白熱の最終戦タカタ! 田口勝彦の優勝で、炭山裕矢が大混戦のD部門タイトル奪取!!

レポート ダートトライアル

2019年10月16日

全日本ダートトライアル選手権の最終戦が広島県のテクニックステージタカタで行われた。今季は第10戦まで5クラスでタイトル未決の大混戦。激戦のD部門では、今季からダートラに復活した炭山裕矢が2013年以来の全日本タイトルを確定させた。

2019年JAF全日本ダートトライアル選手権第10戦「NANO TOP CUPダートトライアル in タカタ」
開催日:2019年10月5~6日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:CCN、TTS

 今シーズンの最終戦となる2019年JAF全日本ダートトライアル選手権第10戦「NANO TOP CUPダートトライアルinタカタ」が広島県安芸高田市にあるテクニックステージタカタで開催された。晴天に恵まれたレースウィークは土曜に公開練習、日曜に決勝が行われ、会場には多くのギャラリーが詰めかけて、全日本ダートラ最終戦の争いの行方を見守った。

 今シーズンのD部門には、SC2王者の田口勝彦(HKS・YH・テインフィエスタ)がフォード・フィエスタでD車両を制作し、鎌田卓麻(itzzオクヤマDL栗原BRZ)も4駆ターボ化したスバルBRZでSA2からD部門に移行。そしてFIAアジア・パシフィックラリー選手権でドライバータイトルを獲得した炭山裕矢(ZEAL by TSDLミラージュ)が、父・炭山義昭(ZEAL by TSDLミラージュ)の三菱ミラージュで復活することになり、海外経験も豊富なラリーストが、こぞってD部門に挑戦することになっていた。

 これにより、それまでダートラ一筋で活動してきたドライバーたちが発奮。自身15回の全日本タイトルホルダーにして6年連続D部門チャンピオンの絶対王者・谷田川敏幸(トラストADVANクスコBRZ)は、昨年来制作を続けてきた4駆ターボ化したスバルBRZをシーズン途中でデビューさせるなど、それぞれの意地をかけた戦いが展開されてきていた。

 今シーズンは、開幕戦丸和でベテラン亀山晃(ベストDLランサーDS1)が優勝、第2戦恋の浦では鎌田がD部門初優勝、第3戦京都では川崎勝己(MJトレーディングYHランサー)が優勝、第4戦スナガワでは宮入友秀(itzz DLグローバルランサー)が優勝、第5戦門前では炭山裕矢がD部門初優勝を挙げている。

 第6戦野沢では、第5戦門前で投入したBRZで2位だった谷田川がニューマシンで初勝利を挙げ、第6戦終了時で優勝者が6名誕生する大混戦状態となっていた。第7戦丸和では谷田川が意地の2連勝。続く第8戦切谷内では炭山裕矢が2勝目を挙げ、D部門のタイトル争いは谷田川と炭山裕矢の一騎打ちの様相を呈していた。

 第9戦今庄では、谷田川と炭山裕矢のほか宮入にもタイトル獲得の権利が残されていたが、炭山裕矢が”第2ヒート1本勝負”で優勝する奇跡的なリザルトにより宮入が脱落。同時に、これまで表彰台を外さずにD部門の首位を守っていた谷田川がついに陥落。D部門のランキングは炭山裕矢が4点差で逆転してシリーズ首位に立ち、最終戦タカタにおける炭山裕矢と谷田川による直接対決の構図となっていた。

 迎えた最終戦タカタ。晴天に恵まれて天候悪化の心配はなかったが、PN3では4名、N1では2名、SA1では2名、SA2では3名、D部門では2名によるタイトル争いが未決という状況だったため、長い長い9戦を戦ってきた上で、最終戦の2ヒートですべてが決まるという状況に、タカタのパドックは異様な緊張感に包まれていた。

 しかも、このタカタはコースオーナー・佐々木幸昭氏の手により丹念に整備された「走行ラインが選べる」ダート路面を走れることで知られており、コースレイアウトも他のダートコースに比べるとかなりのハイスピード。そのため、慣れた地元ドライバーや、国内では珍しい連続する高速コーナーの対応に長けたラリーストの台頭も予想されていた。

