鎌田卓麻BRZが移籍2戦めで激戦区D部門を制す

レポート ダートトライアル

2019年4月11日

全日本ダートトライアル選手権第2戦が4月7日、桜満開の九州福岡、スピードパーク恋の浦で行われ、注目のD部門は、今季からNEWマシンを駆る鎌田卓麻が移籍2戦めでクラス初優勝を達成した。

2019年JAF全日本ダートトライアル選手権第2戦
RASCAL SPRING TRIAL IN KYUSHU

開催日:2019年4月6~7日
開催場所:スピードパーク恋の浦(福岡県福津市)
主催:RASCAL, FMSC, RC-OITA

 全日本ダートラ4月決戦の舞台はこの時期の開催がすっかり定着した、玄界灘を臨むシーサイドコース、スピードパーク恋の浦だ。例年より早い4月第1週の開催とあって、会場内の連絡通路沿いに立ち並ぶ桜並木は絶好の見頃を迎えることに。訪れた大勢のギャラリーも思わぬプレゼントに心を和ませていた。この時節は統計上、天候にも恵まれる確率が高いとあって、土曜から好天下で公開練習が進んだ。日曜は午後から雨という予報があったものの、結果的には2日間ともピーカンに恵まれ、激しく巻き起こる砂塵が好バトルを演出した。

 今年から新設のPN3クラスは今回も事実上、86/BRZのワンメイク状態に。開幕戦を制した熊久保信重は残念ながら欠場となったものの、そのチームメイトである竹本幸広(YHユークスオレンジ86)がヒート1のベストを奪う。竹本はヒート2でも、ハーフスピンを喫しながらも自らのベストを2秒以上も縮めるが、全日本ダートラに86を一番乗りで投入した中部の河田富美男(DLクスコITZZジール86)が、86マイスターとしての面目躍如の快走を見せて竹本を1秒上回り、悲願の全日本初優勝を達成した。初ウィナーラッシュは続くN1クラスにも移って、地元九州の濱口雅昭(ダンロップ 三和 匠インテグラ)がDC2インテグラで全日本初の1勝を獲得している。

 終始、ドライ路面が保たれた今回の一戦は、PN部門の3クラスは、PN1上野倫広(DL田中自LubBRGスイフト)、PN2細木智矢(MJTDLSWKWMスイフト)そして河田と2本目に大きくタイムを上げたドライバーが勝利を飾ったが、続くN1クラスからふたつのヒートのタイムが拮抗する状況に。ヒート1の各車の走行で、一部では地の硬い路面が出す箇所もあったが、砂が掃け切れない微妙な路面が容易なタイムアップを阻む形となり、N2矢本裕之(河童ZEALヤッコYHランサー)、SA2荒井信介(クスコADVANitzzランサー)、SC2梶岡悟(DL・レイズ・ingsランサー)と2リッター4WDターボ主流のクラスで開幕2連勝を飾った3人はいずれもヒート1のタイムで逃げ切ることになった。2WD対象のSA1、SC1の2クラスでも浦上真(DL☆VT☆MSPインテグラ)、山崎迅人(YHゲンシンMAXミラージュ)がともに1本めのタイムで優勝をさらった。

 鎌田卓麻(itzzオクヤマDL栗原BRZ)、炭山裕矢(ZEALbyTSDLミラージュ)という日本を代表するラリースト2人の参戦で例年以上に活気付いているD部門は、ヒート1から鎌田とディフェンディングチャンピオンの谷田川敏幸(ADVANトラストクスコWRX)の2台が異次元のバトルを展開した。その注目の1本めは鎌田が0.019秒差で谷田川を下して暫定のベスト、1分44秒801をマーク。3番手以下を1秒引き離した2台のマッチレースの行方に注目が集まったが、ヒート2はともにタイムダウン。結果、鎌田がNEWマシンのBRZに移籍2戦めで早くも初勝利をプレゼントすることになった。
 「不眠不休でこの日のためにマシンを仕上げてくれたチームのためにも、ぜひ勝ちたかったので最高の気分です。今年、全日本ラリーと掛け持ち参戦する自分にとって、この早い時期にまずダートラで優勝できたことは大きい」と鎌田。1週間後、同じ九州の地で開催される全日本ラリー第3戦に向けて弾みのつく勝利に、しっかりと手応えを掴んでいた。

満開の桜の下、多くのギャラリーが観戦に訪れ、グラベルバトルを堪能した。
PN1クラスは今季初参戦となった上野倫広が逆転で2年連続で恋の浦を制した。
PN2は細木智矢が絶対の自信を誇る恋の浦で2ヒートとも制して快勝。
PN3は86を知り尽くす河田富美男が待望の全日本初ウィンを獲得。
ヒート2で気迫漲る走りを見せた地元期待の若手、濱口雅昭がN1を制して全日本初優勝。
N2では矢本裕之(中)が今回もチャンピオン北條倫史(左)を抑えて開幕2連勝。地元の岸山信之(右)が3位に入った。
SA1は北陸富山から参戦の、全日本期待の若手、浦上真がヒート1のタイムで逃げ切った。
開幕戦を制して波に乗る荒井信介がSA2クラス開幕2連勝。チャンプ奪回に向け、好調な滑り出しを見せた。
SC1は全日本2連覇中の山崎迅人が2本ともベストでまとめて貫禄勝ち。
ヒート2はマシントラブルでスタートできなかった梶岡悟が1本めのタイムでSC2を制した。
注目があつまるD部門の第2ラウンドは鎌田卓麻が0.019秒の僅差で王者、谷田川敏幸を下した。
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