手堅く逃げ切ったPN1斉藤邦夫が第9戦恋の浦で11回目のタイトル確定!

レポート ジムカーナ

2018年9月20日

全日本ジムカーナ選手権第9戦スピードパーク恋の浦で、ベテラン斉藤邦夫が今季5勝目を挙げ、自身11度目となる全日本タイトルを確定させた。

2018年JAF全日本ジムカーナ選手権第9戦「とびうめジムカーナフェスティバル in 九州」
開催日:2018年9月15~16日
開催地:スピードパーク恋の浦(福岡県福津市)
主催:TOBIUME、RTCR

 残り2戦となった今年の全日本ジムカーナ選手権。チャンピオン争いも終盤を迎え、すでにPN2では山野哲也(EXEDY 05D 124)、PN3はユウ(BSエボ itzz NTL 86)、SA1は若林拳人(YH若林自動車速心CR-X弟)、SA3では小俣洋平(DL itzzオベリスクRX-7)、SA4は津川信次(DL☆itzz☆URGランサー)が2018年タイトルを確定させている。

 第9戦の舞台は風光明媚な景勝地にあるスピードパーク恋の浦。ここはダートコースも併設される九州モータースポーツのメッカで、ジムカーナコースは「コースジムカーナ」と「パイロンジムカーナ」の両方が楽しめる複合レイアウトが特徴となっている。

 今回の決勝コースは、下段にあるサーキットセクションを前半で走り、上段の広場を通過してサーキットに戻り、最後は広場のパイロンセクションをクリアしてフィニッシュする設定。高い縁石の使い方と、傾斜した広場に置かれた連続ターンがポイントだ。

 例年は灼熱の一戦となるこの大会だが、今回のレースウィークは、急に雨が降り出す土曜日、そして曇天から晴天に変化する日曜日と難しいコンディションとなった。参加台数は75台だったが、各部門でクラスが成立。PN1やPN4、SA2やSCではタイトル確定の最終局面を迎えており、第1ヒートから気合の入ったアタックが始まった。

 PN1のチャンピオン争いは、今季4勝を挙げてシリーズ首位で逃げる大ベテランの斉藤邦夫(ADVAN 40thロードスター)と、中盤で2勝してシリーズ2位で追いかける福田大輔(DLレイズT2 Wmロードスター)による対決だ。

 福田は残り2勝が絶対条件だが、斉藤も恋の浦で2位以上の成績を残さないとタイトルを決められない、決して楽ではない状況。しかも、この恋の浦は、路面の攻撃性の高さやラバーグリップの影響から、特にPN部門では第2ヒートでの逆転が難しいと言われている。そのため、第1ヒートのアタックは、まさに雌雄を決する最終決戦となっていた。

 箕輪雄介(YH☆ペトロナス☆ロードスター)が1分45秒台の暫定ベストでトップに立った第1ヒート。2016年の恋の浦で久々の優勝を飾った小林キュウテン(YHサミーKoneロードスター)が、ターゲットを1分43秒898に引き上げる。今季2勝を挙げている深川敬暢(DLエナペBRIGロードスター)は1分45秒台に終わり、残るは2台となった。

 先に出走した斉藤はすでに前半をクリア。丁寧なハンドリングでパイロンすれすれを抜ける熟練のワザを見せ、1分43秒664のベストタイムを叩き出した。最終走者の福田は、何と1分44秒222の3番手タイム。僅かな望みに賭けて第2ヒートでの逆転を誓った。

 第1ヒートの前半は日照も多くなく、例年に比べると路面温度も極端には上がらなかった。しかし、ヒートの終わりには太陽が顔を出し、路面温度を上昇させていた。

 第2ヒートの最初に出走するPN1。案の定、1号車からタイムダウンする展開となってしまう。自己タイムを約1秒程度落とす走者が続く中、斉藤も1分44秒台に留まった。最終走者の福田の走りに注目が集まったが、約コンマ3秒落として逆転できなかった。

