2018年全日本ジムカーナが、久々開催の筑波1000で開幕

レポート ジムカーナ

2018年3月14日

今年は全10戦で争われる全日本ジムカーナ選手権が、茨城の筑波サーキットコース1000で開幕した。肌寒く路面温度も上がらない状況ながら、”2本目勝負”の激戦が展開された。

巧者・山野哲也選手(左)をコンマ01秒差で制して勝利を挙げたPN2河本晃一選手。

2018年JAF全日本ジムカーナ選手権第1戦「TAKUMI OIL CUP GYMKHANA IN TSUKUBA」
開催日:2018年3月10~11日
開催地:筑波サーキットコース1000(茨城県下妻市)
主催:T-SPIRIT、KSC、THE・MC

 ジムカーナの日本一を決める最高峰シリーズである全日本ジムカーナ選手権の2018年シリーズは、茨城県下妻市にある筑波サーキットコース1000で開幕した。同所での開催は2004年の第9戦以来ということで、実に14年ぶりの全日本選手権開催となった。

 今大会にはPN部門、SA部門、SC部門に加え、選手権対象外のFDクラスや箱Dクラスを併設。PN3には最多の23台を集めて合計127台のエントリーがあった。

 今年はZC33Sスイフトスポーツの本格投入が目立ち、当該クラスのPN2では最多の20台が集結。Z34フェアレディZや、昨年のチャンピオンマシンであるアバルト124スパイダー、FD2シビック、FK2シビックに加え、過給器付きのFWDターボである新型スイフトスポーツやMINIジョン・クーパー・ワークスなど加わって、無差別級の戦いが加速することになった。

 また、昨年までは最多クラスとなっていたPN1では、ZC32Sスイフトスポーツの参加がなくなり、ND5RCロードスターのワンメイク状態となっている。

 レースウィークは雨を示した天気予報とは裏腹に、まだまだ肌寒い気候ながら曇りベースの天候となり、決勝日には晴れ間も見えた。しかし、路面温度が上がらない状況は変わらず、思ったようなグリップ感が得られず、タイヤチョイスは困難を極めた。

 決勝コースは筑波1000をフルに使った高速レイアウトを採用。ピットからスタートしてコース上に置かれた1本パイロンターンを回り、内周のショートカットを複数周回してからアクセル全開でコースを横断し、再びパイロンターンでフィニッシュするという構成だった。

 比較的コース幅が広い筑波1000は、ライン取りの自由度も高く、あまりジムカーナで使われないこともあり、最速の走り方を見い出すトライが各クラスで行われた。

 決勝では、第2ヒートでタイムダウンを喫する選手も多かったが、上位勢では激しい逆転劇も見られ、短期間でコースへの習熟を高められたベテラン勢の活躍が目立った。

 PN1では、アドバン40周年記念カラーをまとった斉藤邦夫選手(ADVAN 40thロードスター)が、第2ヒートにおける福田大輔選手(DLレイズWmT2ロードスター)の逆転を再逆転して優勝。”40周年優勝”一番乗りを果たした。

 PN2では、ディフェンディングチャンピオン山野哲也選手(EXEDY 05D 124)を第1ヒートのタイムで下した河本晃一選手(RAYSリジットZニスモ05D)が逃げ切って優勝。昨年の最終戦鈴鹿南に続く連勝を飾った。

 PN3では、昨年のチャンピオンであるユウ選手(BSエボitzz NTL 86)が後期型86に乗り換えて参戦。昨年シリーズ2位の西野洋平選手(BS ALEX C栃木 DP那須 86)は、大ベテランのダンディ赤城選手とダブルエントリーで挑み、第1ヒートのタイムで逃げ切って優勝した。

 PN4は、茅野成樹選手(エアフォルクダンロップランサー)と野島孝宏選手(DLレイズWM Lubランサー犬)というCZ4Aランサーを駆る2016年と2017年チャンピオンの一騎打ち。茅野選手が2本ともペナルティに沈み、野島選手が圧倒的なタイム差で開幕戦を制した。

 SA1は、昨年のシリーズ上位勢が精彩を欠く状況。2017チャンピオン若林拳人選手(YH若林自動車速心CR-X弟)が2本ともコンマ差で迫るも、サーキット走行を得意とする近藤岳士選手(YH/Moty's渦CR-X)が第1ヒートのタイムで逃げ切って優勝した。

 SA2では、ディフェンディングチャンピオン・朝山崇選手(DL◆BPF◆RSKインテグラ)が第1ヒートで"FFオーバーオールタイム"を計測して優勝。澤平直樹選手(YHボレロクスコインテグラ)や高江淳選手(DLオイチェΩ BPFインテグラ)らも僅差で食らい付いて、今シーズンもこの3名によるタイトル争いを予感させた。

 SA3は、小俣洋平選手(DL itzzオベリスクRX-7)が快走して、2本ともベストで圧勝。ライバルの西森顕選手(BSレイズペトロナスCS NSX)や渡辺公選手(BSリキFGレイズOS・NSX)は、ペナルティに沈んでしまい、表彰台の高みを逃すことになった。

 SA4は、今年も津川信次選手(DL☆itzz☆URGランサー)と菱井将文選手(BSレイズ・クスコランサー)というベテラン同士の戦いという図式。ところが、決勝日の菱井選手は2本ともペナルティに沈んでしまい、第1ヒートで驚愕のタイムを残した津川選手が勝利した。

 4輪駆動と2輪駆動が混走するSCは、昨年のチャンピオン西原正樹選手(AQUA BSリコーセイGJ3)が第1ヒートで失速。今年から復活した2013年SCチャンピオンの牧野タイソン選手が、第2ヒートでもベストタイムを更新して優勝。2013年以来の全日本優勝となった。

 選手権対象外のFDクラスには、9台のジムカーナD車両が参加。村上仁選手(DL☆LABOTEC☆YT41)が第1ヒートのタイムで優勝した。また、4台が参戦した箱Dクラスは、AE86を駆る山梨俊二選手(エナペLB K-1 YSSレビン)が2本ともベストで快勝している。

気鋭の福田大輔選手を約コンマ1秒逆転してベテランの意地を見せたPN1斉藤邦夫選手。
今年こそのタイトル奪取を狙う体制で挑んだPN3西野洋平選手が第1ヒートで優勝。
サーキットを得意とするPN4野島孝宏選手が圧勝(右)。野島美恵選手とワンツーを決めた。
若林拳人選手との第1ヒートから続く僅差の争いを辛くも制したのはSA1近藤岳士選手。
SA2澤平直樹選手や高江淳選手とのコンマ差の戦いを制して、ベテラン朝山崇選手が優勝。
自己タイムをコンマ004秒アップしたSA3小俣洋平選手が2本ともベストで快勝した。
装いを新たにしたCZ4Aランサーを駆る津川信次選手が大会オーバーオール優勝。
昨年の最終戦でテスト参戦した牧野タイソン選手がSCに復活。見事優勝を飾った。
決勝コースレイアウト。サーキット走行とパイロンジムカーナを融合した設定。

フォト/滝井宏之、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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