各種モータースポーツの発表や展示で盛り上がった2020年の東京オートサロン

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2020年1月24日

東京オートサロンといえば、カスタムカーやドレスアップカーの展示もさることながら、2020年の最新モータースポーツ情報の発信地にもなっている。主要メーカーやチームから発表されたモータースポーツ情報、ブースで発見した競技車両、そしてトークショーに出演したドライバーをまとめてみた。

TOKYO AUTO SALON 2020(東京オートサロン2020)
開催日:2020年1月10~12日
開催地:幕張メッセ(千葉県千葉市)
主催:東京オートサロン実行委員会

 2020年1月10日~1月12日にかけて幕張メッセで開催された「東京オートサロン2020」。カスタムカーの祭典として知られるイベントではあるが、近年では各メーカー・チームのモータースポーツ体制発表も行われるなど、そのシーズンのモータースポーツの動向を占う意味でも重要な3日間となっている。今年もさまざまなメーカーやチームが体制発表を行い、早くも2020シーズン開幕に向けて準備に取り掛かっていた。

 まずは毎年この東京オートサロンでモータースポーツ体制を発表するホンダ。今年もイベント初日に各陣営の詳細が明らかになった。スーパーGTではジェンソン・バトン選手、ナレイン・カーティケヤン選手、中嶋大祐選手が陣営を離脱したが、その後任として今年は注目の若手ドライバーがGT500クラスに登場。

 昨年、GT300クラスでチャンピオンとなった福住仁嶺選手はGT500クラスにステップアップしARTAに加入。チームメイトは野尻智紀選手だ。同じくGT300の舞台で速さを見せていた大津弘樹選手もModulo Nakajima Racingのシートを獲得し、こちらも新加入となる伊沢拓也選手とともにシーズンを戦う。

 さらにTEAM MUGENには昨年ポルシェカレラカップジャパンとアジアンフォーミュラ3選手権でチャンピオンを獲得した笹原右京選手が抜擢され、武藤英紀選手とコンビを組む。彼はスーパーGTの経験はないものの、中野信治監督が彼の才能を高く評価しており、それが今回のシート獲得に繋がったようだ。

 またバトン選手が去ったTEAM KUNIMITSUには新進気鋭の牧野任祐選手が加入した。陣営のエースである山本尚貴選手とともにどんな活躍を見せてくれるのか、こちらも注目だ。

 スーパーフォーミュラではThreebond Drago CORSEが増えて6チーム10台が今年も参戦する。昨年チーム王者を勝ち取ったDOCOMO TEAM DANDELION RACINGは山本尚貴選手と福住仁嶺選手のコンビで変わらず。レッドブルカラーとなるTEAM MUGENは、昨年最終戦に参戦したユーリ・ビップス選手が今年はフル参戦エントリーとなり、チームメイトは野尻智紀選手となる。

 B-Max Racing with Motoparkはドライバーを一新。ピエトロ・フィッティパルディ選手とシャルル・ミレッシ選手がドライブすることになった。TCS NAKAJIMA RACINGは牧野任祐選手に加え、昨年末のルーキーテストで速さ見せた大湯都史樹選手がシートを獲得した。REAL RACINGは1台体制での参戦となるが、ドライバーについては後日発表とした。

 そして、今年から国内トップフォーミュラに復帰するThreebond Drago CORSEはコロンビア出身の女性ドライバーであるタチアナ・カルデロン選手の起用を明らかにした。彼女はF1のアルファロメオレーシングでテストドライバーを務めるなど、ヨーロッパでも注目度が高い。女性ドライバーが日本のトップフォーミュラを走るのは1997年のサーラ・カヴァナ選手以来23年ぶりとなる。

 またニッサン勢もスーパーGT(GT500クラス)の体制をこの東京オートサロンで発表した。昨年と変わらず4台体制でNISMOは松田次生選手とロニー・クインタレッリ選手のコンビを継続。KONDO RACINGも高星明誠選手とヤン・マーデンボロー選手のコンビで変更はない。

 昨年、陣営唯一となる勝利を挙げたNDDP RACING with B-Maxは平手晃平選手が残留し、千代勝正選手が2年ぶりに復帰を果たす。TEAM IMPULには佐々木大樹選手の新パートナーに平峰一貴選手が加入した。昨年は、GT300でもポールポジションを獲得するなど目覚ましい活躍を見せた平峰選手が、2020年はGT500でどんな活躍を見せるのか、目が離せない。

