届かなかった宮田莉朋……41人目の全日本F3王者はサッシャ・フェネストラズ!

レポート レース

2019年8月23日

スーパーフォーミュラ第5戦と併催の全日本フォーミュラ3選手権もてぎ大会。第17戦を制したTOM'S宮田莉朋だったが、サッシャ・フェネストラズが第18戦で優勝して王座を確定させた。

2019年JAF全日本フォーミュラ3選手権第16-18戦
ツインリンクもてぎ2&4レース

開催日:2019年8月16~18日
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)
主催:(株)モビリティランド、M.O.S.C.

 2019年の全日本フォーミュラ3選手権第7大会がツインリンクもてぎで開催された。ランキングトップのサッシャ・フェネストラズ(B-Max Racing with motopark F3)が、第16戦と第18戦で勝利を飾って今季8勝をマーク。最終大会を前にシリーズチャンピオンを確定させた。

 前戦SUGO大会と同様に、3レースが行われたもてぎ大会。17日(土)午前に行われた予選では、計時システムに不具合が生じ30分に渡って赤旗中断になるという珍しいアクシデントに見舞われたが、そんな中、第16戦のポールポジションを獲得したのはフェネストラズ。セカンドベストタイムで決まる第17戦のポールポジションは、宮田莉朋(カローラ中京 Kuo TOM'S F317)が手に入れた。

 17日(土)午後に行われた第16戦の決勝レースでは、フェネストラズよりも加速の良いスタートを切った宮田が、トップを奪おうとフェネストラズに並びかける。両者のサイド・バイ・サイドの戦いはS字コーナーまで続いたが、フェネストラズがなんとかトップを死守した。

 オープニングラップを制したフェネストラズは、1分45秒台のラップタイムを重ねてリードを広げにかかった。対する宮田も同じペースで食らい付くが、わずかに差は広がって逆転はならず。フェネストラズがファステストラップもマークする完全勝利で今季7勝目を記録した。

 全日本F3の2019年タイトル確定の大一番となる今回のもてぎ大会。第16戦が終了して、フェネストラズとのポイント差が33点に広がっていた宮田は、ポールポジションからスタートする第17戦で、ファステストラップを奪取してフルマークを記録しなければ後がない状況だ。

 18日(日)の午前に第17戦がスタート。ホールショットを奪いたい宮田は、フェネストラズをけん制しながら1コーナーへ進入。2台は並んで2コーナーへと入ったが、3コーナーで宮田が完全に前に出ると、リードを築くべくプッシュしていった。

 第16戦とは完全に立場を逆転させた宮田は、ファステストラップを記録してトップチェッカー。フェネストラズは2位でゴールし、両者のポイント差は28ポイントに短縮。宮田がフェネストラズの第17戦でのタイトル確定を阻止した状況だ。

 18(日)スーパーフォーミュラ第5戦決勝の後に行われた第18戦は、第16戦の決勝結果によりスターティンググリッドが決定し、優勝したフェネストラズと2位の宮田が最前列に並んだ。

 宮田は、このレースを新品タイヤで臨み、スタートでの逆転を狙ったが、3番グリッドの大湯都史樹(TODA FIGHTEX)が勢い良く飛び出して1周目は宮田と並走することになった。その隙にフェネストラズは2番手との差を築き始めていった。

 6周目にファステストラップを記録した宮田は、フェネストラズに1秒以内でピタリとマーク。ファイナルラップまで首位を猛追したが、最終的にはフェネストラズが逃げ切って優勝。今季8勝目をマークしたフェネストラズが、岡山での第8大会を前に、41年目となる全日本F3選手権で41人目となるシリーズチャンピオンを確定させた。

