台風一過のF1日本GPはバルテリ・ボッタスが今季3度目の勝利!

レポート レース

2019年10月16日

記録的な大型の台風19号が日本を直撃し、土曜のフリー走行と予選が中止になるばかりか、鈴鹿サーキットが休園となる異例の事態に陥った2019年のFIA F1世界選手権シリーズ第17戦 日本グランプリレース。日曜に予選と決勝が行われるリスケジュールとなった中、メルセデスAMGペトロナス・モータースポーツのバルテリ・ボッタス選手が優勝した。

2019 FIA F1世界選手権シリーズ 第17戦 日本グランプリレース
開催日:2018年10月11~13日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC

 2019年10月第2週の週末、日本列島に猛威を振るった台風19号。奇しくも鈴鹿サーキットでは10月11~13日に2019 FIA F1世界選手権シリーズ第17戦 日本グランプリレースが開催されるタイミングだった。この台風はちょうど12日に鈴鹿サーキットに最接近することが予想され、フリー走行や予選への影響が懸念された。

 そこで併催されるFIA-F4 Suzuka Special Stageが中止、11日夕方に予定されていたGPスクエアでのトークショーの時間変更が発表された。またGPスクエアの各ブースの営業が14時をもって終了、テントや横断幕の撤去作業が行われた。そして最終的には国際レーシングコースで行われるすべての走行の中止が決定となる。

 迫り来る台風に変更を余儀なくされる状況下、注目が集まったのは11日に行われたFP1(フリー走行)。2018年のSUPER GTと全日本スーパーフォーミュラ選手権で2冠を達成した、国内を代表するトップドライバー・山本尚貴が、レッドブル・トロロッソ・ホンダのマシンでF1のステアリングを握り、鈴鹿を走った。

 事前にシミュレーター等で準備を行ってきた山本は、初走行とは思えないほどマシンをスムーズにドライブ。30周を走った中で1分32秒018というタイムを出し、チームのダニール・クビアトとほぼ差のない結果を残したのだ。走行終了後に行われたピット裏でのメディアカンファレンスでは、多くの国内外メディアに囲まれるほどの注目ぶりだった。

 明けて13日は晴天の下、約89,000人の観客が鈴鹿サーキットに集まった。予選Q1はスクーデリア・フェラーリのシャルル・ルクレールがトップ。続くQ2はメルセデスAMGペトロナス・モータースポーツ勢が1分27秒台と好調で、V.ボッタスがトップ。そしてQ3は1分27秒台のトップ争いに発展、ファステストを叩き出したセバスチャン・ベッテルがポールポジション獲得となった。

 フロントロウはスクーデリア・フェラーリの2台、その背後にメルセデスAMGペトロナス・モータースポーツの2台、そしてアストンマーティン・レッドブル・レーシングの2台が続く。14時10分に決勝スタート、3番グリッドのV.ボッタスが好スタートを切って一気にトップに躍り出る。

 2コーナーに差し掛かったところで、C.ルクレールとマックス・フェルスタッペンが接触。M.フェルスタッペンはスピンを喫して18番手まで後退、何とか力走するもマシンに負ったダメージが大きく、14周目のピットインで無念のリタイアとなってしまう。

 一方のC.ルクレールはフロントウイングが破損したままの状態で走行、3周目にようやくピットインすると最後尾まで順位を落とした。その後は猛追撃を見せて6番手まで追い上げたものの、1周目の接触と破損状態での走行で15秒のペナルティが加算されるリザルトとなった。

 レースは終始V.ボッタスが主導を握る中、ピットインで一時的にルイス・ハミルトンにトップを譲るも、そのまま52周を走り抜いてトップでチェッカーを受けて優勝。2位にはL.ハミルトンの猛追を退けてS.ベッテルが入賞。3位はドライバーズ・ワールド・チャンピオンシップのトップを独走するL.ハミルトン。

 なお本来であれば決勝は53周のレースだったが、電光掲示板により52周でチェッカーが振られていた。レース後の会見でFIAレースディレクターのマイケル・マシ氏が会見を開き、原因不明のシステムエラーがあったことが説明され「現在調査中です。こういうことが起きて非常に残念です」とコメント。レギュレーションに則り、52周が終了した時点での順位がリザルトとなった。

 そしてスポーツペサ・レーシング・ポイントF1チームからFIAに提出された、ルノーF1チームのレギュレーション違反についての抗議は、ドライバーエイドに関する競技規則に反しているとの裁定が下り、暫定6位のダニエル・リカルド、暫定10位のニコ・ヒュルケンベルグが失格となった。

スタートで上手く飛び出し、ホールショットを奪ったV.ボッタス。日本グランプリで今シーズン3勝目を挙げた。
V.ボッタスは昨年の日本グランプリで2位だったが、今年は表彰台のトップに立てたことで嬉しい表情を見せた。
ポールスタートながら、わずかに出遅れて2番手に落ちるも、粘り強くポジションをキープして2位入賞したS.ベッテル。
ジャンプスタートの疑いがかかったS.ベッテルだが、許容範囲内の動きで“No further action”(お咎めなし)。
45周目にファステストを叩き出し、終盤にはS.ベッテルをプッシュしたL.ハミルトン。わずかに届かず3位となった。
メルセデス勢の1-2フィニッシュを狙っていたL.ハミルトンは、2ストップ作戦になったことを悔やんだ様子。
表彰式には2位のS.ベッテル、優勝のV.ボッタス、3位のL.ハミルトンが登壇。
コンストラクターズ・ワールド・チャンピオンシップ6連覇を達成した、メルセデスAMGペトロナス・モータースポーツの皆さん。
F1のパワーの凄さに驚いたという山本尚貴。全ドライバーの中で最多の30周を走行し、1分32秒018のタイムを記録した。
走行を終えた山本尚貴がトロロッソのレーシングスーツでピットから登場。国内外のメディアに囲まれインタビュー対応をした。

フォト/吉見幸夫、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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