炭山裕矢、激戦区を制して全日本復帰後、初優勝を飾る

レポート ダートトライアル

2019年6月19日

全日本ダートトライアル選手権は6月16日、石川県の輪島市門前モータースポーツ公園で第5戦決勝が行われ、開幕から4戦連続でウィナーが入れ替わる激戦が続いているD部門では炭山裕矢(ZEALbyTSDLミラージュ)が優勝。今季5人めの勝者に名乗りを上げた。

2019年JAF全日本ダートトライアル選手権第5戦 ダートスプリントin門前
開催日: 2019年6月16日
開催地: 輪島市門前モータースポーツ公園(石川県輪島市)
主催: Three-R

 福井県のオートパーク今庄と並んで北陸を代表するダートトライアルコースである輪島市門前モータースポーツ公園は、レーシングコース並みの広い幅を持つメインストレートとラリーコースを思わせる林道セクション、という対照的なコースレイアウトが並存する全国でも珍しいコースだ。

 そのふたつのセクションを繋ぐのが高速で飛び込むギャラリーコーナー。そこを上りながら林道セクションに突入するとあって、ドライバーは全開で急傾斜を踏み切る。豪快に駆け上がるマシンとともに激しく立ち上がる砂煙が、ここ門前の名物だが、今年は朝から雨そして強風が吹くというあいにくのコンディションに見舞われてしまった。

 少々の雨ではびくともしない門前のグラベルも、止んだかと思うとスコールのように襲ってくる雨のためにコースは回復することなく、全クラス、ヒート1を制したドライバーが優勝するという事実上の1本勝負となった。

 

 鎌田卓麻(itzzオクヤマDL栗原BRZ ZC6)、田口勝彦(HKS・YH・テインフィエスタ)、炭山裕矢という日本を代表するラリードライバーの参戦で今年、俄然、盛り上がりを見せているD部門。彼らはダートトライアルの世界でも十分なキャリアを残してきたドライバーとあって開幕戦から優勝争いに絡む活躍を見せている。

 むろん迎え撃つレギュラー勢も黙っているわけはなく、開幕戦はベテラン亀山晃(ベストDLランサーDS1)、第3戦は川崎勝己(MJトレーディングYHランサー)、前戦北海道では宮入友秀(itzzDLグローバルランサー)が優勝し、意地を見せている。そして今回は6年連続でD部門の牙城を守ってきた谷田川敏幸(トラストADVANクスコBRZ)が遂にNEWマシンであるBRZを投入してきた。

 雨が降り続く予報が出ていたことから、1本め勝負を見越して各選手、ギリギリの走りを見せたヒート1で快走を見せたのは、今年から、父、義昭とダブルエントリーという形で全日本に本格復帰した炭山裕矢だった。前走者、田口が塗り替えた暫定ベストを4秒近くも縮める1分20秒602という驚異的なタイムをマークする。

 その後は宮入が22秒811まで詰めるのが精一杯。結局、炭山が総合のタイムでも、2番手のSA2クラス優勝の北村和浩(MJトレーHKサーDLランサー)を2秒引き離すこのスーパーベストで逃げ切り、復帰後初の1勝を飾った。「勝てるマシンであることは分かっていたんだけど、ようやくドライバーが走りを合わせ込めた。シリーズを折り返す前に勝っておかないとマズいと思っていたので良かったです」と炭山はほっとした表情を見せた。

 前半戦まさかの未勝利に終わった谷田川は各車、タイムを落とす中、ヒート2では総合ベストとなる22秒797までタイムを上げて2番手に食い込んだ。タイム差こそ開いたものの、後半戦は間違いなくトップ争いに絡んでくるポテンシャルをすでに備えていると言っていいだろう。D部門の『乱世』は当分、続きそうだ。

 今回の大会は初優勝ラッシュとなり、今季、新天地に移籍したPN3岡翔太(itzzオクヤマDLBRZ)、SC2大西康弘(YH・TEIN・AGランサー)がクラス初優勝。N1前田利幸(オートリンクスDLインテグラ )、SC1則信重雄(TVXOJ佐藤ライトDLセリカ)の二人は嬉しい全日本初優勝を飾った。今季初の1勝を挙げたのはPN1太田智喜(DLワコーズクスコデミオ508)、N2西田裕一(DL・BOOBOWランサー)、SA2北村の3名だ。

 PN2では宝田ケンシロー(YHKYBオクヤマスイフト)がライバル細木智矢(MJTDLSWKWMスイフト)の連勝を止める2勝目を獲得。SA1浦上真(DL☆VT☆MSPインテグラ)はホームコースの一戦を譲らずシーズン3勝目を挙げて好調をアピールした。なお第6戦は3週間後の7月7日に長野県のモーターランド野沢で開催される。

PN1クラスはデミオで孤軍奮闘する太田智喜が相性のいい門前で今季初優勝。
PN2は宝田ケンシローが開幕戦以来の2勝目を挙げた。
PN3は昨年のN1チャンピオン岡翔太がクラス移籍後初の勝利をゲット。
N1は三重の前田利幸が全日本初優勝を飾った。
N2はヒート1で断トツのタイムを叩き出した西田裕一が今季初優勝をマーク。
地元中部勢が表彰台独占のSA1は浦上真が2WD総合ベストのタイムで優勝。
SA2は前戦北海道でまさかの転倒を喫した名手、北村和浩が今季初優勝。勝者のみに贈られる輪島塗のトロフィーを今年も手にした。
SC1は全日本では稀少車のセリカを駆った則信重雄が初優勝をもぎ取った。
SA2から今年、SC2へ移籍の大西康弘が待望のクラス初優勝を獲得。
D部門を圧倒的な速さで制した炭山裕矢(左)。しかしNEWマシン投入の谷田川(右)もポテンシャルの片鱗を見せた。
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