毎年恒例「オートテストIN奈良」、大和郡山市で開催! 今年はJAFウィメンインモータースポーツが協力!!

レポート オートテスト

2019年10月24日

RC.NARAが毎年開催している「オートテストIN奈良」が、今年は大和郡山市の商業施設駐車場で開催された。今回はJAFウィメンインモータースポーツ作業部会がコラボレーションし、多くの女性ドライバーが挑戦した。

「オートテストIN奈良2019・JAFウィメンインモータースポーツオートテスト」
開催日:2019年10月20日(日)
開催地:アピタ大和郡山店特設会場(奈良県大和郡山市)
主催:RC.NARA

 奈良県大和郡山市にある商業施設「アピタ大和郡山店」のF駐車場にて、奈良の老舗クラブRC.NARAが主催する「オートテストIN奈良」が開催された。今年は飯田裕子座長率いるJAFウィメンインモータースポーツ作業部会が協力し、大会名も「オートテストIN奈良2019・JAFウィメンインモータースポーツオートテスト」と題したイベントとなった。

 RC.NARAでは、JAF奈良支部などとの協力により、モータースポーツ初心者を対象としたサーキット走行イベント「モータースポーツIN奈良」や、アクセスしやすい市街地でモータースポーツ未経験者でも楽しめる「オートテストIN奈良」を毎年開催してきた。今年は「オートテストIN奈良」を、昨年同様の会場を舞台に開催することになった。

 今大会は、車型とトランスミッション形式で3クラスに分かれており、軽ワゴンのAT車両を対象としたAクラス、すべてのMT車両のBクラス、軽ワゴン車を除くAT&CVT車両のCクラスを設定。近畿エリアを中心に50台が参加し、午前1本、午後1本の合計2本の走行で、昼食時間を長めに確保した、ゆったりとしたスケジュールとなっていた。

 また、大きな特徴として、女性の参加優先枠があることやすべての参加者の中から女性ドライバーを対象に特別表彰されることも告知されており、50台のうち18台を女性ドライバーが占めることになった。

 当日は秋晴れに恵まれ、季節外れの汗ばむ陽気となった。会場には(株)スズキ自販奈良や奈良スバル自動車(株)やダイドードリンコ(株)などの協賛企業ブースが出店。特別講師には全日本ジムカーナの川脇一晃氏や久保真吾選手らが実際の競技車両で来場し、大会の実況MCを務めるとともに、参加者と密なコミュニケーションを図ってくれることになった。

 コースレイアウトは昨年同様の設定で、左右に長い、他の大会に比べるとやや長めのコース。前半はスラロームを主体とした肩慣らしの簡単なレイアウトで、後半に行くにつれて難易度が高まっていくという二部構成で、そこに「ラインまたぎ」から90度後退でガレージに入る最終セクションが組み合わされていた。

 スラローム後半まではリズミカルに走れる設定だったが、その次に設けられたタイトな連続S字セクションが今回の鬼門となった。それまでの勢いのままで進入すると回り切れずに行き詰まる設定で、多くの参加者が「禁断のバックギヤ」を使う罠に嵌っていた。

 この連続S字セクションは、実況MCを務めた川脇氏と久保選手により『山本コーナー』と命名されていた。これは、今大会のコース作成者である山本智宏コース委員長の名前にちなんだもの。デモ走行を担当した両選手ですら苦労したセクションであることから、ここをスムーズに攻略できるかどうかが、今回の勝負の分かれ目となっていた。

 そして、会場の一角にはJAFウィメンインモータースポーツのブースも設置され、会場を訪れた女性限定のテーブル&椅子付きの休憩&観戦スペースが用意された。ここでは飯田裕子座長や福島佳苗委員を始め、女性参加者たちが気軽に寄り合ってクルマ談義に華を咲かせていた。また、コースの目前にスペースが配置されたこともあり、他の参加者たちの良かった走りには拍手喝采。華やかで明るい雰囲気に包まれたまま大会は終了した。

 今大会に組織委員長として関わった飯田座長は、大会終了後に以下のように総括した。

「まずはアクシデントがなかったことが良かったです。それと、皆さん色々なご意見をお持ちとは思いますが、多くの方々と話をさせてもらったり、終わって帰るときに見せてくださった皆様の笑顔から判断すると、今回はやって良かったなと感じております」。

「オートテストは参加のハードルが高くない分、色々な方がいらっしゃいます。勇気を出して一人で参加された方でも、その初体験をみんなで盛り上げてくれていましたし、もちろん、自分のスキルを上げるために参加された方もいらっしゃいましたから。今回は本当に色々な女性が来てくださって、オートテストっていいイベントだなと感じています」。

 今回は主催関係者を始め、飯田座長らJAFウィメンインモータースポーツ作業部会メンバーらが検討した、女性が参加しやすい環境作りがなされていたが、今後もこういったイベントを各地で展開する予定だという。

