奴田原文雄ランサーエボX、ライバルを寄せ付けず唐津2連勝

レポート ラリー

2019年4月18日

九州唐津をホストタウンとして行われた全日本ラリー選手権第3戦は、最高峰JN1クラスで奴田原文雄/佐藤忠宜組(ADVAN-PIAAランサー)が今季初優勝。このクラスは開幕3戦すべてウィナーが異なるという“戦国時代”の様相を早くも呈し始めた。

開催日:2019年4月12~14日
開催場所: 佐賀県
主催:グラベルモータースポーツクラブ

 全日本ラリー選手権は4月12~14日に開催されたツール・ド・九州in唐津でシリーズ3戦めを迎えた。前戦新城ラリーから始まったターマック3連戦の2戦めに当たる。今年のツール・ド・九州は唐津競艇場のギャラリーSSも久々に復活し、多くの観客で賑わった。

 ラリーの内容もNEWステージが加わるなど、変化に富んだものとなり、2日間でトータル74.91km、14本のSSが用意された。ただし勝負どころとなったのは、やはりツール・ド・九州名物の「SANPOU」ステージ。土曜のLEG1は9.8kmを3本。日曜のLEG2ではほぼ同じ距離を逆走で2本を走るという設定。SS全体のほぼ7割を占めるこのステージでの速さが優勝への必須条件と言えた。

 最速のJN1クラスは、昨年、雪も降る悪天候の中、奴田原文雄が勝田範彦の13連覇を阻止する“金星”を上げた。しかし今年は快晴の中、スタート。新たな連勝記録への一歩を期すツール・ド・九州マイスター勝田がまず飛び出すかと思われたが、速さを見せたのは奴田原だった。LEG1の3本のSANPOUを完全制圧した奴田原/佐藤忠宜組は2位の勝田/石田裕一組(ラックSTI名古屋スバルDL WRX)に23.2秒の大差をつけて折り返すと、LEG2も速さをキープ。ウェットでリスキーなシチュエーションとなった最終のSS14SANPOU REVERSEもベストで上がるなど最後まで手綱を緩めず、昨年のツール・ド・九州以来、約1年ぶりとなる勝利を飾った。

 2位には雨のSS14で気迫の走りを見せた新井敏弘/田中直哉組(富士スバル AMS WRX STI)が勝田組を逆転して入賞。ターマック2連勝を狙った勝田組は3位でフィニッシュし、ターマック今季初参戦となった鎌田卓麻/鈴木裕組(itzz DL SYMS WRX STI)が4位に続いた。また前戦でもトップ2台のホットバトルが展開されたJN3クラスは、今回もその山本悠太/山本磨美組(sammy☆K-one☆ルブロスYH86)と山口清司/竹原静香組(jmsエナペタルADVAN久與86)の2台の86が最終SSまで息詰まるバトルを見せたが、雨のSANPOUで山口組を振り切った山本組が2連勝を果たした。

 昨年の新城を制するなど速さを見せて今年もチャンピオン候補と目される伊藤隆晃/大高徹也組(PD YH ノートeーPOWERニスモS)がNEWマシン、ノートe POWERニスモSを引っ提げて今季初参戦となったJN6クラスは、大倉聡/豊田耕司組(アイシンAW itz CVT)が今回も隙を見せず、開幕3連勝。注目の伊藤組はLEG2はセカンドベストを記録し、3位でフィニッシュした。2位には板倉麻美/蔭山恵組(DL WPMS Vitz CVT)が入るなど、今回も女性陣の健闘が光り、上位6台の中に女性ドライバーのラリーカーが3台も入る結果となっている。

 ヴィッツ勢はJN2眞貝知志/安藤裕一組(TGR Vitz GRMN Rally)、JN5天野智之/井上裕紀子組(豊田自動織機・DL・ヴィッツ)も大倉組とともに開幕3連勝を飾って、早くも独走態勢を築いている。JN4クラスでも高橋悟志/加藤昭文組(ミツバitzzDLマジカル冷機スイフト)がLEG2でエンジントラブルに見舞われながらも、LEG1のマージンで逃げ切り、2連勝を遂げた。

唐津競艇場のギャラリーSSを攻めるJN2クラス優勝の眞貝知志/安藤裕一組。トップラリースト達の走りをひと目見ようと、朝から多くの観客が訪れた。
JN3クラスの86対決は山本悠太/山本磨美組が前戦に続いて2連勝。
JN4クラスは高橋悟志/加藤昭文組が昨年の新城から数えればターマック3連勝。スイフトマイスターの地位を確立。
JN5クラスはLEG1を完全制圧した天野智之/井上裕紀子組が貫禄の開幕3連勝。
女性ドライバーの躍進が目立ったJN6クラスは大倉聡/豊田耕司組が頭ひとつ抜け出すスピードで3連勝。
奴田原文雄/佐藤忠宜組は前戦新城で見せた速さが決してフロックではなかったことを証明した。
レキが行われた金曜日には、このラリーの恒例行事となっているレスキュー講習会が全参加者を対象に行われた。
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