 このほか、GT300クラスに参戦するチームもいくつかが体制発表を行った。昨年のGT300チャンピオンであるARTAは高木真一選手に加えて大湯都史樹選手が加入。TEAM UPGARAGEはNSX GT3で小林崇志選手と松浦孝亮選手で体制変更はなく、Modulo Drago CORSEは道上龍選手とジェイク・パーソンズ選手が新たにコンビを組むことになった。

 マザーシャシーのロータス・エヴォーラを使用するCars Tokai Dream28は加藤寛規選手の新パートナーとして柳田真孝選手を起用することとなった。埼玉トヨペットGreen Braveは今年から新開発したJAF-GTのGRスープラで参戦することを表明。ドライバーは吉田広樹選手と川合孝太選手だ。

 スバルは2020年もBRZで参戦し、ドライバー体制も井口卓人選手と山内英輝選手で変更なし。またスバルは今年もニュルブルクリンク24時間レースに挑戦。井口選手と山内選手に加え、カルロ・ヴァン・ダム選手、ティム・シュリック選手とお馴染みのメンバーでクラス優勝を目指す。

 GOODSMILE RACING & TeamUKYOは2020年仕様のカラーリングを東京オートサロンで初公開。毎年人気キャラクター「初音ミク」のレース仕様である「レーシングミク」が大きく描かれたデザインで注目を集めているが、今年はそれぞれ異なる表情のレーシングミクが描かれており、今までにない要素が盛り込まれているのが特徴だ。ドライバーは谷口信輝選手と片岡龍也選手で変更がない。

 そしてスーパー耐久シリーズの2020シーズンに向けた各チームの動きも明らかとなった。昨年、MORIZO選手ことトヨタの豊田章男社長も86で参戦して話題となったROOKIE RACINGは2台体制に拡充、ST-1クラスにGRスープラ、ST-2クラスにGRヤリスが参戦するとのことだ。

 ドライバーはAドライバーのみ蒲生尚弥選手(GRスープラ)と井口卓人選手(GRヤリス)で固定となり、その他はレースごとでシャッフルになる予定だが、富士24時間レースでは大嶋和也選手と石浦宏明選手が助っ人で加わるなど、豪華メンバーになることは間違いなさそうだ。

 毎年ST-3クラスでチャンピオン争いに加わる活躍を見せていたTRACY SPORTSはマシンをレクサスRC Fに変更しST-1クラスから参戦することを明らかにした。また昨年ST-TCRクラスでチャンピオンを獲得したバースレーシングプロジェクトは今年ST-Zクラスに専念することを表明。

 GT4車両で争われるST-Zクラスはさらなる台数増加が見込まれており、東京オートサロンの会場でもENDLESS SPORTSのメルセデスAMG GT4に加え、GRスープラGT4、BMW M4 GT4の展示もあり、これらの車両が2020シーズンに登場する可能性があるという噂だ。

