2019年の全日本ダートラはD部門がアツい!大荒れの開幕戦丸和は亀山晃が逃げ切り優勝

レポート ダートトライアル

2019年3月25日

全日本ダートトライアル選手権が丸和オートランド那須で開幕! クラス移行が相次いだ今シーズン。幅広い年代の巧者たちが集結したD部門では、手に汗握るバトルが展開された!

2019年JAF全日本ダートトライアル選手権第1戦「DIRT-TRIAL in NASU」
開催日:2019年3月16~17日
開催地:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:FSC、M.S.C.うめぐみ

 2019年のJAF全日本ダートトライアル選手権が3月16~17日の日程で開幕した。栃木県那須塩原市にある丸和オートランド那須に集結したダートトライアルマシンは153台。本番当日も気温が上がらず、タイヤ選択に悩まされたドライバーも見受けられた。

 コースはスタートしてすぐタイトな左コーナーとなりKYBコーナーをオーバルで2周した後に丸和の富士山へ向かう、いわゆる「丸和Aコース」レイアウトとなっていた。

 新しいクラスの創設や昨シーズンのチャンピオンのクラス移行など見どころの多い開幕戦だったが、注目は全く新しいマシンを持ち込んできた鎌田卓麻(itzzオクヤマDL栗原BRZ)と、久しぶりに全日本ダートラに本格復帰を果たした炭山裕矢(ZEAL by TS DLミラージュ)がエントリーしたDクラスだろう。

 ただし、谷田川敏幸(ADVANトラストクスコWRX)を始め、これまでも頂上バトルを戦い抜いてきた猛者が集うクラスだけに、ライバルたちも迎え撃つ準備は万全といったところだ。

 決勝は第1ヒート、炭山が1分40秒台を切りいきなり37秒台に飛び込むと、続く鎌田、亀山晃(ベストDLランサーDS1)と立て続けにベストタイムを更新。亀山は唯一の36秒台に入れてトップで折り返した。

 第2ヒートに入って路面状況が悪化したためか、なかなかベストタイム更新のアナウンスが場内に響かない。第1ヒート3番手の炭山は第1ヒートのタイムを削ったが亀山には届かず。鎌田はエンジントラブルでパワーを失い、タイムアップは叶わなかった。

 また、亀山も2本とも36秒台にまとめたものの自己ベストは更新できない。不安な面持ちのまま後続のフィニッシュを待つが、最終ゼッケンの谷田川は、第1ヒートのタイムを1秒近く縮めてみせたが、何と3番手に留まった。

 2位炭山裕矢からコンマ4秒差で逃げ切った亀山は「昨シーズンを1年間戦って、クルマがだいぶ良くなりました。ギヤ比の変更や足まわりを煮詰めたことでトラクションが良くなって、乗りやすくなりました」と語る。

 ショートホイールベース化したランサー・エボⅩに手応えを感じていた亀山が、ニューマシンで初勝利。自身としては2年ぶりの優勝を手にした。

 PN1は、工藤清美(工藤ホンダDLワコーズフィット)がLSDのセッティング変更が功を奏し、このクラスでは少数派となるGK5フィットに初勝利をもたらした。

 PN2は、ヴィッツGRMNを持ち込んできた川島秀樹(DL☆テイン☆GRヴィッツSC)に視線が集まった。第2ヒートはベストタイムを更新して帰って来た川島だが、昨シーズンは、チャンピオンにあと一歩届かなかった宝田ケンシロー(YH KYBオクヤマスイフト)が、2本ともベストを並べて完全勝利をモノにした。

 PN3は、後輪駆動のみで争われることになった話題の新設クラス。参戦体制も変わり、公開練習から好調だった竹本幸広(YHユークスオレンジ86)が第1ヒートはトップだったが、第2ヒートではスピンで下位に沈む。代わってトップに立ったのは、元D1GPドライバーでチームメイトの熊久保信重(YHユークスオレンジ86)。竹本のサポート役としてPN部門に戻ってきたが、全日本ダートラ参戦4年目にして、嬉しい初優勝を獲得した。

 参加5台となってしまったN1は、古沢和夫(YHターマックテインミラージュ)が、後続に3秒近い差を付けて圧勝。N2は、第1ヒートゴール手前のミスでタイムが伸びなかった矢本裕之(河童ZEALヤッコYHランサー)が逆転。久々の優勝を獲得した。