 この結果、斉藤が第7戦菅生西から3連勝で今季5勝目をマーク。有効130点を獲得して、PN1連覇、そして、自身11回目となる全日本タイトル確定を果たした。

「1本目は、自分からはミスをしたくなかったので、無理をせず確実にタイムを残して、福田選手に抜かれても、それは仕方ないな、という心境でした。でも、いきなりコンクリ路面でオーバーランして(笑)。失敗したな~とは思ったけど、ここで切り替えて、残りは手堅くまとめました。パイロン区間はミスもなくて完璧な仕上がりでしたね」。

「いやー、ここで決まって良かった(笑)。最終戦ってイヤなんですよ。最後の最後で勝負が決まる状況は、これだけ長くやってきても緊張する(笑)し、プレッシャーも掛かる。不確定要素が多いジムカーナは、天候だって、車両トラブルだって、ペナルティだって、本番にならないと分からない。だから、あと1戦しかない、という状況にはしたくなかったんです。今回は本当に、この恋の浦でうまく決められてホッとしてます」。

 と語る斉藤。全日本ダートラD部門で、斉藤と同じく伝統のアドバンカラーを車両に纏う谷田川敏幸と並び、”アドバン40周年チャンピオン”をしっかりと確定させた。

 第9戦恋の浦では、PN4とSA2、SCでもタイトル確定の大一番を迎えていた。PN4では、シリーズ首位の野島孝宏(DLレイズWM Lubランサー犬)と茅野成樹(エアフォルクダンロップランサー)というベテラン同士の戦い。第1ヒートのタイムで逃げ切った茅野が3連勝を獲得して、僅差のタイトル争いは最終戦鈴鹿南に持ち越された。

 SA2は、澤平直樹(YHボレロクスコインテグラ)、佐藤巧(YH★M-ARTS★インテグラ)、高江淳(DLオイチェΩ BPFインテグラ)、朝山崇(DL BPF RSKインテグラK1)の順で4名による僅差の争いだったが、高江の今季4勝目、佐藤の2位獲得で、澤平と朝山はタイトルレースから脱落。最終戦鈴鹿南で高江と佐藤による直接対決となっている。

 SCのタイトル争いは、西原正樹(アクアBSリコーセインプレッサ)、大橋渡(DLレカロPRSインプレッサ)、牧野タイソン(DL★PRS速心クスコランサー)、野尻隆司(itzz DLグローバルランサー)の4名による恋の浦決戦。第1ヒートでは、大橋がトップの西原をコンマ差まで追い詰めたが、第2ヒートで突き放した西原が優勝。今季3勝目を挙げて、SC連覇、自身9度目のタイトルを確定させている。

福田大輔と斉藤邦夫に権利があったPN1のタイトル争い。福田は1分44秒の壁を破れず3位に終わり、タイトルを逃した。
第1ヒートでは後続を3秒以上引き離したPN2山野哲也。第2ヒートでも自己タイムを更新してパーフェクトウィンを披露。
九州の山下友秀と近畿の抱博高が最後までトップ2を守ったPN3。最終走者のユウが僅差で逆転し王者の意地を見せた。
茅野成樹と野島孝宏による直接対決となったPN4のタイトル争い。茅野の3連勝で決戦は最終戦鈴鹿南に持ち越された。
若手の台頭が著しいSA1。小武拓矢が第1ヒートのタイムで今季2勝目を挙げ、気鋭の下河辺友貴や織田拓也らも入賞。
4名による僅差のタイトル争いとなっていたSA2。恋の浦の高江淳の優勝で、今回2位の佐藤巧との一騎打ちとなった。
第1ヒートで2WD最速タイムを叩き出した小俣洋平が逃げ切って優勝。今季6勝目を挙げ、有効6戦の満点を獲得した。
恋の浦に絶大な自信を持つSA4津川信次が、第1ヒートのタイムでオーバーオール優勝。有効満点チャンピオンを確定。
2トライとも性格の異なるタイヤを選び、第2ヒートで逆転したSC西原正樹。この勝利で自身9度目のタイトルを確定。
「コースジムカーナ」と「パイロンジムカーナ」を併せ持つ恋の浦。縁石の使い方と傾斜地に置かれたターン攻略がキモ。
恒例の全日本ジムカーナ選手会(AJGA)による、抽選で選ばれた観客が体験できるパレードランと同乗走行が行われた。
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