装い新たに鈴鹿で開催された「WTCR」は3レースともウィナーが異なる大接戦に!
2018年11月1日
かつて鈴鹿でもFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)として開催されたシリーズが、世界各国のTCR車両がしのぎを削る「WTCR」に生まれ変わって、鈴鹿で初開催された!
2018 FIA世界ツーリングカーカップ日本ラウンド(WTCR)
※第17回JAF鈴鹿グランプリと同日開催
開催日:2018年10月26~28日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、(株)モビリティランド
2017年まで開催されていたFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)が、使用する車両をTCR規定車両に変更して、2018年から「WTCR」と呼ばれる「FIA世界ツーリングカーカップ」へとリニューアルされている。
そのシリーズ第9戦が、10月26~28日に鈴鹿サーキットで開催されたJAF全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦・第17回JAF鈴鹿グランプリと同日開催された。
この日本ラウンドには、7メーカー25台の車両が参加して、土曜のレース1ではK.チェッコン(アルファロメオ・ジュリエッタTCR)、日曜のレース2ではR.ハフ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)、メインとなるレース3ではポイントリーダーのG.タルキー二(ヒュンダイi30N TCR)が優勝して、3レースともウィナーが異なる接戦となった。
激しいぶつかり合いの応酬で”喧嘩レース”と呼ばれているスプリントレースのWTCR。かつてのWTCCでは東コースで行われたが、今回は鈴鹿フルコースを使用した。
レース1は土曜の午後にスタート。ポールポジションのA.コンテ(プジョー308 TCR)は、2周目の130Rの先でアウトに膨らみ、2番手スタートのチェッコンが首位に立ってその後のレースをリードした。
インカットを規制するタイヤバリアの転倒やコースオフした車両の回収のために2回のセーフティカー導入があったものの、チェッコンは最後まで後続を抑え切り、自身初、そしてアルファロメオの初優勝を獲得した。
なお、昨年9月のテストでクラッシュを喫してレースから遠ざかっていた元F1ドライバーであるT.モンテイロ(ホンダ・シビックTCR)がこのレースから復帰。無事15位で完走を果たしている。
日曜の午前に行われたレース2は、レース1のトップ10が逆になるリバースグリッドで争われる。ポールスタートはP.オリオラ(クプラTCR)だったが、2番グリッドのベテラン、ハフが2コーナーまでにオリオラからトップを奪うと、こちらも最後までトップを守って優勝を遂げた。レース1よりも随所でサイド・バイ・サイド、テール・トゥ・ノーズ、そして3ワイドのバトルが演じられるレース展開だった。
レース2終了後に恒例の「リペアタイム」が実施され、レース3のスタート準備が整った。ポールポジションは、この週末を通して速さを見せ続けたチェッコンだ。
元F1ドライバーである大ベテラン、タルキー二は2番手スタートだったが、1コーナーまでにチェッコンからトップを奪った。チェッコンは4番手まで順位を落としてしまったが2番手まで順位を回復。しかし、レース中盤にはチェッコンに対して、スタート位置の違反によりレース結果に5秒加算するペナルティが発表された。
このときタルキー二は、実力派の若手であるチェッコンを先行させて、チェッコンの5秒以内の2位でゴールする作戦へと変更。レースはチェッコンがトップチェッカーを受けたものの、5秒のペナルティが加算されたことで、タルキーニが今季5勝目を獲得した。
レース3では、シリーズを争うY.ミュラー(ヒュンダイi30N TCR)が下位に沈んだこともあり、タルキーニはドライバーズポイントのトップを守って最終戦マカオへ向かうことになった。このレース3でも、中盤から終盤にかけて数多くの接触やコースオフがあるなど、激しいバトルが各所で演じられ、このシリーズらしい戦いはファンを喜ばせた。
なお、今大会の土曜には、TCR車両を使用した「TCRジャパンシリーズ」が2019年から日本でスタートすることが発表された。TCR車両はスーパー耐久でクラスが設定されているが、国内でのスプリントレースは初。土曜には「サタデーシリーズ」、日曜は「サンデーシリーズ」と、別のレースが行われるフォーマットで全6戦が計画されており、うち5戦はスーパーフォーミュラとの併催となることが発表された。