 今回の公開練習は、路面コンディションを保護するため、広大なコースを二分割してそれぞれ異なるコースを走る設定となった。そのため、両者を繋いだ決勝コースにおけるスピード感を事前に味わうことができなかったため、決勝第1ヒートでは、さらなる緊張感が漂うことになった。

 公開練習では谷田川と炭山裕矢がそれぞれのコースでトップタイムをマーク。決勝では間違いなくタイトル争いを演じるこの二人が上位争いをすることと思われた。しかし、決勝第1ヒートでトップタイムをマークしたのは鎌田だった。2番手は炭山裕矢、そして谷田川は中間計時こそ2番手だったが、ゴールタイムは鎌田に遅れること約コンマ2秒の3番手。炭山裕矢と谷田川のタイム差はたったコンマ04秒の僅差だった。

 迎えた決勝第2ヒート。第1ヒートではSA1の出走後に砂埃対策の散水が実施されたが、第2ヒートでは散水を行わない決定がアナウンスされた。ところが、決勝日の天候は晴天だったものの、時折コースを雲が覆ったため、通常よりも路面状況の硬質化が遅れて、浮き砂利が散見されるコンディションとなっていた。

 いざ第2ヒートが始まると、各クラスでは1~2秒程度のタイム更新が見られた。D部門が出走する頃には砂埃が舞い上がる状況となり、タイヤ選択は超硬質ドライ路面用が効いてくる路面となった。今回は19台ものエントリーがあったD部門でも、各ドライバーは続々と自己タイムを更新していった。

 しかし、鎌田が叩き出した第1ヒートの1分43秒978はなかなか更新されず、第2ヒートは1分45秒台止まり。シードゼッケン出走の手前になって、ようやく田口が1分43秒172でベストタイムを更新。ここから逆転劇が始まるかと思えた。しかし、同じくシード手前で走る後続の炭山裕矢は1分43秒424で田口に届かず2番手に終わってしまった。

 ランキング首位の炭山裕矢は、今大会で最大10点を加算できる状況にあり、このまま2位を獲得すれば5点を加算して115点を獲得できる。しかし、ランキング2番手の谷田川は優勝しても114点しか獲得できない。そのため、最終走者の谷田川は、田口と炭山裕矢の間に割って入るドライバーの登場を待ちながら、しかも谷田川自身が優勝しなければならないという、かなり苦しい状況に追い込まれていた。

 谷田川の直前に出走した宮入は1分43秒758を叩き出した。しかし約コンマ3秒届かず3番手に終わってしまう。そして、ほぼ同時に、多くのギャラリーが見守る中で、谷田川に「事件」が起きてしまった。

 最終走者の谷田川は、スタート直後の通称『マツタケ山』の後半部でアウト側の土手にヒット。そこは多くのギャラリーや、パルクフェルメで待つ他のドライバーから見える場所だった。逆転を誓った最終走者に起きた、明らかなタイムロスを伴う事件を目の当たりにした場内からは、大きな溜息が漏れた。

 宮入が3番手に終わった時点で、谷田川が優勝しても首位奪還は果たせない状況となっていたが、谷田川は果敢に後半セクションへ向かった。しかし、前半で失った3秒近いロスは取り戻せず第2ヒートは何と10番手。谷田川は第1ヒートのタイムが採用されて今大会は5位に終わる。

 この結果、田口がフィエスタでD部門初優勝を獲得し、同時に炭山裕矢のD部門初チャンピオンが確定。同時に谷田川のD部門連覇記録は「6」でストップすることになった。悲喜こもごもの最終戦。田口がD部門初優勝を挙げたことで、今季の全日本ダートラD部門は、実に7人ものウィナーが誕生する大激戦で幕を閉じた。

「決まった瞬間、良かったな、ホッとしたな、というのが正直な気持ちです」とは炭山裕矢。

「今季はボク自身の環境が変わって、実家に戻って父が作ったマシンで参戦することになりました。このマシンも4年目になりますし、シーズン途中から実家の看板を背負ったマシンでシリーズチャンピオンを獲りたいな、という思いが強くなっていったので、まずはその思いが叶って良かったです。今年から家族や社員のために頑張る、という環境に変わりましたが、常に頑張らないといけない状況は、ラリーをやらせてもらえたキャロッセ時代から変わってませんから、チャンピオンを獲得できたことは本当に良かったです」。

