2019年の鈴鹿10時間耐久はアウディR8 LMS GT3 Evoが世界一に輝く!
2019年8月30日
夏の風物詩として独自の発展を遂げてきた「鈴鹿1000kmレース」を受け継ぎ、2018年より“FIA-GT3の世界一決定戦”として新たなスタートを切った「鈴鹿10時間耐久レース」が8月23~25日、三重県の鈴鹿サーキットを舞台に開催された。
第48回サマーエンデュランス鈴鹿10時間耐久レース
開催日:2019年8月23~25日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC、株式会社モビリティランド
2019年の大会にはスーパーGTやスーパー耐久で活躍する日本のチームはもちろんのこと、世界各国のレースシーンで活躍する海外チームも参戦しており、合計36台のマシンが集結。
車種バリエーションも多彩で、メルセデスAMG GT3やアウディR8 LMS GT3 Evo、フェラーリ488 GT3、ランボルギーニ・ウラカンGT3、ベントレー・コンチネンタルGT3、アストンマーチンV8バンテージAMR GT3、ポルシェ911 GT3 R、マクラーレン720S GT3といったヨーロピアンモデルから日産GT-RニスモGT3、ホンダアキュラNSX GT3といった国産スポーツ、さらにキャラウェイ・コルベットC7 GT3-Rといったアメリカンモデルまで、まさに“世界一”にふさわしいラインナップを誇っていた。
気になるドライバーに関してもスーパーGTやスーパー耐久で活躍する日本のトップドライバーはもちろんのこと、国際レースで活躍する各メーカーのワークスドライバーたちも集結。さらに元F1ドライバーのM.ハッキネンが、同大会でレース復帰を果たすなど豪華なメンバーが顔を揃える中、賞金総額1億円をかけたバトルが展開された。
レースウィークは23日、雨に祟られた練習走行で幕を開けた。当日はナイトセッションまで雨の影響によりウェットコンディションとなったことから、各チームともに雨の上がった24日のフリー走行で初めてドライでの走行を経験し、午後の予選にチャレンジ。
このように素早い対応が求められる中、予選で抜群のスピードを見せたのが、ベルギーのチーム、アウディスポーツ・チームWRTの25号車、アウディR8 LMS GT3 Evoで、鈴鹿を攻略し、予選総合で1位を獲得した。
しかし、決勝の上位グリッドを争うポールシュートアウトで、アウディスポーツ・チームWRTの25号車は2位に惜敗。代わってトップタイムを叩き出したのが、BMWの名門チーム、BMWチーム・シュニッツァーの42号車、BMW M6 GT3で、鈴鹿10時間レースに初挑戦ながらポールポジションを獲得した。
25日も晴天に恵まれ、真夏の太陽がアスファルトを焦がす中、午前10時、10時間に渡る長距離レースが幕を開けた。
レース序盤でトップ争いを支配したのが、ポールポジションを獲得したBMWチーム・シュニッツァーの42号車で、3番グリッドのワーケンホースト・モータースポーツの34号車が2番手に浮上。BMW M6 GT3が1-2体制を形成した。アウディスポーツ・チームWRTの25号車も3番手で続き、ベントレーのワークスチーム、ベントレー・チームMスポーツの107号車、ベントレー・コンチネンタルGT3が4番手、スーパーGTのGT300クラスで3度のチャンピオン経験を持つメルセデスAMGチーム・グッドスマイルの00号車、メルセデスAMG GT3が5番手に浮上してトップグループを形成した。
真夏の10時間という過酷なレースとなっているだけに、スタートから2時間30分後にはハブオート・コルサの27号車、フェラーリ488 GT3とアロウズレーシングの98号車、ホンダアキュラNSX GT3が接触するほか、6時間後には再びハブオート・コルサの27号車がコースアウトを喫したことで二度にわたってフルコースイエローが提示。
セーフティーカーが導入されるなど、サバイバルレースが展開される中、アウディスポーツ・チームWRTの25号車は常に安定した走りを披露。日が暮れた午後8時にトップでチェッカーを受け、275周を走破したD.バントール/K.ファン・デア・リンデ/F.ヴェルビッシュ組のアウディR8 LMS GT3が2019年大会のウィナーに輝いた。
一方、レース序盤をリードしたBMWチーム・シュニッツァーの42号車はレース中盤で失速。代わってレース中盤から猛追を披露したのが、2018年の大会ウィナーであるメルセデスAMGチーム・グループMレーシングの999号車だった。
ポールシュートアウトこそ9位にとどまったが、999号車のメルセデスAMG GT3は決勝で粘り強い走りを披露し、M.ブーク/M.エンゲル/R.マルセロ組が2位で表彰台を獲得。同じく11番グリッドからスタートしたアブソルート・レーシングの912号車、ポルシェ911 GT3Rもレース中盤から着実にポジションアップを果たしており、D.オルセン/M.キャンベル/D.ヴェルナー組が3位で表彰台を獲得した。
なお、国産モデルの最上位は香港のチーム、KCMGの35号車で、千代勝正/J.バードン/松田次生組の日産GT-RニスモGT3が6位で完走。日本チームの最上位はAMGチーム・グッドスマイルの00号車で、谷口信輝/片岡龍也/小林可夢偉組のメルセデスAMG GT3が10位で完走を果たした。
注目を集めたM.ハッキネンは久保田克昭/石浦宏明ともにプラネックス・スマカメ・レーシングの11号車、マクラーレン720S GT3で奮闘するものの、ペースアップを果たせずに22位でチェッカーを受けた。
なお、同時開催のアウディR8 LMSカップではA.ハーヤントが第7戦、B.ブヒロンバハディが第8戦を制覇。同じく同時開催のポルシェ・スプリントチャレンジ・ジャパン第9戦では、すでに前戦でタイトルを獲得しているIKARIがポール・トゥ・ウィンで今季6勝目を獲得した。
フォト/吉見幸夫 レポート/廣本泉