スーパーGT最終戦もてぎ、6号車大嶋和也/山下健太組が気合のバトルを制してGT500タイトル確定!

レポート レース

2019年11月20日

今年もツインリンクもてぎで開催されたスーパーGT最終戦。激しい競り合いの末に6号車大嶋和也/山下健太組がGT500タイトルを確定させ、GT300では優勝目前の戦いがチェッカーフラッグ直前で逆転するという、手に汗握るグランドファイナルとなった。

2019 SUPER GT Round 8 MOTEGI GT 250km GRAND FINAL
開催日:2019年11月2~3日
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)
主催:(株)モビリティランド、M.O.S.C、(株)GTアソシエイション

 11月2~3日、栃木県のツインリンクもてぎで2019年FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT第8戦(2019 AUTOBACS SUPER GT Round 8)が250kmレースとして開催された。

 大会を2位でゴールした6号車大嶋和也/山下健太組(WAKO’S 4CR LC500)が2019年ドライバーズタイトルを確定させ、GT300クラスではポイントリーダーの55号車高木真一/福住仁嶺組(ARTA NSX GT3)が4位でフィニッシュしてドライバーチャンピオンを確定させた。

 昨年同様に最終戦の舞台は、ストップ&ゴーのコースであるもてぎ。これまでフル参戦してきた車両のハンディウェイトはすべて取り払われて、マシン本来が持つポテンシャルでのガチンコ勝負となる。

 2日(土)の公式予選は、ここでポールポジションを獲得しなければタイトル争いから脱落する23号車松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)が3番手タイムに留まり、36号車中嶋一貴/関口雄飛組(au TOM’S LC500)がポールポジションを獲得した。

 6号車の大嶋/山下組は2番グリッド、逆転チャンピオンを狙う37号車平川亮/ニック・キャシディ組(KeePer TOM’S LC500)は4番グリッドからのスタートとなった。

 GT300クラスでは、56号車平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組(リアライズ日産自動車大学校GT-R)がポールポジションを獲得できずタイトル争いから脱落してしまう。

 これでGT300のチャンピオン争いは、55号車高木/福住組と96号車新田守男/阪口晴南組(K-tunes RC F GT3)、4号車谷口信輝/片岡龍也組(グッドスマイル 初音ミク AMG)の3台に絞られ、予選では55号車高木/福住組が5番手、4号車谷口/片岡組7番手スタートとなり、96号車新田/阪口組は17番手からの追い上げとなった。

 3日(日)の決勝レースは53周。降雨が心配される曇天で、気温20℃、路面温度26℃というコンディションで13時37分にスタートした。

 6号車の大嶋選手は序盤の混乱時に5番手まで順位を落とし、優勝してライバルの結果待ちとしたい37号車のキャシディ選手は2番手へ順位を上げる。しかし、チームメイトの36号車中嶋/関口組に行く手を阻まれトップに浮上することができない。

 18周で37号車平川/キャシディ組が動きピットに入る。翌周にはトップの36号車中嶋/関口組と3番手に順位を上げた6号車大嶋/山下組が同時にピットイン。この3台は、31周目には集団となってレクサス同士のトップ争いを展開した。

 32周目の3コーナーで37号車平川/キャシディ組がトップを奪うと、このままではタイトルに届かない6号車山下選手が2番手を狙うが、36号車をドライブする関口選手も執拗なブロックでこれを阻止。

 しかし、38周目の90度コーナーで6号車山下選手が仕掛ける。両者が並んだままブリッジを通過して最終コーナーに向かったが、36号車関口選手も意地を見せて引かず、最終コーナー手前で2台は接触しながらイン側にコースオフする激しいバトルを展開。ここでついに6号車山下選手が2番手を奪った。

 53周のレースは37号車平川/キャシディ組が今季初優勝を遂げたが、6号車大嶋/山下組は2位でゴール。この結果、大嶋選手はスーパーGTでは2007年GT300クラス以来のタイトルを確定、山下選手は初タイトルを確定させた。そして、チームルマンのドライバーがタイトルを獲得したのは実に17年ぶりだった。

 GT300クラスは、早めのピットインでタイヤ無交換作戦を採った65号車蒲生尚弥/菅波冬悟組(LEON PYRAMID AMG)が中盤でトップに立つ展開となる。

 2番手に14秒近いリードを築いた65号車はそのまま逃げ切り優勝かと思われたが、ファイナルラップの最終コーナー立ち上がりで何とスローダウン。惰性でチェッカーフラッグを受けられたものの、その直前にゴールラインを駆け抜けた11号車平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)が逆転。11号車が今季2勝目を飾る驚きの結末となった。