「今年の前半は1本目でタイムが出せなくて、2本目に頑張ったけど1本目で決まってしまう、といった展開が多かったり、自分でトラブルを起こしてしまったこともありました。でも、走り切れれば2位とかいいところには居られたし、第5戦門前では勝てたので、あの辺りから流れに乗れましたね。自分の走りもさることながら、クルマのセットアップも、かなり細かい領域ですが決まってきたので、その効果も第8戦切谷内辺りから出始めて来ましたよね。ダンロップさんにも手厚くサポートしていただけたのも大きかったですよね」。

 炭山裕矢は1999年に旧CⅡクラスで初タイトルを獲得。この年は旧CⅢクラスを戦う父・炭山義昭と親子でチャンピオンを獲得している。2001年に旧AⅣクラスでタイトルを獲得した後にラリーの世界に転向。2013年には一時的にSC3に参戦して3度目のタイトルを獲得する。その後はキャロッセワークスドライバーとしてFIAアジア・パシフィックラリー選手権に挑み、2018年には念願の初のドライバータイトルを獲得。そして今年は再び全日本ダートラに復活し、復帰初年度にして自身4度目の全日本ダートラチャンピオン確定となった。

炭山裕矢が有利な状況で迎えた最終戦。田口勝彦の勝利、そして炭山裕矢の2位獲得でタイトル争いは決した。
第2ヒートの最終走者・谷田川敏幸の走りを見守る田口勝彦ら前走者。観客の見守る前で「事件」は起きた。
今季序盤でD車両フィエスタをデビューさせた田口勝彦が、ようやくフィエスタに初勝利をプレゼントした。
炭山義昭とダブルエントリーする炭山裕矢。高速レイアウトのタカタを2018APRCチャンピオンが駆け抜けた。
パルクフェルメで笑顔を見せた炭山裕矢。しかし、気になるのは「01」ゼッケン、最終走者の谷田川の走りだ。
コース前半でオーバーランを喫した谷田川。第2ヒートは10番手に留まり、第1ヒートのタイムで5位に入賞。
険しい表情の谷田川に炭山裕矢は探るような表情で握手に応じる。ようやく見せた笑顔に炭山裕矢も安堵した。

 最終戦タカタでタイトル争いが残されていたのは5クラス。そのうちPN3とN1、SA1では、初タイトルの可能性があるドライバーが名を連ねていただめ、D部門以外でも白熱した戦いが演じられた。

 PN3では山崎利博(itzz☆DL鳥居TAC86)と竹本幸広(YHユークスオレンジ86)、岡翔太(itzzオクヤマDL BRZ)、熊久保信重(YHユークスオレンジ86)にタイトル獲得の権利が残されていた。この今年から新設されたPN3も、第9戦今庄までに6名ものウィナーが誕生する混戦模様となっており、それぞれ2勝している山崎と竹本がランキング上位に付けていた。

 しかし、第1ヒートではタカタを地元とするダートラ界の後輪駆動使い、矢野淳一郎(Motys BSTテクノDL86)がトップタイムをマーク。「今季は車両トラブルもあって調子が出なかった。でも最終戦では復活したので、タイトル争いをかき回しますよ」と語っていたとおり、山崎と竹本を2番手、3番手に従えて、第2ヒートも制する勢いを見せていた。

 PN3は第2ヒート勝負となった。各車が秒単位で自己タイムを更新する中で、矢野は唯一の1分59秒台に入れて暫定トップを再び獲得。続く和泉泰至(DL itzzクスコGR86)や熊久保は2分台に留まった。そして竹本が1分57秒537というスーパー・ベストタイムを計測して、残り3台にしてブッちぎりの暫定トップに立ってみせた。

 続く岡は1分59秒台、そして最終走者の山崎は何と2分台。この結果、竹本の今季3勝目が決まり、自身初の全日本チャンピオンを確定。そして今年から新設されたPN3の初代チャンピオンも確定させることになった。

「自分の中では走りは完璧でした。超硬質ドライ路面用タイヤも完璧に合って、本当はドライ路面用と迷ったんですが、ホント色々な方々にさんざん教えてもらった結果、超硬質ドライ路面用タイヤで『勝負』しないとダメだなと決めたので、発売されたばかりの195サイズをチョイスしました」。

