘイキ・コバライネン/中山雄一組のコンビで今年も臨むが、それ以外のチーム体制が大幅に変わった。昨年チームルマンを17年ぶりに王座に導いた脇阪寿一監督がサードに移籍。エンジニアなどのスタッフも一新され、名門サードに再びチャンピオンをもたらすべく、指揮を執ることになった。

 GT300クラスは、トヨタ/レクサス系車両が7台エントリーする。aprは昨年同様にGRスポーツ プリウスPHVをベースとしたモデルで2台体制となり、30号車は永井宏明選手と織戸学選手、31号車は嵯峨宏紀選手と中山友貴選手という布陣で戦う。

 昨年、第6戦オートポリスで劇的な逆転優勝を飾った60号車「LM corsaのRC F GT3」は吉本大樹選手の新パートナーとして河野駿佑選手が新たに加わることになった。さらに昨年はダンロップタイヤを使っていたが、今年からミシュランタイヤにスイッチ。同メーカーのGT300参入は2014年以来ということで、どのような走りを見せるのか注目が集まりそうだ。

 さらに昨年はチャンピオン争いに絡む活躍を見せた96号車「K-tunes Racing」のRC F GT3も新田守男選手と阪口晴南選手のコンビで変更はないが、タイヤがダンロップに変更された。なお35号車「Panther arto Team Thailand」も今季参戦を予定しているが、ドライバーは未定とされている。

 そして、昨年までスーパー耐久に参戦していたMax Racingが2020年からスーパーGTにエントリーすることになった。マシンはRC F GT3で変わらず、ドライバーは久保凛太郎選手と三宅淳詞選手が務める。

 全日本スーパーフォーミュラ選手権には6チーム11台にエンジンを供給する。こちらもチームルマンの参戦はなく、「carrozzeria Team KCMG」が2台体制となった。参戦6年目を迎える小林可夢偉選手はカーナンバー7を付け、カーナンバー18には国本雄資選手が乗車すことになった。

 またセルモの3台目として新たに「ROOKIE Racing」が登場。大嶋和也選手がカーナンバー14で参戦する。なお「JMS P.MU/CERUMO・INGING」は38号車が石浦宏明選手、39号車が坪井翔選手で昨年と変更はない。

 星野一義監督率いる「ITOCHU ENEX TEAM IMPUL」も昨年同様の体制を採り、19号車が関口雄飛選手、20号車が平川亮選手となる。

 近藤真彦監督率いる「KONDO RACING」は、3号車には引き続き山下健太選手が乗車。WEC参戦に集中するべく今年は海外を拠点に生活することになり、スーパーGTのレギュラー参戦もなくなったが、スーパーフォーミュラに関しては「チャンピオン獲得を目標にして頑張る」と意気込んでいた。そのチームメイトには全日本フォーミュラ選手権王者のサッシャ・フェネストラズ選手が加入する。彼もスーパーフォーミュラの舞台に立つことを熱望していたこともあり、正式にシートが決まって興奮を隠せない様子だった。

 そして、昨年はドライバーズタイトルを手にした「VANTELIN TEAM TOM’S」。36号車は中嶋一貴選手で変わりはないが、チャンピオンの1号車は未定という形で発表された。どうやら昨年王者のニック・キャシディ選手が乗車することでほぼ間違いないようだが、諸般の理由により、現段階での正式発表には至っていないようだ。

 これまで「FTRS」や「TDP」などとして、世界に通用する多くの若手ドライバーを輩出していたトヨタのドライバー育成プログラムが、この度「TGRドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)」として一新されることも発表された。

 この発表により、レーシングスクールからトップカテゴリーへのチャレンジプログラムまでが全て一本化されることになった。これまでFTRSと呼ばれていた部分は「TGR-DCレーシングスクール」となり、育成部門のTDPも「TGR-DC」と名称が変更される。さらに育成ドライバーの中から選抜されたものがWECおよびWRCのチャレンジプログラムにステップアップすることができる。

 これまでは4輪レースを中心としたドライバーの育成に力を入れていたが、今後はWRCドライバーの輩出にも注力していくとのことだ。なお、今年の育成ドライバーには坪井翔選手と宮田莉朋選手、小高一斗選手が選ばれている。

 またTOYOTA GAZOO Racingは今年も全日本ラリー選手権に参戦。“もっといいクルマづくり”を目指し、メカニックは全てトヨタの社員が担当する。参戦車両はVitz GRMNで、ドライバーは引き続き眞貝知志選手、ナビゲーターは安藤裕一選手が務める体制となっている。

 この他にもTOYOTA GAZOO Racingは、参加型モータースポーツにも力を入れ、86/BRZレースやNetz Cup Vitzレースも継続して開催。手軽にエントリーできるワンデイラリーをコンセプトとした入門ラリー「TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ」も継続開催がアナウンスされた。

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは、東京オートサロン2020で一新された体制発表を実施。
6月30日まで「1st Edition」事前予約受付中のGRヤリス。モータースポーツ界の台風の目となるか!?
今シーズンも「FIA GTチャンピオンシップ」のオフィシャルパートナーを継続することも発表された。
2021年開始を連想させる「Yaris Cup」のカップカーコンセプト。参加型競技の参戦支援も継続する。

フォト/トヨタ自動車、TOYOTA GAZOO Racing、JAFスポーツ編集部 レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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