モータースポーツ審査委員会裁定

公示 その他 その他

公示No.2017-WEB019
2017年12月4日

JAFモータースポーツ審査委員会は、スーパー耐久シリーズ2017第6戦(10月14~15日、岡山国際サーキット)において出された控訴を審査し裁定しましたので、その裁定書を公示します。


 


2017年11月16日


 


裁 定 書


 


控訴人 D’station Racing


代表 星      殿


KONDO RACING


代表 河    樹 殿


一般社団法人日本自動車連盟


モータースポーツ審査委員会


委員長 岩     


委員         


       田 裕 


           


       橋 利  


 


主 文


本件控訴を棄却する。


控訴料はそれぞれ半額を返還するものとする。


 


理 由


1 事案の概要


2017年10月14日、岡山県美作市の岡山国際サーキットで開催されたスーパー耐久シリーズ2017第6戦の公式予選後に、8号車(車名 ARN Ferrari488 GT3)の使用燃料が、本大会特別規則書第11条に規定された燃料と異なることが判明した。


このため、大会審査委員会は、8号車に対し、罰則として、予選タイムを全て抹消とする処分を行った。


その後、8号車より、決勝レース出走の嘆願書が提出されたため、大会審査委員会は、8号車に対し、決勝レースの26番グリッド(最後尾)からの出走を許可した。


翌10月15日、決勝レースが行われ、8号車も出走したが、レース終了後、控訴人両名が、大会審査委員会に対し、燃料違反という重大な規則違反について、予選タイムを抹消したにもかかわらず、嘆願書の提出により、8号車の決勝レースの出走を許可したことは認められないとして、決勝レースの順位に関する抗議として抗議が提出された(以下「本件抗議」という)。


大会審査委員会は、本件抗議を却下したが、控訴人両名は、これを不服として、本件控訴を行った。


 


2 当審査委員会の判断


(1)当審査委員会は、控訴人 station Racing 代理人米山昇氏、控訴人 KONDO RACING 代表河野初樹氏から事情を聴取したほか、大会オーガナイザーより関係書類を取り寄せて、慎重に審理した。


 


(2)本大会特別規則書第11条で、使用できる燃料を岡山国際サーキットBパドック内ガソリンスタンドで販売する無鉛ハイオク(商品名 出光スーパーゼアス)と規定している趣旨は、競技参加者全員が、同一の燃料を使用することにより、公平にレースを行うためである。


従って、8号車が規定された燃料以外の燃料を使用したことは、重大な違反である。


 


(3)しかしながら、燃料違反があった場合の罰則については、本大会特別規則書及びシリーズ規則書では規定されていない。


また、8号車は、予選タイムを全て抹消されたため、本来であれば決勝レースに出走できないところ、どのような場合に決勝レースの出走が認められるかその要件を定めた規定は、本大会特別規則書及びシリーズ規則書で定められておらず、シリーズ規則書第10条(10)で、「前項までの規定にかかわらず、公式予選及び決勝スターティンググリッドに対する最終的な決定は、当該大会審査委員会が決定する。」旨が規定されているだけである。


なお、岡山国際サーキット一般競技規則書第28条は、予選出走台数が最大決勝台数に満たなかった場合に、公式予選通過基準未達成者の決勝出場について、暫定結果発表後30分以内に大会事務局に嘆願書を提出すると、大会審査委員会は、決勝レースの出走を認めることができる旨規定している。


 


(4)以上のとおり、本件違反は、重大な違反であるが、燃料違反に対する罰則が規定されておらず、決勝レースの出走が、大会審査委員会の裁量に委ねられている。


従って、本大会審査委員会が、8号車に対して、予選タイムを抹消しながら、嘆願書の提出により決勝レースの出走を許可したことを不当と評することはできない。


よって、主文のとおり裁定する。


なお、今後、同一の違反が発生することを防止するために、シリーズ規則等で、燃料違反があった場合の罰則を定めておくことが望まれる。


また、本件のように、本来であれば、決勝レースに出場できない場合に、どのような要件を充たせば、決勝レースの出走が認められるかについても、シリーズ規則等で定めておくことが望まれる。


以上

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