第18戦の優勝で全日本F3タイトルを確定させたサッシャ・フェネストラズ。組田龍司代表やティモ・ルンプカイ代表を始めとしたB-Max Racing with motoparkのスタッフと歓喜の記念撮影。
もてぎ大会は3レース制。土曜に行われた14周の第16戦ではフェネストラズがポールスタート。
第16戦はフェネストラズと宮田莉朋の戦い。序盤にファステストを連発したフェネストラズが引き離し、最終的には2秒以上の差を付けて優勝。12点フルマークで宮田に33点差を付けた。
第16戦の表彰台。優勝はポールトゥウィンのフェネストラズ。2位は宮田。3位は大湯都史樹。マスタークラスを走るDRAGONは第16戦でタイトルを確定。
第16戦は2位に終わった宮田。「1周目にしかチャンスはない」と、序盤はフェネストラズとサイドバイサイドの果敢なバトルを展開したが届かず2位。7ポイント獲得で第17戦の逆転を誓う。
7番手スタートの大湯が第16戦で鋭い追い上げを見せた。1周目でエナム・アーメドとシャルル・ミレッシをパス。6周目までに大津弘樹や小高一斗を抜き去って3位表彰台を獲得した。
今大会はDRAGONと久保田克昭の2台が参戦したマスタークラス。第16戦は30号車を駆るDRAGONが総合9位でクラス優勝。マスタークラス設立初年度でチャンピオンを確定させた。
日曜に行われた第17戦も14周。ポールポジションは宮田莉朋で、フェネストラズと宮田が並んで入った1コーナー。宮田はアウトのグラベルに弾かれながらも、何とかコースに復帰した。
1周目の4コーナー立ち上がりで首位を奪い返した宮田は、そのまま2周目、5周目と続けにファステストを更新。宮田が辛くも逃げ切ってフルマークの優勝。タイトル確定を阻止してみせた。
第17戦の表彰台。優勝は宮田。2位はフェネストラズ。3位は3番手スタートの小高一斗。
「昨晩の雨の影響か、やや苦戦した」と語る第17戦で2位のフェネストラズ。ファステストを狙うも届かず、レース中は2秒以内の僅差で詰め寄ったが、終盤で遅れて約4秒差に終わった。
第17戦は、残しておいたニュータイヤで挑んだ小高だったが、上位2台のペースには届かず3位に留まる。「昨日は完走できなかったので、今日はしっかり走る」と語り第18戦に切り替えた。
第18戦は第16戦優勝のフェネストラズがポールポジションを獲得。2番手スタートの宮田は1周目でフェネストラズに詰め寄りたかったが、スタートを決めた大湯に阻まれてやや後退する。
第18戦は序盤からファステストの取り合い。2周目にフェネストラズ、4周目と6周目に宮田が奪取したが、レースはフェネストラズが前を一度も譲らず、コンマ6秒差で逃げ切って優勝。
第18戦の表彰台。優勝はフェネストラズ。2位は宮田。3位は4番手スタートの大津弘樹。マスタークラスの優勝はDRAGON。
第18戦で2位に終わった宮田。ロケットスタートに見えた大湯の好走は、実はジャンプスタートだったため、宮田とのバトルを終えた後に、大湯はドライブスルーペナルティで沈んだ。
第18戦の3位は大津。セットアップの変更により好ペースを確保して今季3度目の表彰台を獲得したが「今回はペナルティで上がった順位なので、次の岡山では絶対に優勝したい」と語る。
第18戦の優勝で、全日本F3初タイトルを確定させたフェネストラズ(左)。第16戦マスタークラスでタイトルを決めたDRAGONこと組田龍司氏と、パルクフェルメで喜びを分かち合う。
第18戦の表彰式の直後に、フェネストラズには全日本F3歴代王者の名を刻んだトロフィーが授与された。王者の証を手渡したプレゼンターは、日本フォーミュラスリー協会の水野雅男会長。
フェネストラズ(左)とモトパークのティモ・ルンプカイ代表。今年は”黒船”たちが席巻した。
負傷により富士大会とSUGO大会を欠場していたシャルル・ミレッシがもてぎ大会から復活。
富士大会での負傷によりSUGO大会を欠場。もてぎ大会での復活を狙っていた三浦愛。しかし、大事をとって今回のもてぎ大会も参戦を見送り、会場ではピットウォークで元気な姿を見せた。
今年はFIAアジアF3に参戦し、ポルシェカレラカップジャパンでは参戦初年度でタイトルを確定している笹原右京が、もてぎ大会で久々に全日本F3に復活した。「今回はスポット参戦ですが、この機会をいただいたチームの皆様には本当に感謝です。久々に全日本の車両に乗りましたが、FIA-F3車両に比べて、直線のスピードはドラッグの影響であまり変わらない印象ですが、ブレーキングやコーナリングのボトムスピードはやっぱり大きく違っていて、エアロのレベルの高さや根本的なメカニカルグリップの高さを感じますね。全日本の車両はかなり自由に走れる印象で、FIA-F3車両は極端に言えばハコ車の感覚に近い部分もあるんです。やっぱりドライバーとしては軽やかで速いマシンの方が楽しいですね(笑)」とは笹原。今回は表彰台には届かなかったが、レース中は随所で積極的に前に出る走りを披露してくれた。
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