野尻智紀が最終戦勝利、そしてニック・キャシディが初戴冠

レポート レース

2019年10月31日

全日本スーパーフォーミュラ選手権の2019年最終戦が鈴鹿サーキットで開催され、予選2番手からスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)が、デビューイヤーの初優勝以来2度目の勝利を飾った。タイトル争いは2位表彰台を獲得したニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)が、逆転で初のシリーズチャンピオンに輝いた。

2019年全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦
第18回JAF鈴鹿グランプリ
2019 FIA世界ツーリングカーカップ日本ラウンド(WTCR)
TCRジャパンシリーズ2019第5戦

開催日:2019年10月26~27日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、株式会社モビリティランド

 前戦の岡山大会同様に、今回も予選Q1は2組に分けて実施された。A組では、ポイントランキング上位の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)、野尻らがQ1突破。B組でもキャシディが順当にQ1を突破した。

 続くQ2も、ランキング上位3名は好タイムでQ3へ。ポールポジション争いのQ3は、パロウが2017年に記録したレコードタイムに肉薄する1分35秒972をマークして、今季3度目のポールポジションを獲得した。

 フロントロー、パロウの横には野尻が並んだ。山本は5番手、キャシディは6番手となり、予選結果からはパロウがタイトル獲得に向けて前進したかに思われた。

 一夜明けた決勝日。穏やかな天気のもと、43周の決勝レースがスタートした。なお、今大会、決勝中のタイヤ交換義務について、「決勝レース中に先頭車両が7周回目を完了した時点から最終周回に入るまでに異なる種別のドライタイヤを使用しなければならない」という特別規則が設けられた。

 ミディアムタイヤでスタートしたパロウは、レース序盤は隊列をリードしていくが、8周目の130Rで野尻がパロウをオーバーテイク。パロウはすぐさまピットへと向かい、ソフトタイヤへ交換した。

 しかし、ここからペースが大きく鈍り、ポジションもダウン。28周終了時に再びタイヤ交換を行うが、ポイント獲得圏内にも復帰できず、タイトル争いから脱落することになった。

 レース序盤にパロウをかわしトップに立った野尻は、その後33周終了時でピットイン。ミディアムタイヤに履き替えると、37周目にトップに返り咲く。その後は後続に大きく迫られることなく43周を走り切り、トップチェッカーを受けた。2014年にスーパーフォーミュラにデビューし、その年に初優勝を飾って以来の2勝目だった。

 一方のタイトル争いは、パロウの脱落でキャシディがチャンピオンに大きく近づいた。ソフトタイヤでスタートしたキャシディは序盤に山本をかわし、レース終盤にミディアムタイヤに交換、山本より前でのコース復帰に成功する。

 キャシディは予選3番手の福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)もオーバーテイクして2位でチェッカー。山本を逆転して自身初めてのスーパーフォーミュラドライバーズタイトルを獲得した。

2019年は毎戦ウィナーが入れ替わる大混戦のスーパーフォーミュラ。最終戦はタイトル争いに注目が集まる一戦となった。
金曜日に行われた会見では、自力でチャンピオン獲得の権利を持つ3選手が、決勝への意気込みを語った。
JAF坂口正芳副会長による開会宣言でJAF鈴鹿グランプリが幕を上げる。なお、この開催期間中は約36,000人が来場した。
今シーズン7人目の勝者となったのはTEAM MUGENの野尻智紀。スーパーフォーミュラで自身2勝目を挙げた。
野尻は2014年のデビューイヤーの優勝以降、なかなか勝利に恵まれなかった……。レース終了後、中野信治監督と抱き合い嬉しさを共有。
昨年の最終戦ではあと少し届かなかったVANTELIN TEAM TOM'Sのニック・キャシディ。今年も2位入賞だったが渇望のチャンピオン確定!!
レース中にタイトル争いのことを考えないよう努めていたキャシディは、チェッカー後に感極まって号泣していたという。
「チームが素晴らしいクルマをつくってくれたおかげです」と福住仁嶺が初表彰台の3位を獲得した。
JAF鈴鹿グランプリとスーパーフォーミュラの表彰式。左からプレゼンターのJAF坂口正芳副会長、2位のキャシディ、1位の中野監督&野尻、3位の福住、NRCの鬼頭正人大会会長。
ルーキー・オブ・ザ・イヤーには、シーズンを通して健闘したシリーズランキング3位のパロウが表彰された。
今シーズンでの監督業の勇退を決意した村岡監督率いるDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが2019年チームチャンピオンを獲得。
待望のタイトルトロフィーを手に満面の笑顔がこぼれるキャシディ。これで国内3レースのチャンピオンとなった。
今シーズンを戦った20名の選手が勢揃い。日本レースプロモーションの中島悟会長の挨拶でシリーズは幕を閉じた。
日も落ちて撤収作業の真っ最中の時間、ひっそりとチーム関係者がピットに集まって記念撮影を行っていた。
併催された世界ツーリングカーカップ(WTCR)の第8戦のレース1決勝は、エステバン・グエリエリがポール・トゥ・ウィン。
WTCRのレース2決勝はノルベルト・ミケリスが優勝。ポイント争いもレース1の勝者グエリエリに6ポイント差をつけて逆転。
続くWTCRレース3決勝では、ヨハン・クリストファーソンがポール・トゥ・ウィン。再びポイント争いが混沌となった。
ワイルドカード枠からWTCRに参戦した冨田竜一郎と宮田莉朋がアウディRS3 LMSを駆り、世界のツーリングカーの猛者に挑戦!
鈴鹿で最終戦となるTCRJのサタデーシリーズ。オーバーオールの勝者はトップを守り切った金丸ユウ。
同じくサタデーシリーズのジェントルマンクラスは、オーバーオールクラスでも3位入賞を果たした前嶋秀司が優勝。
TCRJサンデーシリーズはマシュー・ホーソンが先頭集団で粘り、トップが40秒のペナルティとなって優勝となった。
サンデーシリーズのジェントルマンクラスの1位はゴルフGTIを駆るHIROBON。サンデーシリーズ初勝利を遂げた。

フォト/吉見幸夫、遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部 レポート/皆越和也

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