スノー&アイスの難路面・嬬恋で2018年全日本ラリー開幕!

レポート ラリー

2018年2月9日

今年もスノーラリーで幕開けした全日本ラリー選手権は、国際格式のJSRとJAF東日本ラリー選手権が併催され、JN6クラスでは鎌田卓麻/市野諮組が圧勝で好スタートを切った。

2018 FIA International Rally
2018年JAF全日本ラリー選手権第1戦
2018年JAF東日本ラリー選手権第2戦
2018 日本スーパーラリーシリーズ第1戦
「RALLY of TSUMAGOI」

開催日:2018年2月1~4日
開催地:群馬県嬬恋村周辺
主催:AG.MSC北海道、JAC、ASAMA

 昨年からスノーイベントが復活している全日本ラリー。2018年の全日本ラリー選手権は、群馬県嬬恋村周辺のスノー&アイス路面で行われる「RALLY of TSUMAGOI」で、他の全日本カテゴリーに先駆けてシーズンが開幕した。

 今大会は、昨年に引き続き国際格式の日本スーパーラリーシリーズ(JSR)第1戦、JAF東日本ラリー選手権第2戦と併催され、合計41台のマシンが嬬恋村に集結した。

 栄えある1号車は、クスコレーシングがプリペアするシュコダ・ファビアR5。昨年のラリー北海道で日本初上陸して、今回は本州初お目見えということで滅多に見られない貴重なマシンの走りを堪能するべく、極寒の地に多くのギャラリーが駆け付けた。

開催地では年末から年始にかけての降雪量が少なく、ラリーウィークの天候は、初日に降雪があり路面にも積雪したが、デイ2以降は晴天が続いた。
そのため、スペシャルステージは基本的にはスノー&アイス路面となったが、日照がある場所では部分的に舗装が露出し、日陰では根雪が凍結して複雑なワダチを構成するなど、走る毎にあらゆるサーフェイスが現れる、上級者でも難しい路面コンディションと戦う一戦になった。

自身でも「満足の走り」で全日本開幕戦を制したJN6鎌田卓麻/市野諮組。

 全日本ラリー選手権はJN6クラスとJN3クラス、JN1クラスが成立。2017年JN6チャンピオンの勝田範彦/石田裕一組や奴田原文雄/佐藤忠宜組が開幕戦を欠場したため、JN6クラスでは、2017年シリーズ2位の新井敏弘/田中直哉組(富士スバルARAI WRX STI)が先頭スタートを切った。

 しかし、ナイトステージで始まったラリー序盤のSS3で、新井/田中組がいきなり車両トラブルに見舞われてストップ。代わってトップに立ったのは鎌田卓麻/市野諮組(itzz DL SYMS WRX STI)で、初日の残り3ステージで連続トップタイムをマークして、首位でラリー2日めに折り返した。

 晴天に恵まれた2日め最初のステージでは、久々に4WDマシンで参戦となった柳澤宏至/加勢直毅組(ADVAN CUSCO WRX STI)がトップタイムを計測。しかし、SS7から3連続ベストを叩き出した鎌田/市野組が後続を引き離しにかかり、午後のセクションでは柳澤/加勢組が再びベストを奪うものの僅差に留まった。そのため、レグ1では鎌田/市野組が19.4秒のマージンを稼いでラリー3日めを迎えることになった。

 晴天の最終日も鎌田/市野組は手綱を緩めず、柳澤/加勢組とシーソーゲームを演じながらも首位をキープ。結局、ラリー終盤では6連続ベストをマークした鎌田/市野組が、2位に38.6秒の大差を付けて全日本ラリー開幕戦を制した。

ラリー序盤の危ない場面を物ともせずJN3天野智之/井上裕紀子組が優勝。

 5台が出走したJN3クラスは、オープニングステージから2017年チャンピオン天野智之/井上裕紀子組(豊田自動織機・DL・ヴィッツRS)が、後続に5秒差を付ける圧倒的なスピードを見せた。しかし、SS4では珍しくコースアウトするミスが発生。復帰に手間取り、唐釜真一郎/小泉雅之組(エムスポーツBRIG SHAFデミオ)と、新体制での緒戦かつ人生初のスノーラリーという初物尽くしとなった眞貝知志/安藤裕一組(TGR Vitz CVT)に、20秒以上の差を付けられて3番手にまで落ちてしまった。

 しかし、天野/井上組は怒涛の追い上げを開始。SS7こそ若手期待の渡部哲成/松浦俊郎組(エムスポーツ☆SHAF☆デミオ)にベストを奪われるものの、SS8ではクラス首位に復帰。再び後続に10秒以上の差を付ける、いつものペースを取り戻していった。

