オートテスト

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2018-12-13
オートテスト神奈川県下初開催! 厳寒の大磯で選ばれし精鋭が技術を競う

 

運転操作の正確さを競うモータースポーツ「オートテスト」。今回神奈川では初めて開催されることになり、エントリー66名が思い思いのアプローチでJAFの新種競技を堪能した。

 

第1回 2018年オートテスト in 大磯
開催日:2018年12月9日
開催地:大磯プリンスホテル第一駐車場(神奈川県大磯町)
主催:KHMSC(カナハマモータースポーツクラブ)

 

 12月9日、神奈川県大磯町の大磯プリンスホテル第一駐車場で、神奈川県では初となるJAF公認クローズド競技のオートテストが開催された。

 2015年から全国展開が始まったこの新しいモータースポーツは、ヘルメットもグローブも、競技ライセンスもいらない気軽さから、これまで多くの参加者に愛好されている。

 関東地区では定期的に開催されているオートテストもあまり多くないことから、今大会が開催されるウワサを聞き付けた愛好者たちから100名を超える申込みがあったという。今回は厳正な抽選の上、エントリー66名が新たなJAF公認競技を体感することになった。

 

 会場はかつてジムカーナ競技会でも利用されたことがある大磯プリンスホテル第一駐車場。西湘バイパスや湘南の海岸に隣接している、晴天なら絶好のロケーションだが、当日は曇り空に見舞われ、冷たい潮風が骨身に染みる天候での開催となった。

 会場に付帯する施設には参加者が利用できるロビーが設けられ、温かい飲料や食事ができるサービスを用意。モータースポーツをレジャーとして楽しむ理想的な環境が整備されていた。今大会を組織したカナハマモータースポーツクラブの品田基宏氏はこう語る。

 

「実は、オートテストが始まった3年前から開催を検討していたんです。クラブの母体である神奈川ハマタイヤや神奈川トヨタでは、袖ヶ浦フォレストスピードウェイで、お客様を対象とした体感試乗会を毎年数回開催しているんです。ですが、オートテストでは少し方向性を変えて、エンドユーザーの方々が実際に走っていただく機会をご用意することで、消耗品の交換やアフターパーツ装着への興味を持っていただけるのではないかなと考えておりました。走ることもそうですが、クルマはドレスアップしたりすることも楽しいじゃないですか。今回はそういったカスタマイズの実例となるデモカーなども展示しておりますので、色々な楽しみ方を味わっていただけるといいなと考えております」。

 

 今大会は、ユーザーが愛車を持ち込んで参戦する形式で行われた。軽自動車から輸入車、コンパクトカーからセダンやワゴン、SUVやミニバンなど車種バリエーションは豊富で、ノーマル車高のユーザーカーが、フロントをボトムさせながら次々とコーナリングしていく姿は、クルマ好きならずとも一見の価値があるものだった。

 大会のインストラクターには全日本ジムカーナPN3チャンピオンのユウ選手を始め、シュン選手や端山裕司選手、高橋陽介選手ら全日本選手に加え、特別ゲストとしてレーシングドライバー菊地靖選手も登場する豪華な布陣。彼らが4班に分かれて参加者を引率する、実地アドバイス付き慣熟歩行も行われ、参加者と活発な意見交換が行われていた。

 

 走行は、インストラクターによる競技車両による見本走行を見学した後に、練習となる慣熟走行が1回、成績に影響する競技走行は2ヒートで、合計3回の走行が用意された。

 コースレイアウトは、縦長の敷地に4本パイロンの「スラローム」と、2本+3本の「8の字ターン」、間隔を狭めた3本スラロームを配置。その後は2本パイロンの「ラインまたぎ」と45度後退で入庫する「ガレージ」を経て、90度前進でフィニッシュする構成。

 最初のスラロームでは最終パイロンだけ間隔を狭めて、速度の抑制と次セクションへの頭の切り替えを促したり、ラインまたぎからガレージへの入庫は、定番の「90度」ではなく角度を緩くしたりと、コース制作者の意図を感じる練られたレイアウトとなっていた。

 

「JAFのガイドラインにある推奨値に従った速度や走行タイムになるようにレイアウトしました。後退は最低1箇所設ければいいという規則なのですが、今回はどうしても3本走行を体験していただきたかったので、タイムスケジュールとの兼ね合いで1箇所にしました。せっかくの機会なので、できるだけミスコースしてほしくないのもテーマです。