「全国の主催クラブ、そしてJAFの各支部の方々にご理解をいただき、JAFウィメンインモータースポーツの協力という形でコラボレーションさせて頂いて、継続的にイベントを展開していければと考えております」。

「今回のような試みは、女性の参加比率が高まるきっかけになると思います。主催関係者の皆様にご理解頂き、女性が多く集まる状況が当たり前になって、男女が一緒になって楽しめるイベントにしていきたいですね」。

「また、女性だけではなくて、まだ運転免許を持っていない中高生のような方々に対しての働きかけをしていくことも考えております。これらが軌道に乗れば、そういった方面にも広がりがあるかなと思って期待しています」。

 今大会では、孤独になりがちな女性参加者に寄り集まれる場所が提供されたことで、それぞれの不安が払拭できるきっかけとなっていた様子や、普段はストイックに自分との戦いに浸ってきた男性参加者にとっても、思わぬギャラリーが現れたことで気合が入り、それが逆に空回りに繋がったような、微笑ましい場面も見られた。

 クルマの運転が好きな思いを共通項に、男女が同じフィールドで切磋琢磨する。そして、こういったグラスルーツモータースポーツでこそ、女性の参加が「当たり前」になって欲しい……。飯田座長率いるJAFウィメンインモータースポーツ作業部会の新たな試み。今後の展開に期待したい。