「それで気合を入れて勝負して、そのとおりに走れたので、ホント出来過ぎだなと思うくらいの2本目でしたね。シーズン序盤は正直、崩れてました。でも、それがあったからこそ、クルマ的にもドライビング的にも大きく成長できたと思います。精神的にも鍛えられましたから、ホント濃い1年になりました」。

 DC2インテグラで2014年のN1チャンピオンを逃した竹本は、2015年から86でPN2にスイッチし、体制変更を経ながら後輪駆動に挑み続けた。そして苦節5年目、ようやく全日本ダートラ初タイトルをモノにした。

第1ヒートの3番手から、後続を約2秒引き離す第2ヒートの大逆転。竹本幸広が今季3勝目でタイトルを確定。
勝利が確定するまでパルクフェルメをウロウロしていた竹本。勝利の瞬間、師匠の熊久保信重と歓喜の握手!
PN3初代チャンピオンは竹本の手に。今シーズンのPN3を盛り上げた立役者たちが最終戦の表彰台を独占した。

 N1では古沢和夫(YHターマックテインミラージュ)と北原栄一(YHナスカroco日産パルサー)ら関東勢によるタイトル争いとなっていたが、最終戦のウィナーは田口勝彦門下生の川本圭祐(チェリッシュアドバンインテグラ)。北原は自己タイムを更新したものの川本には約コンマ2秒届かず2番手。

 この時点で古沢のタイトルが確定したが、最終走者の古沢は5番手に終わり、古沢が自身初タイトル、そしてN1ファイナルイヤーにおける最後のチャンピオンを確定させることになった。なお、ラリーストでもある川本は今回の勝利が全日本初優勝となっている。

 SA1のチャンピオン争いは、北陸の新星・浦上真(DL☆VT☆MSPインテグラ)と関東のベテラン・小山健一(A DLベリティ―MSシビック)の一騎打ち。初タイトルが決まる一戦に意外な緊張を見せつつも、いつもの走りを披露する浦上に対して、小山は公開練習からタイムが伸びない状況となっていた。

 若手を油断させるブラフかとも思わせたが、実は小山は車両トラブルを抱えていた。決勝の小山はこの症状をカバーする走りで善戦したが、届かず6番手に終わってしまう。対する浦上は2ヒートともベストタイムをマークした完全勝利で、自身初の全日本タイトルを確定させることになった。

岡山のチェリッシュに務める川本圭祐が2ヒートともベストタイムの完全勝利。N1で全日本初優勝を獲得した。
古沢和夫と北原栄一によるN1のタイトル争い。北原がコンマ差の2位に終わり、古沢の初タイトルが確定した。
第1ヒートは稲葉幸嗣を1秒以上引き離したSA1浦上真が、第2ヒートも後続を1秒以上ブッちぎって今季4勝目。
ベテラン小山健一と浦上のSA1タイトル争いは、浦上の完全勝利で終結。浦上が全日本初タイトルを確定!
葛西キャサリン伸彦の暫定ベストを今村宏臣が更新。今村のZC33Sスイフト初優勝は浦上の勝利で幻となった。

 そして、SA2のタイトル争いは、北村和浩(MJトレーHKサーDLランサー)と荒井信介(クスコアドバンitzzランサー)が有効同ポイントで並ぶ大接戦。そこに若手期待の黒木陽介(MJT Gulf五組DLランサー)が優勝すれば逆転できる可能性を持つ、かなりシビアな三つ巴となっていた。第1ヒートはクラス直前に散水が行われ、北村と荒井が異次元のタイムで接戦を展開。トップの北村は1分47秒台でベストタイムを刻んでいたが、黒木は北村と荒井から約2秒離される状況となっていた。

 第1ヒートが終了して、第2ヒートでは散水が実施されないことがアナウンスされる。これにより、装着タイヤ選択に悩む状況となった。第2ヒートでは各車、自己タイムを更新してきたが、北村が叩き出した第1ヒートのタイムはなかなか破られない。荒井は何とタイムダウン、そして黒木は中間ベストを叩き出して1分47秒台には入れたものの届かない……。そして、最終走者・北村がスタートした。

