最終戦新城は、新井敏弘/田中直哉組WRXが今季6勝めを飾って有終の美

レポート ラリー

2018年11月8日

今年の全日本ラリー最終戦、新城ラリーは11月2~4日、愛知県で54,000人の観客を集めて開催され、すでにシリーズチャンピオン確定済みの新井敏弘/田中直哉組WRXが前戦に続いてターマック2連勝を飾り、最高の形でシリーズを締め括った。

2018年JAF全日本ラリー選手権最終戦
新城ラリー

開催日:2018年11月2~4日
開催地:愛知県
主催:MASC

 国内最大のスケールを持つターマックラリーとして、また多くの観客動員を誇る人気の全日本イベントとして知られる新城ラリーが、今年も11月2~4日の3日間、開催された。今年もシリーズを締め括る最終戦に位置づけられた今回の新城ラリーは、総距離385.75kmの中に、15本のSS、計109.21kmを配するという設定。SS総距離が100kmを超えたため、ポイントが通常の1.2倍になる形だ。チャンピオン争いが持ち込まれたJN4、JN2の2クラスの勝負に、この「1.2」という数字が、どういう綾を与えることになるかという意味でも、注目の一戦となった。

 SSの構成は、LEG1では、「ほうらいせん」、超高速の「鬼久保」というお馴染みのステージに、今年から新たに「くらがり渓谷」が加わった。このくらがりステージは12.54kmとLEG1最大の勝負どころとなる。LEG2は、このラリーの代名詞とも言える「雁峰」と、雁峰同様、10kmを超えるロングステージ「長篠設楽原」が中心で、「鬼久保」は前日から3km短縮された3.56kmのショートステージとして設定された。

 すでに新井敏弘/田中直哉組(富士スバルAMS WRX STI)がタイトルを決めているJN6クラスは、前戦、怪我のため欠場した勝田範彦/石田裕一組(ラックSTI名古屋スバルDL WRX)が復帰、フルメンバーが揃った。しかし前戦を制した新井組は今回も絶好調。SS1でスーパーベストを奪うと、続く、くらがり渓谷でもベストと、ラリー序盤に主導権を握ることに成功する。LEG2では勝田組が得意とする雁峰を2本ともベストで上がり、DAYベストを奪う走りで新井組に迫ったが、LEG1で新井組が築いた圧倒的なリードを突き崩すには至らず、新井組が14秒の大差で逃げ切った。

 チャンピオン争いが持ち込まれたJN4クラスは、シリーズポイント3位につけてタイトル獲得の権利を残す山本悠太/小林剛組(Sammy☆K-one☆ルブロスYH86)が首位でLEG1を折り返すが、ツイスティなステージではZC33Sスイフト勢も速さを見せ、その一台、高橋悟志/箕作裕子組(ミツバitzzDLマジカル冷機スイフト)が10.5秒差で2位につける。LEG2最初のSS、雁峰北では山本組が高橋組を12秒引き離すベストをマーク。逃げ切り態勢に入ったかと思われたが、高橋組はLEG2後半のステージに入ると猛プッシュ。2度目の雁峰北で山本組を10秒差に従えるセカンドベストを奪うと、続くSS14長篠設楽原で逆転に成功。最終のSS15では山本組がベストを奪うも、0.4秒届かず。高橋組は2015年第2戦久万高原ラリー以来となる勝利をあげた。

 この結果、チャンピオンは、ランキング2位につけていた関根正人/草加浩平組(KYB DUNLOP スイフト)が、今回は4位に留まったものの、僅か0.7ポイント差で山本組を抑えて栄冠を獲得。関根は初の全日本チャンピオンに、日本を代表するコ・ドライバーである草加浩平は実に27年ぶりに全日本王座に返り咲いた。また同じくタイトルレースが持ち込まれたJN2クラスは、今季はターマックに専念する鈴木尚/鈴木裕組(スマッシュDL itzzコマツBRZ)が今季2勝目をマーク。注目の王座は、TGRラリーチャレンジからステップアップした長崎雅志/秋田典昭組(名古屋トヨペット NAVUL 86)が全日本参戦初年度でチャンピオン獲得の快挙を達成した。

 JN5クラスでは川名賢/保井隆宏組(ADVAN CUSCO DS3 R3MAX)が今回も2日間ともベストで上がるフルポイントをマークして、終盤3戦をすべて制する強さを見せ付けた。JN3クラスでは絶対王者、天野智之/井上裕紀子組(豊田自動織機・DL・ヴィッツ)が今回も快勝。JN1クラスでは前戦、2位に甘んじた伊藤隆晃/大高徹也組(プレイドライブYHノートNISMO S)が、今季チャンピオン争いを展開した古川寛スイフト、小川剛フィットのトップ2を抑えて今季初優勝を飾った。

第8戦ラリー北海道から3連勝と硬軟いずれも速さを見せ付けたJN5クラスの川名賢/保井隆宏組シトロエンDS3。
JN4クラスは今年からZC33Sスイフトにチェンジした高橋悟志/箕作裕子組が3年振りの優勝を飾った。
JN4クラスでチャンピオンを確定した関根正人/草加浩平組。関根は初の全日本タイトルだ。
最も早く今年のタイトルを決めた天野智之/井上裕紀子組は今回も快勝。
JN2は鈴木尚/鈴木裕組が第3戦以来となる今季2勝目をあげた。
JN2のタイトルは今年から全日本に参戦する長崎雅志/秋田典昭組のもとへ。
JN1は伊藤隆晃/大高徹也組がノートに全日本2勝目をプレゼントした。
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