炭山裕矢/保井隆宏組が日本人クルーとして初のAPRC王座を確定

レポート ラリー

2018年9月20日

FIAアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)の一戦「RALLY HOKKAIDO」が今年も北海道十勝地方を舞台に行われ、開幕4連勝を飾った炭山裕矢/保井隆宏組(CUSCO RACING SKODA FABIA R5)が初のシリーズチャンピオンを確定させた。また同時開催の全日本ラリー選手権では、勝田範彦/石田裕一組(ラックSTI 名古屋スバルDL WRX)が新井敏弘/田中直哉組(富士スバル AMS WRX STI)の5連勝を阻止、逆転タイトルに望みを繋いだ。

2018年FIA Asia Pacific Rally Championship
2018年JAF全日本ラリー選手権第8戦
2018年日本スーパーラリーシリーズ
RALLY HOKKAIDO

開催日:2018年9月14~16日
開催地:北海道
主催:AG.MSC北海道

 今年のRALLY HOKKAIDOは30周年という節目の年を迎えた“アジ・パシ”の第4戦として組まれた。金曜夜、セレモニアルスタートの後に隣接するショートステージでスーパーSSを走り、翌土曜から2日間、長丁場のラリーに臨む、というここ数年、すっかり定着したスタイルを今年も踏襲。APRCは総距離1002.98kmの中に計221.25km、17本のSSを設定。日曜の昼で実質的な競技をほとんど終える全日本ラリー選手権は749.08kmの中で15SS、178.87kmが用意されるという設定で行われた。

 APRCでは炭山組ファビアR5と、高い戦闘力を持つクスコ製オリジナル4WDマシンを駆るチームメイト、マイケル・ヤング/マルコム・リード組(CUSCO RACING TOYOTA VITZ)との戦いに注目が集まった。金曜夜のスーパーSSではヤング組がベストタイムを奪取し、先行するが、翌土曜最初のSSとなった陸別ステージでヤング組がマシントラブルでストップ。あっけない形で首位に浮上した炭山組は、その後、ベストタイムを連発、ラリーの本場、欧州生まれの本格派ラリーマシンの速さを日本のファンの目にしっかりと焼き付けて総合優勝を飾った。APRCチャンピオンに日本人が就くのは2010年の田口勝彦以来、4人目となるが、日本人クルーのチャンピオンは史上初の快挙になる。

 一方、シリーズ唯一のロングディスタンスラリーゆえに最も過酷な一戦となった全日本ラリー選手権は、波乱相次ぐ一戦となった。最高峰JN6クラスは、土曜のLEG1で今季、グラベルラリー完全制覇を狙うランキングトップの新井敏弘組がトップに立つが、SS8でパンクを喫してタイムロス。代わって首位に立った勝田範彦組が、最終日のLEG2、新井組の猛追を3.4秒差でかわして今季2勝めをマーク。チャンピオン獲得の望みを繋げた。少数精鋭の戦いが続いているJN5クラスは完走2台というサバイバルな展開に。第6戦優勝の横嶋良/木村裕介組(DUNLOP CUSCO プジョーR2)、前戦優勝の眞貝知志/箕作裕子組(TGR Vitz GRMN Rally)がSS4で転倒により、戦線離脱となる中、川名賢/キャシー・デュロッソウ組(CUSCO ADVAN DS3R3MAX)が今季、グラベル戦では初の1勝を獲得した。

 JN4クラスもSS3でシリーズリーダーの上原淳/漆戸あゆみ組(DL・シャフト・KTEC・タイプRユーロ)が転倒リタイヤという波乱の展開に。石田雅之/遠山裕美子組(TRDプロスペックダンパー86)が昨年のJN2クラスでの優勝に続いて2連覇を果たした。またJN3クラスも今季全勝を誇っていた天野智之/井上裕紀子組(豊田自動織機・DL・ヴィッツ)がSS13終了後にマシントラブルでリタイヤ。CVT車で健闘を続けてきた大倉聡/豊田耕司組(アイシンAW Vitz CVT)が今季初優勝をさらった。

 波乱の連鎖はJN2クラスにも及び、シリーズリーダー長崎雅志/秋田典昭組(豊田自動織機・DL・ヴィッツ)がゴールを目前としたSS13でリタイヤ。鎌野賢志/蔭山恵組(テイクスDLワコーズBRIG86)が前戦福島に続いて連勝を飾った。PN1クラスは本命、古川寛/廣田幸子組(スマッシュDLitzzインディゴスイフト)が前評判通りの速さを見せて快勝した。

炭山裕矢/保井隆宏組は日本人クルーとして初のAPRC総合チャンピオンを確定した。
全日本ラリーJN6クラスは勝田範彦/石田裕一組が今季グラベル初勝利を上げた。
JN5クラスは川名賢/キャシー・デュロッソウ組がシーズン2勝めを獲得した。
JN4クラスはベテラン石田雅之/遠山裕美子組が86で2年連続の優勝をマーク。
JN3クラスは大倉聡/豊田耕司組のヴィッツCVTが今季初優勝を飾った。
JN2クラスでは、しぶとく走り切った鎌野賢志/蔭山恵組が第7戦から2連勝達成。
JN1クラスはグラベルを得意とする古川寛/廣田幸子組がレグ1のマージンで逃げ切った。
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