 同じパイロンを2度、3度と使わないようにとか、全体を4つのセクションに分けて、それぞれ配置するパイロンの色を変えたりとか。車庫入れも、運転に不慣れな女性や大型のクルマにお乗りの方も考慮して、あまりキツくせずに45度くらいならスルッと入れるかなと。オートテストは、やっぱり後退の車庫入れがキモになると思うんです。それをあえて易しくすることで、小型車が有利にならないようにできるかな、とも考えましたね」

 と語るのは、今大会の運営に協力したチーム・ニュートンランドの佐藤広伯氏だ。

 

 今大会では、走行を重ねるたびに習熟が増して、ペナルティが減少していく傾向にあったが、40秒を切るコースのため同点で並ぶ選手が続出。今回はクラス分けを行っていないこともあり、出走56台の全員が最小減点を目指す激しいバトルでもあった。

 第1ヒートでは、WRX STIを駆る最終走者の下井田溪選手が奇跡の逆転により暫定トップに躍り出たが、第2ヒートでは、第1ヒート2番手だったロードスターの嶋田秀憲選手が逆転して暫定トップに立つ。再び最終走者の下井田選手の走りに注目が集まったが、下井田選手はコース途中で何とペナルティを喫してしまう。

 

 この結果、嶋田選手が優勝。2位はGA2シティの山本由一選手、3位は下井田選手。4位はAW11 MR2の川島幸二選手、5位はNDロードスターの女性ドライバー川上晴海選手。6位にはアクアで親子ダブルエントリーした柳田洋平選手が入賞し、それぞれ特製トロフィーと記念品が贈呈された。また、特別賞も用意されジャンケン大会も盛り上がった。

 今大会には運転に対する意識の高い参加者も多くミスコースも少なかった。また、モータースポーツとして捉えても、白熱する逆転劇が随所で展開された見応えのあるイベントとなった。今後も継続開催を検討しているそうなので、開催情報には要注目だ。

 

66名の当選者がエントリーした今大会。インストラクターの競技車両を背景にパチリ。

 

会場は大磯ロングビーチを望める駐車場。数々のカーイベントが開催されてきた名所だ。

 

全日本ジムカーナを戦う4名のインストラクターの他に特別ゲストの菊地靖選手が登場!

 

全日本チャンピオンのユウ選手らインストラクター勢が引率する慣熟歩行が行われた。

 

45度後退のガレージが今大会のキモ。最終走者で善戦した下井田溪選手は惜敗の3位。

 

温かい飲み物などのケータリングを完備した待合ロビー。新たな仲間ができる場にも。

 

第1回2018年オートテストin大磯上位入賞者の皆さん。右端はKHMSCの品田基宏氏。

 

 ここからは、オートテストに参加された方々の声をピックアップしていこう。まず最初は、第二ヒートで逆転優勝した、NB6ロードスターを駆る嶋田秀憲選手のお話から。

 

優勝した嶋田秀憲さんと同乗者の奥様・嶋田みさきさん[マツダ NB6ロードスター]

 

「20年くらい前にマーチのスーパーターボでジムカーナをやっていたこともあって、最近はミニサーキットを走ったりしてますが、オートテストは初めてでした。公認競技はやはり敷居が高いので、装備もいらないこの競技は楽しいですね。あとはバックギヤ。競技だと失敗したときにしか使いませんけど(笑)、素早く正確にバックすることを求められる状況って、やっぱり焦っちゃいますよね。3本目が一番タイムが良かったのは、だんだんバックに慣れていったからですね。また、オートテストだと一緒に来てくれる奥様も同乗できたりするので、一緒にクルマを楽しめるっていうところも素敵ですよね」

 

川上晴海選手[マツダ ロードスター]

 

「今年からジムカーナを始めたんです。まだ練習会とかそういう段階ですけど。オートテストは2年前にやっていたイオンモールでの大会をツーリング中に偶然見かけて、どうしても出たかったんです。それ以降なかなか関東での開催に出会えなくて、今回はいの一番で電話してやっと参加できました。走ることが好きなのと、子供も大きくなったので、ボケ防止のために(笑)MT車を購入したんです。フルブレーキなどの操作はこういう状況じゃないと試せませんよね。女性も少ない世界なので、これまで勇気がなくてなかなか踏み込めませんでしたけど、いざ飛び込んでみたら、今ではすっかりハマってます」

 

山崎泰男選手[スズキ ワゴンRスティングレー]

 

