ダラーラ320、そしてルーキードライバーのポテンシャルはいかに?

レポート レース

2019年12月23日

“全日本フォーミュラ3選手権”としての最後のテストが鈴鹿サーキットで行われた。来春から始まる全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権を前に、レギュラードライバーや国内外のルーキーたちが、ドライバーシート獲得のため、自身のパフォーマンス発揮のため、精力的にテストに臨んだ。

2019年全日本フォーミュラ3選手権鈴鹿テスト
開催日:2019年12月18~19日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)

 12月18~19日、鈴鹿サーキットで全日本フォーミュラ3選手権の合同テストが行われた。来季から開催される“スーパーフォーミュラ・ライツ”を目前に控え、今回のテストは5チーム9台がエントリー。その中でB-Max Racing with motoparkは5台で参加、うち2台は新型車両のダラーラ320を投入。またトムスは別途独自にテストを行っているようで今回は不参加となった。

 海外からテストのため来日した外国人選手は、イギリスからラウル・ハイマン、フィンランドからシモ・ラクソネンの2人。両名ともB-Max Racing with motoparkからのエントリーで、日本での参戦も検討している様子。他、今シーズンのレギュラードライバーのアメヤ・ベイディアナサンという顔ぶれ。

 国内からは、スーパーGT GT300クラスでK-tunes racingのレクサスRC F GT3を駆ってシリーズランキング2位のドライバー・阪口晴南が、B-Max Racing with motoparkからエントリー。そして、一昨年は全日本カート選手権OK部門やFIA-F4に参戦、今年はFIAフォーミュラ3で海外修行の名取鉄平がTODA RACINGのマシンに乗った。

 テスト初日の18日、走行開始前まで降っていた雨の影響でウェットコンディションとなっている中、まず先陣を切って飛び出していったのは、9月のユーロフォーミュラ・オープン第8戦で優勝した名取。他ドライバーも次々とレインタイヤを履いてコースインしていく。

 セッション1の開始から1時間を経過したあたりで雨が降り始めたが、ドライバーたちはしっかりと周回数を重ねた。なお、雨が降り始める前に2分06秒569を出した阪口が、ダラーラ320を駆ってトップタイムをマーク。それに続くのが、鈴鹿初走行ながら約1秒遅れのハイマンとラクソネン。

 午後、雲行きが怪しいままセッション2がスタート。しかし少し時間が経つと一瞬陽が射す場面もあり、路面が徐々に乾き始める。各チームとも一斉にドライタイヤにチェンジし始め、セッション1と比べてタイムが大幅に縮まった。

 トップタイムは再び阪口で1分50秒500、テスト初日をトップで終了した。そして今年のエナム・アーメドの65号車に乗るハイマンが2番手の1分51秒572。3番手には今シーズンのレギュラードライバーの河野駿佑が実力を発揮した。

 19日は晴れ渡る青空の下、ベストコンディションでセッション3が始まった。前日に続きダラーラ320をドライブする阪口が順調にテストをこなしている印象だ。またテスト2日目ということで、鈴鹿やマシンにも慣れ始めたであろうラクソネンやハイマンが、30周近くの走り込みを行った。

 そのラクソネンとハイマンがセッション終盤で1分50秒台を出すと、阪口も1分49秒566に突入して最速タイムを刻む。テストとレースとでは一概に比較できないが、2017年のフォーミュラ3で高星明誠が鈴鹿で記録した1分50秒999がコースレコードということを鑑みると、相当に速いということが窺える。

 セッション4の時刻になると、冷たい風が吹き始めて曇り空となってしまった。これが最後のセッションとなるわけだが、ここでも阪口が一歩抜きん出た。セッション3で自身が出した1分49秒台は超えられなかったものの、1分50秒台を出す安定した走りを披露。

 この2日間でおよそ8時間のテストをこなしたドライバーたち。果たして新シリーズを迎える来シーズンはどうなるのか。各チームの体制を含め、続報を期待したい。

9月の岡山大会の最終戦でのデモラン以来となるダラーラ320。ヘイロー装着以外に、各所の形状に変化が見受けられた。
ダラーラ320のステアリングを握り、テスト期間を通してすべてのセッションでトップタイムを刻んだ阪口晴南。
フィンランドから来たシモ・ラクソネンもダラーラ320に乗り、不慣れなコースで総合2番手のタイムを叩き出した。
現行のフォーミュラ3車両ながら総合3番手でテストを終えて存在感をアピールしたのはイギリスのラウル・ハイマン。
来シーズンはチャンピオン獲得に向けて意欲を燃やすアメヤ・ベイディアナサンは、サッシャ・フェネストラズのマシンで総合4番手。
総合5番手タイムだったが、全エントリードライバーの中で142周もの周回数をこなしてテストを終えた河野駿佑。
今回のテストのエントリー中で一番若手となる名取鉄平。海外での経験を活かして来季のシート獲得となるか?
B-Max Racing with motoparkのピット内は英会話が飛び交い、さながら海外チームの雰囲気を醸し出していた。

フォト/吉見幸夫 レポート/JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