2019年大会は、昨年同様に商業施設「アピタ大和郡山店」の駐車場を利用した特設会場。晴天に恵まれた。
エントリー50台のうち女性の参加が18台となった。場内には地元の自動車ディーラーのブース出展もあった。
レイアウトは大小のパイロンスラロームと、「ラインまたぎ」に90度後退「ガレージ」を組み合わせた構成。
参加者が第1ヒートに向けた慣熟歩行をする間に、参加車両の安全確認を主体とした競技車検が行われた。
ドライバーズブリーフィングは、実際にコースをデモ走行しながら旗やルールの説明をする分かりやすい形式。
特別講師として全日本ジムカーナの川脇一晃氏と久保真吾選手が来場。大会終了間際には同乗体験走行も実施。
JAFウィメンモータースポーツ作業部会の飯田裕子座長と福島佳苗委員が来場して女性参加者らとの交流を図った。
実況MCは軽妙なトークでおなじみ川脇氏と久保選手が担当。女性参加者の走行は飯田座長が飛び入りで実況した。
今大会には車型とトランスミッション形式による3クラスを用意。練習走行なしの2ヒート構成で行われた。
通称『7thスカイライン』に7番ゼッケンを貼り付けて、オートテストに初挑戦したツチヤタカシ選手と同乗者の奥様。ワンオーナーのR31スカイラインを持ち込み、スポーツ走行初体験となった。「クルマで走るイベントの参加は今回が初めて。このクルマは新車からワンオーナーで乗ってて、JAFのセーフティトレーニングに参加しようと思ったら『ABS付き』が参加条件だったりしたもんで(笑)。オートテストは大丈夫みたいだったので参加してみました。いや、楽しかったですね。山道のドライブが好きなもんで、今回みたいにハンドルを左右に切りながら、曲がりくねった道を走るのは楽しいよね。また出たいですね」。
「息子がBライセンスを取得するために参加しました」と語るタムラヨシヒサ選手と息子さんのタムラユウキ選手。ZC33Sスイフトスポーツを駆るタムラユウキ選手はスムーズなハンドル捌きとアクセルワークを披露した。「大学の自動車部に所属してまして、部内でもライセンスを取得する機会はあるんですが、部活動以外でも自分でモータースポーツをやりたかったので、完走印を獲得しに参加しました。まだ免許は取り立てなんですが、実はサーキットは走り込んでいて、昨日も鈴鹿ツインサーキットを走ってました(笑)。細かいターンをするのは苦手な仕様ですしなんですが、ジムカーナもできるようになりたいので勉強のために出てみました。やってみると面白いですね」と語る。父親のタムラヨシヒサ選手は「思ってたより難しいですね。気持ちが焦る(笑)。クルマもサーキット仕様なので尚更でしたね。ランサー・エボⅩやRX-8もあるので、今度はRX-8で出たいですね。息子がサーキットを走るようになったので、一緒に走ってます。でもタイヤを買わされたり家計は大変ですよ(笑)」と言いつつも親子バトルを楽しんでいたご様子。
3台が参加したAクラス(軽AT)表彰式。ミラジーノのカナモノヤアキノリ選手が2本とも少ない減点で優勝。
20台が出走したBクラス(MT車)の表彰式。優勝はS660のシノハラケンジ選手。2位はCR-Xのヤマモトユキ選手、3位はCR-Xのナカシマアキヒロ選手、4位はスイフトスポーツのハマヤマサカズ選手、5位はキャリイのキタイヒロアキ選手、6位はミラのニシダユキマサ選手。
26台が参加したCクラス(軽以外AT)表彰式。優勝はセリカGT-Rのノヅツヨシ選手。2位はWRX STIのイシタニコウヘイ選手、3位はBMWミニのイタヤナオキ選手、4位はフィアット・パンダのタキヨシキ選手、5位はノートのヨシモトヨシテル選手、6位はレクサスISFのイノトシユキ選手。
今大会の女性ドライバーだけの集合写真。50台の参加のうち18台の車両が女性ドライバーによる参戦だった。
女性参加者のために大型テントを設置し、ゆったりと休憩や観戦ができるホスピタリティブースが用意された。
他の参加者の走行を食い入るように観察する女性ドライバーの皆さん。良かった走りには大きな拍手が沸いた。
レース経験も豊富な飯田座長は今回のコースを体験走行。慣熟歩行では参加者と一緒にコース攻略を考えた。
ナカニシユキコ選手は、約10年前に『消防車色』にオールペンしてグッドコンディションを維持している愛車のパジェロioを駆り、背の高いクルマを丁寧に操っていた。「仕事柄クルマで移動することが多いので、これを趣味に活かせないかなと思ってました。JAFメイトにこのイベントのことが載っていたので出てみることにしました。実はMT車が大好きで、70ランクルとBRZも持ってます(笑)。仕事でクルマには毎日乗ってる状況なので、何かクルマの趣味が持てるといいなと思ってたんです。こういうイベントって、自分でクルマいじれます的な方が多いイメージがあって、今回は恐る恐る出たんですけど、意外と初心者の方が多くて安心しました。オートテストは初体験でしたが、思ったよりできるなと思いました(笑)。これから続けていく意欲が湧きました。普段運転している感覚が活かされたように感じましたので、これから続けていく意欲が湧きましたね!」。
ハリアーが大好きで、今年の6月に念願叶ってようやく憧れのクルマを手に入れたヤスダトモコ選手。休憩ブースでは他人の走りを一生懸命観察していた。「私はクルマの運転が大好きで、一人で関東や九州にドライブすることもあります(笑)。ハリアーは昔から好きで、小さいクルマだと公道では危ない目に遭いそうだったのもあって、少し大きめのクルマに乗りたいと思って選びました。こういうイベントには以前から興味があったんですが、男性の中に混じってやるのは難しいかなと思ってました。それで、たまたまJAFメイトを見たら女性枠があるオートテストを知って出てみることにしました。参加した理由は、自分の運転にはある程度自信があったので、こういうのに出ると自分はどうなるのかな? という、ホント興味本位でしたね。それで、いざ走ってみたら自分は車幅を捉えられてないことを痛感しました。自分は回れない箇所を、似たようなサイズのクルマに乗ってる方が回れてたりしたので、どこまで行けるのかを把握し切れてなかったみたいですね」。
ガンメタのボディにマットブラックの大径ホイールを組み合わせた渋い仕様のVWゴルフヴァリアントを駆るビトウヨシコ選手。1本目はミスコースを喫したものの2本目に挽回。女性ドライバーの中では2位を獲得した。「乗り物が好きで、家族でカートに乗ったりすることはやってました。昔からステーションワゴンが欲しかったんですが、家族に反対され続けてきてて、やっと買えるようになったんです。VWにした理由は息子の薦めで、乗ってみたらすごく安全だし性能がいいので満足してますね。実は、一度クルマをやめようと思ったんですが、年齢を重ねるにつれて、脳が老化して運動神経も落ちていってしまって。そのことに凄く不安を感じて、やっぱり乗ることにしたんです。こういうイベントには前から出てみたかったんですが、女性が出るのはハードルが高いし、クルマも重たいのでどうかなと思ってました。でも、冥途の土産と思って出てみたら、何と銀メダルをもらっちゃって(笑)。今日はホントに幸せですよ」。
女性ドライバーを対象とした特別表彰も行われた。優勝はCR-Xのヤマモトユキ選手、2位はVWゴルフヴァリアントのビトウヨシコ選手、3位はマーチNISMO Sのワタナベミサオ選手、4位はBMWミニのイタヤレイコ選手、5位はスイフトスポーツのタカダセツコ選手、6位はS2000のタカタリエ選手。
表彰式の後に5kgの新米などを巡る大ジャンケン大会が行われて終了。
今大会の縁の下の力持ち、ヨシカワナオミ選手。主催クラブのメンバーにして今大会の参加者でもあったが、コースレイアウトに不安がある女性ドライバーのために、積極的に助手席に同乗して道案内役を買って出ていた。「かつて自分もそうでしたが、ジムカーナを始めとしたコースを覚えないと始まらない競技は、ミスコースすると一番悲しいんですよね。今回の皆さんにはそういう思いをできるだけして欲しくなかったので、少しでもお役に立てればと思って同乗させてもらいました」。
ページ
トップへ