「いやー、このスラロームは結構スピードが載るじゃない。目線だけ先に行っちゃってて、最後だけ間隔が狭かったから、操作が追いつかなくてオーバーランしちゃったよ。まいったなぁ~。頭では分かってるんだけど、操作が追いつかないのを実感したよ。オートテストは面白いよ。もう今年だけで3回目。こういう日常ではできない、神経を擦り減らす走りをすることは、ワシら年寄りにとっては、いざ何かあったときに慌てずに対処できるようになる訓練だと思ってる。JAFのセーフティトレーニングにも出たことがあるんだけど、あの”飛び出し”って避けきれなくてな。寄る年波を実感してるんだ。このコースでも、しっかり速度を落として曲がらないと、って分かってるんだけどさ。オートテストは自分の弱点を見つけられる。だから、もっと色んな場所でやんなきゃダメだよ、JAFさん」

 

ダブルエントリーの鈴木恵選手と鈴木涼子選手[トヨタ ヴィッツ]

 

「オートテストはもう6回ぐらい出てます。JAFメイトを見て知ったんですけど、クルマの運転が大好きなのと、面白そうだなと思って出てみたんです。最初は参加者も男性の方ばかりだったんですが、凄く楽しくて(笑)。決められたコースの中に、バックとか色々な要素が入ってるじゃないですか。正確さとか丁寧な操作の必要性を痛感できるので、ホント面白いですよ(鈴木恵選手・母)。オートテストは2回目です。母が応募してくれて、それに付いて来てる感じです。クルマのことは詳しくないんですけど、結構楽しいですよ。スピード出すのが好きだったりするんで(笑)。このオートテストは、狭いコースをすり抜けて行く”スリル”みたいなのも味わえていいですよね。面白いです(涼子選手・娘)」

 

志澤 忍選手と同乗者の奥様・志澤則子さん[トヨタ カローラ・レビン]

 

「このハチロクは、昭和60年に新車で買ってワンオーナーでずっと乗ってます。イントラのアルミも当時モノそのままだよ。さすがにサビだらけになって、昨年ボディをレストアして、エンジンもオーバーホールしてもらったんだよね。今の86に乗り換えようかとも悩んだけど、同じお金でレストアしちゃった(笑)。オートテストは知ってたんだけど、近くでやってなくて、今回初めて出ました。富士スピードウェイを体験走行したりしてるんだけど、こういう走りはやったことがないので試しに出てみました。サーキットと違って、ハンドルを切るのが大変で(笑)。今までやったことないくらいにハンドルを回したから、慣熟走行で走っててビックリしたよ。ギヤチェンジする余裕もなかったもんね」

 

蒲池光久さん[ホンダ N-BOX]

 

 そして最後は、N-BOXにゼッケン1番を貼り付けて出走した蒲池光久選手。実は蒲池選手、かつて全日本ラリーにKK4ヴィヴィオやCC4Aミラージュで参戦していたドライバーで、2003年の全日本ラリー第7戦で引退して以来のスポーツ走行となった。

 

「今回は偶然何かでこの大会の案内を見つけて、面白そうじゃんって思って申し込んでみたんだ。モータースポーツの経歴を書く欄がないまま受理されちゃったから、ちょっと恐縮してるんだけどね(笑)。でも、クルマもN-BOXだから『速さがどうこう』ってタイプじゃないし、いざ走ってみたら、いやー、コレ楽しいね(笑)。でも、背の高いクルマだから、転倒しないように前後のタイヤ空気圧を変えて、リアを滑り出しやすいようにはしてきた。あと、現役時代も縁石ギリギリをかすめる走りだったから、今回はパイロンタッチにも気付かなったし、オートマチックだから、車庫で後退から前進に切り替えるのに凄く時間が掛かっちゃった(笑)。その辺りが反省材料かな。オートテストって、ジムカーナとフィギアを混ぜたような競技だけど、もう少しフィギアの要素を多くしたら、日常の運転に役立つトレーニングになるんじゃないかな。街乗りのクルマで気軽に参加できるし、自分も含めて、今日の参加者の皆さんはみんな笑顔だよね。家族で楽しめるし、今叫ばれているクルマ離れを防げたり、免許人口を増やせる可能性を感じますよね。オートテストの雰囲気は、まさに”クルマで運動会”っていう表現がピッタリ。自分としても、まだまだ走れるじゃん、って思えたしね(笑)。今日はホント、面白かったよ」

 

大会MCで盛り上げてくれたのは神奈川と言えばこの人「ももたろう」こと高橋英樹氏。

 

立入禁止区域や車両によるバリケードを設けるなど安全への配慮を徹底した会場だった。