 最終日には天野/井上組と2番手の眞貝/安藤組は1分以上に開き、3番手の渡部/松浦組が最後の追い上げに転ずるも、眞貝/安藤組がショートステージでベストを奪って逃げる展開。後続のペースを見ながら危なげないラリーを披露した天野/井上組が、路面状況が二転三転する難しい開幕戦を制し、全日本ラリー連勝記録を13に伸ばした。

仲間の思いを載せて走ったJN1内藤学武/小藤桂一組が嬉しい全日本初勝利。

 JN1クラスは3台の争い。九州からスノーラリーに誂む三苫和義/小林剛組(0 side DL TGレイズWMスイフト)がオープニングの2ステージを制して気を吐いたが、SS3ではチェーンの装着状態に不具合が生じた三苫/小林組を、若手期待の内藤学武/小藤桂一組(YH Moty's BRIG G4デミオ)が大きく突き放してクラス首位に立った。

 その後もベテラン三苫/小林組と若手の内藤/小藤組のベストタイム奪取戦が勃発して熾烈なシーソーゲームを展開。しかし、序盤で大きく稼いだ内藤/小藤組が首位を譲らず、2番手三苫/小林組に16.6秒差を付けて2日めを終えた。晴天となった最終日は、タイプの異なるスタッドレスタイヤで挑んでいた内藤/小藤組が6ステージでベストを奪取。最終的には42.1秒もの大差を付けてフィニッシュし、嬉しい全日本初勝利を獲得した。

JSRではシュコダ・ファビアR5を快走させた炭山裕矢/保井隆宏組が圧勝。

 国際格式のラリーとして開催された日本スーパーラリーシリーズ第1戦では、シュコダ・ファビアR5を駆る炭山裕矢/保井隆宏組が序盤から速さを見せて後続を突き放した。

 初日の5ステージで57秒もの差を付けた炭山/保井組は、タイヤが替わった2日めの序盤はペースをコントロール。代わってベストタイムを奪ったのは地元・嬬恋を背負って走る「嬬恋キャベツラリーチーム」の黒岩満好/高橋巧組だ。黒岩/高橋組はSS6、SS7、SS9でトップタイムをマークしたものの、炭山/保井組との差は埋まらず2番手を走っていた。

 クスコレーシングの青山康/竹下紀子組も2番手争いを展開していたが、タイヤが替わった2日め以降は3番手をキープする様子見の走りとなった。

 最終日は、首位の炭山/保井組と黒岩/高橋組の差は2分近くにまで広がり、3番手に付けていた青山/竹下組はSS15でスタックに見舞われペナルティを喫してしまう。代わって3番手に上がったのはオーストラリアから参戦したW.スチュワート/L.スタッグ組だが、2番手に付けていた黒岩/高橋組にも車両トラブルが発生したため、首位の炭山/保井組との差が開いてしまい、最終的には炭山/保井組が2位黒岩/高橋組に4分以上の差を付けてフィニッシュ。話題のFIA R5車両が本州のラリーを初制覇する結果となった。

東日本戦BC-4クラスは高山短大の大橋智樹/船木淳史組が辛くも優勝。

 併催された東日本ラリー選手権では、BC-4クラスとBC-2クラスが成立した。BC-4クラスでは高山自動車短期大学の大橋智樹/船木淳史組(高山短大OZ WRX)が序盤から快走。2番手の松岡孝典/木村祐介組(GC8インプレッサ)とのマッチレースを繰り広げて、19.5秒の差を付けて最終日を迎えた。

 ラリー3日めは松岡/木村組が怒涛の3連続ベストで猛追。1ループめでは首位との差を7.3秒にまで詰めたが、大橋/船木組がSS18のベストで再び引き離す。残り3ステージでは松岡/木村組が連続ベストで5.8秒差にまで迫ったが、最終SS21は0.37kmのショートステージということで勝負アリ。大橋/船木組が後続に7.6秒差を付けて優勝した。

 BC-2クラスは昨年の覇者である丸山高康/丸山未知可組(RSCCミラem☆Lab)と西山敏/多比羅二三男組(BRIG DL NASビビオ)ら軽4駆ターボ同士の戦い。初日から2日めまでは首位が入れ替わる混戦を演じ、最終日を前に首位の西山/多比羅組と2番手の丸山/丸山組は8.9秒という僅差となっていた。ところが、最終日のSS15で西山/多比羅組がストップ。その後は、ライバル不在となった丸山/丸山組が最終日を全ステージトップで無事フィニッシュして、昨年に続くスノー嬬恋連覇を達成した。

ギャラリーステージではピエール北川&阿久津栄一アナが場内実況を担当。
ポディウムでJSR優勝の炭山裕矢選手にインタビューするピエール北川氏。

フォト/中島正義、水野文幸、山口貴利、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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