 3日間で33万6060名を集めた東京オートサロン。今年も、このイベントからモータースポーツの新シーズンに向けた動きが加速を始めた。

10日午後にホンダブースで行われた「2020 SUPER FORMULA / SUPER GTキックオフミーティング」。数多くのファンが駆けつけ、「TEAM Honda」体制の動静を見守った。
左:中島悟監督率いるModulo Nakajima Racingに大津弘樹選手と伊沢拓也選手のニューフェイスコンビ。
右:TEAM MUGENの中野信治監督のもとには武藤英紀選手と笹原右京選手(欠席)の顔ぶれ。
左:スーパーフォーミュラはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが昨年と同じ山本尚貴選手と福住仁嶺選手。
右:TCS NAKAJIMA RACINGは昨年に続き牧野任祐選手、そして大湯都史樹選手が新たに加入した。
2020年スーパーGTに参戦予定の「NSX-GT」が展示されていた。今年の規定に基づき、ミッドシップレイアウトからFRに変更された新型車両となる。
左:F1は2019年出場カラーモデルのレッドブルレーシングRB14、トロロッソSTR13の2台を展示。
右:WTCR参戦車両で、昨年の鈴鹿開催で優勝したシビックTCRも注目を集めた。
新型車両でシリーズチャンピオンを目指す日産自動車/ニスモ陣営。このオートサロンでスーパーGTのGT500クラスのチーム体制とドライバーの発表が行われた。 ※画像:日産自動車
左:平手晃平選手が残留したNDDP RACING with B-Maxは、新たに千代勝正選手をドライバーとして迎えた。
右:TEAM IMPULは平峰一貴選手が新加入するというニュース。佐々木大樹選手とコンビを組んで戦う。
2019年のGT500クラスに参戦したMOTUL AUTECH GT-R。ドライバーの松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手は今季も同チームでステアリングを握ることとなった。
左:イタルデザインとの共同開発、Nissan GT-R50 by Italdesignがひときわ目立つ存在感を示していた。
右:新型スカイラインをレーシーにカスタムした、SKYLINE 400R SPRINT CONCEPT。
昨年はGT300クラスでシリーズチャンピオンを獲得したARTA。鈴木亜久里総監督、土屋圭市エグゼクティブプロデューサーという司令塔を柱に、GT500も含めダブルタイトル獲得を狙う。
左:野尻智紀選手のパートナーはGT300クラスからステップアップしてきた福住仁嶺選手。
右:ベテランの高木真一選手は大湯都史樹選手と組んでGT300連覇を目指す。
今シーズンのGT500クラスはNSX-GT、GT300クラスはNSX GT3のマシンを使用。ブースの展示車両はスーパーGT×DTM特別交流戦で使用されたGT500車両だ。
2020年のモータースポーツ計画を発表したスバル。スーパーGTは昨年と同じくBRZでGT300に参戦。ニュルブルクリンク24時間レースはWRX STIを使用。
左:SUBARU BRZ GT300で参戦するドライバーは、2019年と変わらず井口卓人選手と山内英輝選手の2名。
右:全日本ラリー選手権では新井敏弘選手、鎌田卓磨選手、そして新井大輝選手の3名を支援する。
2019年は村上モータースとHM Racersがスーパー耐久でそれぞれ活躍。今年も参戦してさらなる飛躍を遂げるべく、抱負を語った。
HM RacersはMazda2での参戦。「ロードスターを凌駕する」と語る広島マツダの松田哲也氏。ドライバーは吉田綜一郎選手と佐々木孝太選手。
TOYOTA GAZOO Racingから「新たな取り組み」として発表されたのは、スーパー耐久レースのROOKIE RACINGへプライベーターとしての参戦発表だ。
左:ST-1クラスに参戦する車両はスープラGT4。蒲生尚弥選手がAドライバーとしてシリーズを戦う。
右:GRヤリスは井口卓人選手がAドライバーで固定となり、ST-2クラスにエントリーする予定とのこと。
2019年がラストイヤーとなったレクサスLC500に代わり、今シーズンから投入されるGRスープラGT500。TOYOTA GAZOO Racingブースにお目見え。
左:ブリヂストンブースにはチームチャンピオンを獲得したLEXUS TEAM KeePer TOM'Sが。
右:昨年の最終戦もてぎでのバトルも記憶に新しいLEXUS TEAM au TOM'Sのマシン。
左:2016年モデルのGT-RニスモGT500と、SF19のツーショットとなるインパルブース。
右:モチュールブースには全日本GT選手権時代のPITWORK GT-R、そしてSF14が並んだ。
左:レイブリックブースにゼッケン100をつけた2019年カラーのTEAM KUNIMITSUのNSX-GT。
右:KEIHIN REAL RACINGのNSX-GTを始め、各メーカーの車両が展示されたSUPER GTブース。
左:新デザインが施されたGOODSMILE RACING & TeamUKYOのグッドスマイル初音ミクAMG。
右:マザーシャシーで今年もGT300に挑む、Cars Tokai Dream28のエヴォーラSGT。
左:86MCに代わり2019年から導入されてシリーズを戦い抜いたTEAM UPGARAGEのNSX GT3。