 SA1は、シードゼッケンを持つ実力者がコンマ差の争いを展開したが、「ミスが多かった」と語るものの、昨シーズンのチャンピオン小山健一(A DLベリティーMSシビック)が勝ち切った。SA2は、昨シーズン勝ちに恵まれなかった荒井信介(クスコADVANitzzランサ)が逆転で幸先のいい勝利を手にしている。

 SC1は第1ヒートで山崎迅人(YHゲンシンMAXミラージュ)がトップタイムをマークしたが、第2ヒートは駆動系トラブルでスピン。その間隙をついた坂田一也(itzz DLグローバルアクセラ)が逆転優勝を飾った。SC2は第2ヒートでこのクラス唯一の1分39秒台で走り切った梶岡 悟(DL・レイズ・ingsランサー)が優勝している。

昨年からショートホイールベース化したランサー・エボⅩでD部門に挑んでいるベテラン亀山晃(左)がついに優勝! 第1ヒートで逃げ切り、3位の谷田川敏幸(右)も祝福。
BRZのDマシンをデビューさせた鎌田卓麻(左・4位)と炭山義昭のミラージュでダブルエントリーした炭山裕矢(右・2位)。ともに開幕戦勝利を目論んでいただけに渋い表情。
谷田川敏幸のD車両WRX STIは、昨年までのアドバンカラーからトラストカラーに戻った。「まるでR5」と語る鎌田のD車両BRZだが、第2ヒートはエンジントラブルで沈んだ。
PN3上位3名。若手期待の竹本幸広を擁するチームオレンジ代表の熊久保信重(中央)が全日本ダートラ初勝利! 2位は新人・蒔田亮子の教育係として久々の後輪駆動ドライブとなった佐藤秀昭(左)。今季からBRZに乗り換えたばかりの岡翔太がいきなり3位表彰台に。
GK5フィットに乗り換えて、ジワジワと成績を上げていた工藤清美がついにPN1で初勝利! 4位に入った原靖彦と共に、ダートラにおけるGKフィットの高い可能性を示した。
公開練習から勢いを見せていたPN2宝田ケンシロー(左)が完全勝利。父の宝田芳浩氏(中央)や奥山正氏(右)らと喜びを分かち合う。2位はヴィッツGRMNの川島秀樹。
クラス成立ギリギリの台数となったN1。完成したばかりの愛車で第1ヒートから快走した古沢和夫が、第2ヒートでは後続の北原栄一に約3秒差を付けてパーフェクトウィン!
N2の第1ヒートは信田政晴が暫定ベストで折り返したが、仕切り直しの第2ヒートでは矢本裕之がベストタイム更新。残るシード勢は逆転できず、矢本が2016年今庄以来の優勝。
不調を押しての参戦となったSA1小山健一(左)。地元関東、そしてディフェンディングチャンピオンの意地を見せ、因縁のライバル稲葉幸嗣(右)を僅差で下して優勝した。
昨年の序盤は連勝したものの、それ以降で勝ちに恵まれなかったSA2荒井信介。第2ヒートの滑る路面に苦労しながら北村和浩をコンマ4秒差で下し、久々の勝利に笑顔を見せた。
第2ヒートは奥村直樹がスピン、山崎迅人が駆動系トラブルでストップする波乱含みのSC1。マツダスピードアクセラを駆る坂田一也が昨年のスナガワ以来の自身4勝目を挙げた。
第1ヒートからブッちぎりの暫定ベストを叩き出していたSC2梶岡悟が、第2ヒートもクラス唯一の1分39秒台に入れて完全勝利。2位はGP7インプレッサに乗り換えた亀田幸弘。
昨年の開幕戦と同じレイアウトが採用された今回の決勝コース。第1ヒートこそ日差しに恵まれたが、第2ヒートは肌寒い曇り空で路面もあまり乾かず、タイヤ選択を悩ませた。
協賛各社のグッズが当たる恒例の抽選会では、学生時代以来のダート走行となった、今回のマーシャルカードライバー西野洋平や、大会レースクイーンの森下まや氏が登場。
1996年全日本ダートラAⅢチャンピオン三枝光博(中央)の愛息たちが全日本デビュー。23歳で兄の三枝聖博(右)はN1、21歳で弟の三枝聖弥(左)はSA1に、それぞれDC2インテグラで参戦。共にほろ苦いデビュー戦となったが、シリーズ後半の巻き返しを誓う。
往年の改造車ドライバー・国政久郎氏のジュニア、國政九磨が全日本ダートラに初挑戦! 今回はD部門を戦う関東の梅津立の車両をダブルエントリーで参戦。第2ヒートで好走し、デビュー戦で5位入賞を果たした。今年は関東開催の全日本に参戦予定とのこと。
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