重要 公示(四輪)

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2019-08-06 公示No.2019-WEB028
JAFモータースポーツ審査委員会裁定

 JAFモータースポーツ審査委員会は、「2019 TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race関東シリーズ第1戦」において出された控訴を審査し裁定しましたので、その裁定書を公示します。

 なお、その裁定を不服としてチームIMSCから再控訴が提出されましたが、これに対するJAFモータースポーツ中央審査委員会の裁定については公示No.2019-WEB029をご確認下さい。

 

 

2019年5月17日

裁定書

 

控訴人 チームIMSC

代表 峯 浩一 殿

 

一般社団法人日本自動車連盟

モータースポーツ審査委員会

委員長 岩井重一

委員 木下美明

 同  佐久間豊

 同  園 高明

 同  高橋利昭

 

主文

 

本件控訴を棄却する。

控訴料は没収する。

 

理由

1 事案の概要

 2019年4月20日、富士スピードウェイで開催された2019Netz Cup Vitz Race関東シリーズ第1戦において、予選前の車両検査の際、控訴人をエントラントとする108号車(以下、「108号車」という。)に装着されていたタイヤが、本大会車両規定11条6項(「通常走行時の摩耗以外のタイヤの加工(削り等)は禁止される。当該大会技術委員長により加工していると判断されるものは使用を認められない。」)で禁止された加工されたタイヤとして、大会技術委員長が、車両検査を不合格とする処分を行った。

 これに対し、エントラントであるチームIMSCから抗議が提出されたが、大会審査委員会がこれを却下したため、本控訴が提出された。

 

2 控訴の理由及び趣旨

①装着されたタイヤは、車両規定11条6項に違反しておらず、使用を禁止したのは著しく不合理な判定である。②エントラント代表が、車両検査場技術委員から、違反の内容や理由の通知を受けていないこと、③抗議提出後、大会審査委員会においてタイヤが違反しているかどうかについて審査がなされなかったこと、④違反したタイヤと認定した技術委員の氏名を明らかにすることを求めたが、大会審査委員会がこれを拒絶したことは、いずれも不当であり、処分は取り消されるべきである。

 

3 当審査委員会の審議及び判断

(1)当審査委員会は、委員会を開催し、控訴人代表峯浩一氏、技術委員長田近憲昭氏、競技長松岡直氏、事務局長小野賢哉氏、審査委員長柘植和廣氏、元JAFモータースポーツ専門部会技術部会タイヤ製造者作業部会委員を審問し、また、108号車に装着されていたタイヤを見分して、慎重に審議した。

(2)この結果、次の事実が認められた。

① タイヤの状況

 予選当日、技術委員長が指摘した前後輪4本に薄く縦に筋状の跡が認められ、タイヤ溝の深さが新品タイヤ(7mm)と比較して、前後輪4本とも約半分の深さであるにもかかわらず、タイヤ溝のエッジ部分の角が立っていたことが認められた。

 なお、技術委員長は、不合格の認定基準の統一性を図るために、本シリーズの主管団体であるトヨタカーズ・レース・アソシエイション(T.R.A.)の立ち会い及び確認を求め、不合格の認定をした。

② 違反判定後の状況

 大会技術委員長は、エントラント代表に対し、違反の事実を具体的に説明し、タイヤ交換による検査を受けることを促したが、不合格とされたタイヤ以外は所持していないことを理由に、エントラント代表は拒否した。

 大会技術委員長は、大会審査委員会に対し、経過報告書、判定確認書、タイヤの写真を提出し、状況を説明した。

 その後、エントラント代表より、抗議書が提出されたため、大会審査委員会は、大会競技長、大会技術委員長、大会事務局、T.R.A.を招集し、タイヤの違反を確認し、大会審査委員長は、エントラント代表に対し、違反の事実を具体的に説明し、タイヤ交換による再検査を受ければ、予選に参加できることを説明したが、エントラント代表は拒否した。

(3)当審査委員会の判断

 控訴理由①については、大会車両規定11条6項が、「通常走行時の摩耗以外のタイヤの加工(削り等)は禁止される。」に続いて、「当該大会技術委員長により加工していると判断されるものは使用を認められない。」とし、同15条「(本規定は、)出来る限り加工・変更の範囲を最小限にとどめた車両で、平等な条件のもとに一人でも多くの人が参加できることを目的として作成されたものであり、本規定の解釈に万一疑義が生じた場合は当該大会技術委員長の解釈をもって最終とする。」と規定している。これはレース参加者の経済的、時間的負担を軽減し、簡易、迅速なレース運営のために、加工されているかどうか等の車両規則に関する技術的判断権を大会技術委員長に与え、大会技術委員長の判断にエントラントは従うべきとする趣旨であり、エントラントが、装着されたタイヤが規定に違反していないと争うことはできない。もっとも、大会技術委員長の判断が、タイヤの状態に関して事実の認定に重大な誤りがある、あるいは、レース現場の経験則に明らかに反するなど著しく不合理である場合は、与えられた判断権を逸脱したものであり、抗議、控訴の対象となるというべきである。

 そこで、技術委員長の判断が著しく不合理であったかについて検討すると、前記のとおり、本件タイヤは、通常の走行の摩耗では生じない外観を有していると考えられ、控訴人代表者立ち合いのうえタイヤの状態に関して本件シリーズの主管団体であるT.R.A.の確認を得たうえで、加工に当たるかについて判断しており、本件タイヤの状態に関し大会規定11条6項違反として、当該タイヤの使用を禁止した判断が著しく不合理であるとは、到底認められない。

 控訴理由②及び③についても、前記の経過のとおり、これらの事実はいずれも認められない。

 なお、控訴理由④については、大会審査委員会が、違反を認定した技術委員の氏名を明らかにしなかったことは認められるが、大会審査委員会に技術委員の氏名を明らかにする義務はなく、氏名を明らかにしなかったことは控訴の理由にあたらない。

 

4 結論

 よって、主文の通り裁定する。