 8位以上でタイトルを確定できる55号車高木/福住組は4位でゴール。高木選手は17年ぶり、そして福住選手は参戦初年度での初のドライバーズタイトルを確定させている。

36号車関口雄飛選手とのバトルを制して2番手でチェッカーを受けた6号車山下健太選手。ドライバータイトルを決めた歓喜のパルクフェルメでは僚友・大嶋和也選手と熱き抱擁。
チームルマンとしては17年ぶりのドライバータイトル確定となった今回。チームタイトルは2位に終わったが、3年目の脇阪寿一監督は感無量のシーズンとなった。
トップチェッカーを受けて最終戦で優勝した37号車の平川亮/ニック・キャシディ組。パルクフェルメでマシンを降りた平川選手は、気持ちの整理がつかない様子を見せた。
37号車平川/キャシディ組が優勝。6号車大嶋/山下組が2位、3位はポールスタートの36号車中嶋一貴/関口雄飛組。チームタイトルはLEXUS TEAM KeePer TOM'Sが獲得した。
38周目に見せた、6号車山下選手による36号車関口選手のオーバーテイクは今大会のハイライト。パルクフェルメでは握手を交わし、関口選手が山下選手にサムアップを贈った。
GT300クラスの予選では、荒聖治選手が「とんでもなく速い」と賛辞を贈ったアレックス・パロウ選手がトップタイムを計測。720号車がポールポジションでスタートした。
昨年の最終戦を彷彿とさせる戦略で優勝間違いなしと思われた65号車蒲生尚弥/菅波冬悟組。しかし、ファイナルラップでまさかのスローダウン、勝利を逃す展開に……。
11号車平中克幸/安田裕信組が大逆転勝利。「最終周のストレートでアクセルを緩めたら、65号車のスロー走行に気付き、慌ててアクセルを踏み直した」と語るのは平中選手。
GT300クラス優勝は11号車平中/安田組。65号車蒲生/菅波組が失意の2位。96号車新田守男/阪口晴南組は予選17位から3位まで追い上げたが、タイトル争いには届かなかった。
危なげない走りで4位フィニッシュした55号車高木真一/福住仁嶺組がドライバータイトルを確定。ARTAは高木選手と同様に2002年以来となるチームタイトルを確定させている。
JAF地方選手権のFIA-F4は第13戦と第14戦が行われた。第14戦では今季のタイトルを確定させた佐藤蓮選手がポール・トゥ・ウィン。連勝記録を8に伸ばす有終の美を飾った。
第14戦のパルクフェルメでステアリングを差す佐藤蓮選手。今季怒涛の11勝目を飾った。
FIA-F4第14戦の優勝は佐藤蓮選手。土曜の第13戦の1周目で何とロールオーバーを喫した川合孝汰選手だったが、フレッシュタイヤでも届かず2位に終わる。3位は三宅淳詞選手。
速さがあった。SC導入でチャンスもあった第14戦。「やっぱり蓮を抜くのは厳しかった……」と頭を垂れた川合選手。ル・ボーセの坪松唯夫代表と悔しい2位を分かち合う。
第14戦のインディペンデントカップはDRAGON選手が優勝。暫定2位の佐藤セルゲイビッチ選手はペナルティで降格。仲尾恵史選手が2位、大阪八郎選手が3位という正式結果に。
土曜のFIA-F4第13戦は佐藤蓮選手がポール・トゥ・ウィン。7連勝、今季10勝目を挙げた。
第13戦優勝は佐藤蓮選手。ファステストラップを刻みながら佐藤蓮選手に迫り続けた平木玲次選手は90度でミスを喫して悔しい2位。木村偉織選手は嬉しい初表彰台の3位獲得。
DRAGON選手がリタイアする波乱の中、すでに今季の王座を確定させている佐藤セルゲイビッチ選手が第13戦インディペンデントカップ優勝。今季最多勝もゲットしている。
第13戦のインディペンデントカップ優勝は佐藤セルゲイビッチ選手。2位は仲尾恵史選手、3位は佐々木祐一選手。3番手でチェッカーを受けたIKARI選手はペナルティで後退した。
土曜には今年2回目となる「FIT10リッターチャレンジ」が行われ、11台が出走。ポールポジションの松田吉正選手が後続に大差を付けて優勝し、昨年3位の雪辱を果たした。
レースウイークの始まりは恒例の救出訓練。62号車神晴也選手が駆るFIA-F4車両と、GT300小林崇志/松浦孝亮組の18号車NSX GT3の実車を使用して実地訓練が行われた。
2018年GT500チャンピオンの山本尚貴/ジェンソン・バトン組。バトン選手は2年間に渡ったスーパーGT参戦について今季限りの終了を表明していたが、最終戦は6位に終わった。
2日間で約5万6000人を集めた最終戦。恒例のグランドファイナルではドライバー全員が登場した。そして今年は、11月23~24日のSUPER GT×DTM特別交流戦が待っている!

フォト/野澤廣幸、JAFスポーツ編集部

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