右:シリーズランキング2位のK-tunes Racing。プロジェクトミューブースにRC F GT3を展示。
左:埼玉トヨペットブースには今シーズンのGT300で投入される、自社開発のGRスープラGT300が!
右:スーパー耐久はGRスポーツマークXで参戦するも、シーズン中にスープラに変更される予定。
左:アドヴィックス製のブレーキシステムが採用されている童夢・F111/3。
右:2020年仕様のカラーリングとなったTRACY SPORTSのレクサスRC。
左:K-oneブースに全日本ラリー選手権JN3クラスでシリーズチャンピオンに輝いた山本悠太選手の86。
右:全日本ジムカーナ選手権PN2クラス山野哲也選手の124スパイダーはエクセディブースに。
左:2019年のAPRCのラリー北海道でマイケル・ヤング選手が勝利したTRD C-HR AP4がクスコブースに。
右:スバルブースにTEAM ARAIのWRX STI。新井敏弘選手は全日本選手権2連覇となるか!?
左:板倉麻美選手と梅本まどか選手が参戦予定のWRCドイツで使用するGT86 CS-R3。
右:同じく板倉/梅本組がセントラルラリー愛知・岐阜で参加したヴィッツCVTも展示された。
スーパー耐久ST-Zクラスでシリーズチャンピオンに輝いたENDLESS SPORTSのAMG GT4。ブースでは低ダストタイプながら高い制動力を誇るブレーキパッドM-sportsをPR。
弱冠13歳にしてレーシングドライバーとして活躍するjuju選手のフォーミュラマシンを展示したのはダンロップブース。また新製品ディレッツァβ05をラインアップ。
横浜ゴムはカーライフを充実させるホビータイヤを展示。またタイヤを供給するスーパーフォーミュラのSF19に乗車しての記念撮影コーナーも。
ブリヂストンのポテンザRE-71RSが満を持してデビュー。今後のモータースポーツシーンで活躍することだろう。開発ドライバーと開発者のトークショーが行われた。
ケン・ブロック選手、マイケル・ウィデット選手、川畑真人選手を迎えての豪華トークセッションが行われたトーヨータイヤブース。
エクセディブースには三浦愛選手が登場し、モータースポーツの魅力を熱く語った。今シーズンの動向が気になるところ……。
山田英二選手、柳澤宏至選手、多田哲哉氏、水原亜利沙選手、クロエリ選手、梅本まどか選手によるトークショーがクスコブースで開催された。
GENDAI OILブースは塚越広大選手が乗ったSF19マシンを展示。またラー飯能とのコラボで全日本カート選手権の皆木駿輔選手と荒尾創大選手らもゲスト登場。
フォーミュラレースで切磋琢磨している小高一斗選手、小山美紀選手、河野駿佑選手らがトークショーを行った小倉クラッチブース。
富士スピードウェイブースでは今シーズンの開催スケジュールとともに、新たな観戦スタイルを提案。トークショーはKYOJOカップに参戦の3選手も出演。
マツダがモータースポーツに挑戦する選手をサポートする、グラスルーツカテゴリーのマツダカップ授与式が行われた。
ロードスター・パーティレースⅢは本多永一選手、マツダファン・サーキットトライアルは本山賢一郎選手が表彰された。
マツダファン・エンデュランスは「TiR☆IDI☆ロードスター」の猪爪俊之選手、猪爪杏奈選手、小松寛子選手、オカハラタツヤ選手、金井亮忠選手が表彰。
2019 N-ONEオーナーズカップのシリーズ表彰がホンダブースで催された。上位6名の入賞者が登壇。
シリーズチャンピオンは西郷倫規選手。フォーミュラチャレンジ賞と、参戦車両のミニチュアカー、スーパーカブが贈られた。
FIAグランツーリスモチャンピオンシップのマニファクチャラーシリーズでTOYOTA GAZOO Racingチームとして2019年を制した山中智瑛選手と川上奏選手が表彰。
WRCドライバーとコンビを組んでのデモレースを実施。山中智瑛選手とエルフィン・エバンス選手のペアが勝利した。
クスコブースで展開された、クルマ女子プロデュースの参考車両。クロエリ選手はシビックを、水原亜利沙選手はカローラスポーツを、内外装に渡りプロデュース!
国内競技ユーザー向けのitzzシリーズを始め、幅広いラインアップのブレーキパッドをPRしたウィンマックスブース。
夏場に活躍するクールベストからオイルクーラーまで、HPIブースは各種クーリングシステムを展示。
スーパーGTと共催されたBHオークションには、マニア垂涎のレアなレーシングカーが出品され、中には1億6500万円の落札価格がついた車両も……。
シリーズチャンピオンの横井昌志選手らによるドリフトデモラン。白煙を巻き上げながらのパフォーマンスに観客も大喜び。
2019年ランキング2位の松井有紀夫選手のRE雨宮K&N RX-7と、ランキング3位の藤野秀之選手のTeam TOYO TIRES DRIFT 180SXも迫力ある走りを見せた。
今年のJAFブースはイリュージョンがテーマ。イリュージョニストToshiki氏を迎え、JAFスマートフォンアプリのメリットとイリュージョンをステージで披露してくれた。
誰も座っていなかったはずの椅子にマントを掛けると……女性が出現。また女性が閉じ込められた箱に貫通穴が開けられたのに……救援要請のパネルを持つ女性の手が!?

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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