 北村は黒木の中間を約1秒上回る好走を見せる。多くの観客が見つめるハイスピードなギャラリーコーナーでは、高い速度をキャリーしたまま真横になって進入。『北村和浩』の代名詞である豪快な『キタムラ走り』を披露してブッちぎった。その結果、自己タイムを約コンマ6秒更新し、後続を1秒以上引き離す、1分46秒553という文句なしのベストタイムで優勝。今大会パーフェクトウィンで2017年以来のタイトル奪還を果たした。

第1ヒートは『カベ走り』を披露したSA2北村和浩。第2ヒートではギャラリーコーナーへ真横になって進入!!
久々の『キタムラ走り』を炸裂させた北村が2ヒートともベストの完全勝利。2017年以来のタイトルも確定。
荒井信介、黒木陽介との三つ巴を、完璧な走りで勝利した北村。最終戦のSA2は『キタムラ劇場』だった。

 PN1は工藤清美(工藤ホンダDLワコーズフィット)が今季3勝目、PN2は今シーズン限定で復活した三枝光博(DL WAKOS BRIGスイフト)が、実に1996年以来となる久々の全日本優勝を獲得した。N2は第2ヒートで大逆転した北條倫史(DL itzz NUTECランサー)が今季4勝目を挙げた。

 SC1では中盤以降2位が続いていた山崎迅人(YHゲンシンMAXミラージュ)が第3戦京都以来の今季3勝目をゲットした。SC2は後続に何と2秒以上の差を付けた梶岡悟(DL・レイズ・ingsランサー)が優勝。新作の超硬質ドライ路面用タイヤの威力を見せ付けた。

 2019年の全日本ダートトライアル選手権はこれにて全10戦が終了。2019シーズンは、PN1は上野倫広、PN2は宝田ケンシロー、PN3は竹本幸広、N1は古沢和夫、N2は北條倫史、SA1は浦上真、SA2は北村和浩、SC1は坂田一也、SC2は梶岡悟、そしてD部門は炭山裕矢がタイトルを確定させている。

足回りのセットアップも決まって快走した工藤清美。昨年の雪辱を果たすPN1フィットのタカタ初勝利を獲得。
優勝は工藤、2位はCR-Zの児島泰、3位はフィットの渥美孝太郎ということで、ホンダ勢がPN1表彰台を独占!
PN2に復活した三枝光博が1996年以来の全日本優勝。第1ヒートからトップを奪う完全勝利となった。
「久々の勝利はやっぱり嬉しい」と語る三枝。「でも、(宝田)ケンシローに勝てたのはもっと嬉しい」とも。
第1ヒートは3番手のN2北條倫史が、第2ヒートは超硬質ドライ路面用タイヤで快走。大逆転勝利をモノにした。
暫定トップだったN2角皆昭久は逆転されてガッカリ。対して、角皆を1秒以上離した勝利に北條は満面の笑顔。
SC1山崎迅人が第2ヒートで逆転。2位奥村直樹を約コンマ3秒、3位一柳豊を約1秒引き離した久々の勝利だ。
第1ヒート首位の坂田一也と固い握手を交わす山崎。今季は坂田に渡ったSC1タイトル。来季の奪還に燃える。
第1ヒートこそ僅差だったSC2梶岡悟。第2ヒートは後続を2秒以上引き離す驚愕のタイムで今季6勝目を挙げた。
今季は梶岡とタイトル争いを演じた大西康弘が2位。上村智也が3位、吉村修が4位。上原吉就は今季初入賞。
決勝コースレイアウト。高速コーナーを主体としたテクニックステージタカタにおいて、名物コーナーを網羅した設定となった。天候は厚い雲と日照が交互に現れる状況で、路面の乾き具合の見極めが難しかった。コースオーナー佐々木幸昭氏らによる路面整備が行き届いたタカタでは、第2ヒートでは「散水なし」という英断も飛び出した。そのおかげもあって、各クラスでは最終戦にふさわしい名勝負が展開された。
競技終了後には地元中国や近畿地区の選手を中心とした、ダートトライアル選手会(JDCEA)による恒例の同乗走行が行われ、お昼の抽選会で当選した来場者たちは本番直後のダートコースを同乗体験することができた。

フォト/滝井宏之、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

※記事に誤りがあったため一部内容を修正しました。謹んでお詫び致します。

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