レース

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2018-10-19
ル・マン24時間制覇のトヨタが凱旋!ホームの富士でワン・ツーフィニッシュ

 

2018 FIA World Endurance Championship 6 Hours of FUJI
2018-2019 FIA世界耐久選手権第4戦 富士6時間耐久レース
開催日:2018年10月12~14日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ(株)、FISCO-C

 

悲願のル・マン初制覇を達成したトヨタ8号車。対して今季は未勝利の7号車。凱旋レースの富士では7号車が圧倒的な速さを披露。思わぬ不運を物ともせず勝利を引き寄せた。

 

 10月12~14日にFIA世界耐久選手権(WEC)スーパーシーズン第4戦「富士6時間」が、富士スピードウェイにおいて開催され、6月のル・マン24時間を初制覇したTOYOTA GAZOO Racingがホームコースに凱旋した。

 

 決勝レースでは、7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組が駆る7号車(TOYOTA TS050 Hybrid)が序盤にトップを奪って今季初優勝。2位にはセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組が駆る8号車(TOYOTA TS050 Hybrid)が入り、母国での大会でワン・ツーフィニッシュを飾った。

 

 今シーズンは変則的に、2018~2019年の間に全8戦で開催中のWECスーパーシーズン。第3戦のシルバーストン6時間では、トヨタがワン・ツーフィニッシュを遂げながらも車両規定違反のために失格。トヨタは気持ちを入れ替えてのレースとなった。

 

 14日の決勝レースは、JAF全日本フォーミュラ3選手権最終戦が終わった後、霧雨が上がったウェットコンディションでセーフティカー先導の元、スタートとなった。

 

 LMP1クラスでは、ポールポジション獲得となった8号車が逃げる展開。対する7号車は土曜の予選で小林がトップタイムをマークしていたものの、ロペスによるピッドロードの速度違反があり、8番グリッドからのスタートとなっていた。

 

 第一スティントを任された小林は、セーフティカー明けのリスタートでどんどん順位を上げて2番手に上がってみせた。しかし、コース上には水が少なくなっていったため、7号車の小林が早々にピットイン。スリックタイヤに交換する展開となる。

 

 その直後にアクシデントが起きてセーフティカーが導入されると、トップの8号車は浅溝のレインタイヤに交換したが、さらに路面状態は向上し、もう一度スリックタイヤに交換するためにピットイン。この間に7号車がトップに浮上することになった。

 

 その後のレースは7号車がほとんどをリードし、コンウェイと小林は丸2年ぶりの優勝を遂げた。11秒差の2位には8号車が入り、ポイントリーダーを守った。

 

 LMP1クラス3位にはアンドレ・ロッテラーを擁するレベリオン・レーシングが入賞。ジェンソン・バトンがドライブしたSMPレーシングの11号車はマシントラブルもあり4位に終わっている。

 

 LMP2クラスはジャッキー・チェン・DCレーシングの37号車が優勝し、同チーム38号車が2位。ポイントリーダーのシグナテック・アルピーヌ・マットムートは3位でフィニッシュして、わずか2点差以内でシリーズを争う3台が表彰台を占める結果となった。

 

 井原慶子がスポット参戦した50号車、ラルブル・コンペティションは5位だった。

 

 LM GTE Proクラスは、事前に実施された性能調整がBMWとアストンマーチンに有利に働く形となった。序盤はBMWとアストンマーチンが激しいトップ争いを繰り広げ、ここにフェラーリが絡むも、結果的にはポルシェの92号車が逆転優勝。BMWの82号車、フォードの67号車が表彰台を獲得した。

 

 LM GTE Amクラスは、デンプシー・プロトン・レーシングの88号車に乗車してスポット参戦した57歳の星野敏が予選でトップタイムをマークする大活躍を見せた。2位表彰台を獲得したが、レース後に最低給油時間の違反のためにタイムを加算され5位にとどまった。

 

 優勝はチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェだった。クリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリで参戦した澤圭太は7位、自らMRレーシングを立ち上げて70号車フェラーリをドライブした石川資章は、開始約30分でタイヤバーストからマシンを大きく破損。リタイアとなってしまった。

 

 LMP2で50号車を任されて、今大会で唯一の女性ドライバーとなった井原は、2014年の富士ラウンドで女性初の表彰台を獲得して以来のWEC参戦。予選も担当して、決勝では約2時間のスティントを連続乗車するハードな復帰戦となった。

 

 自身の決勝スティントを終えた井原は以下のように語った。

 

「今回の”古巣”からの参戦は、チームの方からシーズン途中でお話をいただき、本当は後半全部、という話でしたが、富士にスポット参戦する形でお受けしました。決勝の朝のミーティングでは、当たり前のように2スティント乗車を告知されました(笑)。

 

 事前にかなりトレーニングをしてきましたが、レーシングカーに乗るとなると足りない場合もあるので、そこが心配ではありました。でも、7番手で乗り込んで、結果的に5番手で渡せたので仕事はできたかなと思います。

 

 いやー、耐久の頂点である世界選手権という舞台の凄さを改めて実感させられました。LMPは乗れる人も数十人と限られています。他の皆さんはレギュラーで乗っていますし、LMPの車両自体がもの凄く進化していて、速度も随分上がってましたから、最高に楽しい舞台でしたね。

 

 2014年の富士から比べると、今回乗車したマシンは、レーシングカーとして格段に磨きが掛かった印象です。エンジンもキレッキレですし、空力や電子デバイスも大幅に進化していて、それらが相まって、キレッキレの走りができるようになっていました。

 

 ということは、もの凄く体力が必要なんですよ。ピットを見回しても、若いドライバーたちが、背筋とかにもの凄い筋力を付けているわけで(笑)。この若者たちを相手にどうやって戦えばいいんだろう? というのは、正直心配でしたね。

 

 近年のLMP2は、随所で僅差のバトルが続いてるじゃないですか。ホントに体力や気力が強いドライバーじゃないと、このマシンは振り回せないなと痛感しました。

 

 これまで女性ドライバーの後進を育成してきましたが、その女性たちが育ってきているので、自分の中では、その人たちにバトンタッチする”区切り”のレースにしたいなと考えていました。これまで私は日本の方々に20年間、沢山応援していただいたので、自分の走りを日本で見ていただくことで、お礼をしたかったんですね。

 

 人生100年時代なので、これでドライバーを引退するとは言いません(笑)。今回の参戦を、次世代に繋げる活動にシフトするための”区切り”にしたいと考えています」。

 

 決勝のうち約2時間という長いスティントだったが、勝負できる一定のペースをキープして走り続けるだけでも、かなりの体力を消耗するものだ。順位を2つ上げて、無事にマシンをバトンタッチした井原は、ピットの片隅で安堵の表情を見せた。

 

トヨタ8号車はポールシッター。7号車は8番グリッドからの追い上げとなった。

 

予選での不運を物ともしない速さを見せて、トヨタ7号車が今季初勝利を挙げた。

 

LMP2クラス優勝は37号車。JAF藤井一裕副会長が賞典プレゼンターを務めた。

 

熱きバトルを繰り広げたLMGTE-Proクラス優勝はポルシェGTチーム92号車。

 

LMGTE-Amクラス優勝は、今季WEC初挑戦中のチームプロジェクト1の56号車。

 

創立30周年のラルブル・コンペティションはジェントルマンドライバー3名体制。

 

古巣のラルブル50号車でWEC復帰戦を果たした井原慶子。チームは5位完走。

 

肌寒い曇り空の富士スピードウェイには週末通じて5万2800人の観客が訪れた。